TUP BULLETIN

速報943号 ドナより ファッルージャ病院から見えること

投稿日 2012年8月2日

充分に看護できる施設もなく、本当に頻繁に赤ん坊が死んでいきます


オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクで「人間の盾」に参加した。04年春にはイラクで米軍包囲下のファッルージャに入り、その帰路地元レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにその報告をしてくれた。04年冬から05年春にかけてはイラク・パレスチナ「巡礼の旅」を伝えてきた。05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカからの報告は、ほとんど実況中継だった。05年12月にはオーストラリアがイラク戦争に最も貢献してきたパイン・ギャップ秘密基地に侵入し、「市民査察」を強行して逮捕されたが、08年2月に無罪判決を勝ち取った。09年末から10年初頭には、イスラエルによる包囲封鎖に苦しむパレスチナ・ガザ地区に入って援助を届け、現地から報告してきた。10年2月に、『普通の勇気――わが旅、人間の盾としてバグダードへ』を出版した。11年3月に、アフガニスタンのカーブルに向かい、地元の「青年平和ボランティア」と共に行動した。

今回、劣化ウラン弾などの有毒兵器の被害に苦しむイラク・ファッルージャの女性や子供の調査に向かい、無事にイラク入りを果たしたドナが、イラクから送った第1報です。
(翻訳:福永克紀/TUP)

ファッルージャ病院から見えること
ドナ・マルハーン
2012年7月28日

お友達の皆さんへ

ファッルージャ病院は、いつ行っても、不安を抱えた人の海でごった返しています。話を聞くまでもなく、その顔に浮かぶ恐怖と目の奥に潜む懸念を見るだけで充分にわかります。それは、いつでも、私の目に涙を溜めるものです。

そして実際に話を聞いてみると、小さな命が失われたその痛ましい話は、分かったつもりでいたことよりもっとひどくて……。

バグダードの西方にあるファッルージャ市は、2004年の米軍によるこの町への攻撃以来、先天的肢体障碍、癌、心臓疾患の大幅な増加に見舞われてきました。それを説明できるのは、黄リン弾(別名白リン弾)や劣化ウランを含有する兵器など、この攻撃に使われた兵器が環境を汚染して毒性の遺物を残しているということで、それは今後何世代にもわたり影響を及ぼすでしょう。

私がここファッルージャ病院に来ているのは、調査を行ない、話を収集し、この問題への認識を広めるためです。

病棟を歩くと、特に小児病棟を歩くと、あまりに多くの患者を、あまりに多くの不正義を、あまりに多くの嘆きを、その上それに対する充分な責任が取られていないことを、目の当たりにします。

医師の方々は、仕事量と精神的なダメージから疲れ果てています。

「私の赤ちゃんは助かりますか? この子は正常に生まれるでしょうか? 次の子は助かるでしょうか? こういった質問を、私は毎日受けています」と、小児科のサミーラ医師が深いため息とともに話してくれます。

「私には、この人たちに答えようもないのです」

「涙を何とかこらえようともがいています、というのも、答えも持ち合わせず、新生児を充分に看護できる施設もなく、本当に頻繁に赤ん坊が死んでいきます、赤ん坊が同様な状態でも生き延びるチャンスのある英国や米国とは違うのです」

彼女の同僚であるM産婦人科医は憤っています。「誰も私たちの言うことを聞かない、誰も耳を傾けない、誰が私たちを助けてくれるのです? 米国は強すぎる、私たちのことなど忘れてしまっているのです」

ファッルージャで集めた個々人の話を数日中に皆さんにお伝えし、この問題に人間味を加え、積極的な行動につながるように関心を喚起していきたいと思っています。

ところで、皆さんも、月曜日(7月23日)にイラク中でひどい爆弾・暴力事件が発生しておよそ115名が亡くなったことはご存じでしょう。現状をイラク人がどう考えるているかを示す私が書いた記事が、オーストラリアのニュース・サイトCrikey.comで公表されました。

以下がその記事のリンクです。
http://www.crikey.com.au/2012/07/25/life-in-iraq-government-foreigners-blamed-in-bombings-aftermath/#comment-211905
[訳者注:この記事では、バグダード市民の現状を嘆く声を紹介している。1日4時間の電力供給、不衛生な上水、悪化する下水、そのための健康被害。能力に欠け、腐敗し、機能不全の政府、そのため米占領の恩恵にあやかる者と外れた大衆の貧富の拡大。「フセインは悪かった。でも生活はもっとましだった」「2003年以前は暴力の元は一つだったが、今は何百にものぼる」「議会は自分たちの仕事と権力とお金に群がる『アリババの巣窟』だ」というような庶民の声や、今後イラクは米占領がもたらした地域宗派間の『競技場』になってしまうだろうという匿名政府高官の声などを紹介している]

皆さんの巡礼者
ドナより

追伸:今なお続けられている皆さんからのご支援に感謝し、この仕事に向けられた最近の寄付にお礼を申し上げます、特に惜しみない支援をくださったネビル・ヘンリーさんには特別の感謝を捧げます。

追追伸:この旅のこまごまとした更新情報などを受け取りたい方は、フェイスブックか、ツイッターの@donnamulhearnでフォローしてください。

追追追伸:もしまだご覧になっていなければ、下記のリンクに、東ドイツの非暴力革命について書き、ユリーカ・ストリートで公表された記事があります。
http://www.eurekastreet.com.au/article.aspx?aeid=32141
[訳者注:前回のドナの速報、TUP速報942号に、この記事の訳文があります。
https://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=975 ]

追追追追伸:「人々は話はします、でも私たちが必要としているのは行動です、私たちが求めているのは解決なのです」――M医師、ファッルージャ病院

原文:The view from Fallujah Hospital
URL:  http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/254