TUP BULLETIN

速報308号 リバーベンドの日記(5月7日)から 04年5月13日

投稿日 2004年5月13日

FROM: Schu Sugawara
DATE: 2004年5月13日(木) 午後10時42分

すべてわかっていた、刑務所での拷問 リバーベンドの日記から(5月7日)


 戦火の中のバグダッド、停電の合間をぬって書きつがれる24歳の女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列と水汲みにあけあけくれる毎日。「イラクのアンネ」として世界中で読まれています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 http://www.geocities.jp/riverbendblog/


 前回に続いて、アブグレイブ刑務所での虐待について書かれています。みんな前から知っていたことだった、刑務所だけの話ではない。無差別の銃撃、家宅捜索を受けて引きずりだされる女性やこども・・・占領軍による残虐の限りをこれまで知らなかったとは言わせない。なぜ、アメリカ人はいま初めて知ったように驚いてみせるのか。解決策はただひとつ――ただちに出ていくこと。怒りは深く激しい・・・ (池田真里/TUP、リバーベンド・プロジェクト)


2004年5月7日(金)

とにかく出ていって…

人々は怒りで煮えくりかえっている。アブ・グレイブ刑務所とバスラにおけるイギリス軍の写真についていたるところで語られている。バグダッドで手にする新聞のすべてに、英米軍の残虐行為の写真が掲載されている。それは、悪夢が現実となったようだ。

誰でも、アブ・グレイブや他の刑務所でこのようなことが起こっていることを知ってはいた…しかし、写真を目にするということは、とにかくその認識を明白で確実なものと突きつけられること。アメリカとイギリスの政治家は、「アブ・グレイブ刑務所に収容されている人々は実際のところ犯罪者である。しかし…」などと厚かましくもテレビで発言している。しかし、ここイラクでは誰でも、何千もの無罪の人々が拘留されていることを知っている。ある者は単に間違った時の間違った場所にいたことにより、またある者は「疑いがある」という理由で拘留されている。新政イラクでは、「神の奇跡によって無罪であると証明されるまで有罪」なのである。

人々は非常に腹を立てている。人々の反応を的確に表現する方法が見あたらない―占領を支持するイラク人さえあまりもの戦慄に沈黙している。人々がどのように感じているか―あるいは、私自身がどのように感じているか説明できない。イラク人の死体の写真のほうがアメリカの軍事技術によるこのグロテスクなショーを見るよりまだ我慢できる。アブ・グレイブ刑務所を監視するケダモノによって性的に虐待され貶められるより、むしろ死んだほうがましだろう。

ここの人々が占領軍に同情的な時があった。占領に賛成か反対かにかかわらず、国籍に関係なく、軍隊への哀れみの時期があった。彼らがイラクの太陽に苦しめられ、なんとかしてどこか別の場所に行きたがっていることが明白で、その脆弱さが彼らをそれほど恐るべき存在でなく、より人間的に見せたのだ。そんな時期は過ぎ去った。今、人々は軍隊を見ればアブ・グレイブの写真が重なる…そして私たちは、恥辱と怒りそして何もすることができないことに対するフラストレーションで全身が燃えそうになる。今回、世界中の人々は拷問が当初から行われていたことを知ったわけだが、これでやっと何がファルージャで起こっているか理解してくれただろうか。

私が訪れるすべてのサイトであの写真がなんらかのかたちで目に入ってくるように感じるので、インターネットを忌避している。私は、あの写真がそこになかったらという願いと全世界が見ることが重要であるという想いとの間で引き裂かれている。私を最も悩ましていることはたぶん、子供たちがそれを見ることができるということだ。顔がない裸の体の上に、いやらしいアメリカ人兵士の顔がむけられていることについてどのように子供たちに話せばいいのだろう。どのように病的でねじれた精神について説明すればいいのか。何が7歳の身にふりかかっているかをどのように話したらいいのだろうか。

バグダッドや他の場所でデモンストレーションが起こっている。アブ・グレイブ刑務所自体の外でも大規模なデモがあった。刑務所の収容者の数人の家族は拘留および残虐行為に抗議して、激怒に涙を流し心配で顔を歪めその中にいた。そこの人々、一人一人が、あのグアンタナモを温泉保養地のように見せる地獄の壁の内側で彼らの愛する者がどんな扱いを受け苦しめられているのかと心を痛めていた。

また、その渦中において、ブッシュは胸がむかむかするスピーチを行った。彼は中東のテレビ局に出演し、内気そうにそして誠実に見えるように振る舞いながら、このような行為が長い間行われていたという事実にもかかわらず、この「出来事」はアメリカ人あるいは軍隊すべてを象徴するものでない、などとわけのわからない事を言った。また彼は、アメリカ人に対する態度にこれらの写真を反射させないようにとイラク人に依頼した。一方で、アメリカ人がファルージャの通りを引きずられた報復に、アメリカ軍が都市全体を罰したというのに…

彼は云う。「これは、合衆国の名誉についたシミ」だと。いいえ、私はそうは思わないわ。いとしのブッシュ、あなたの祖国の名誉についたシミは、クリントンがまだワイトハウスにいた頃、大見だしで報じられた不名誉なあの青いスーツについていたもののこと…これは「シミ」などではなく、大災害。そして、あなたがイラクへ進攻し、WMD(大量破壊兵器)を見つけることができなかったその時、あなたの信用はなくなった…あなたの名声など最初から存在してなどいない。

アブ・グレイブ刑務所における残虐行為が本当にアメリカ軍の特性でないですって? グアンタナモでアメリカ人によって行われた残虐行為はなんなの? アフガニスタンは? 私はわざわざあさましい過去を引き合いに出さないわ。とにかく現在に注目しましょう。拷問と屈辱が、「アメリカ軍の駐留という恵みに授かった」国々で使用される共通の技術であるように見える。私がこれまで聞いた最も下手な弁解は、アメリカ軍の兵士がジュネーブ条約に謳われている人権の原則を教えられなかったということだった。正しいモラル、価値観そして思いやりを教えなければならない。

前政権が、自分たちの不確実な運命に怯えた米軍捕虜の写真をテレビで放映した時の全世界の怒りのことが頭を離れない。「アメリカ製の素敵な」服を着た傷ひとつない捕虜の姿をさらすなんてイラク人はケダモノだと主張した米国民からの抗議を思い出す。それなら、今回これはアメリカ人にとって何なのか。

私たちはすべてを聞いていた…占領当初から、何時間も正座を強いられ、冷水をかけられ、蹴られ、ぶたれて睡眠を何日も許されず、悪名高い「赤い部屋」に何日も勾留させられるという囚人の話を…強姦、劣悪な扱い、精神的・身体的な拷問の話を聞いていた。私たちが聞いていることは誇張なのだと信じたかった瞬間もあった。しかし今私は、それが真実の小さな断片だったことを悟った。この真実の体裁を繕うことなどできない。そんなものなどない。

このすべての間、統治評議会はどこに行ってしまったの。操り人形はどの石の下で隠れているの。なぜ誰もこれを非難しないの。なんでブレマーは自分とアメリカの釈明を行わないの。この耐えられない静寂は何?

私は、「衝撃」的な写真に対しアメリカ人がショックだと主張することが理解できない。あなたたちは軍隊がドアを壊し、女性と子供を震え上がらせ、恐れさせ、罵り、叫び、地面に押し、引きずり倒し人々の頭をブーツで踏みつける様を見たでしょう。軍隊が民間人を平然と撃つのを見たでしょう。軍隊が都市と町を爆撃するのを見たでしょう。戦車とヘリコプターを使用して自動車や人間を燃やすのをあなたたちは見たでしょう。この一連の暴虐はまったく恐ろしく驚きではないのですか。

南部での殺戮の数はさらに増えた。アメリカとイギリスは、彼らが「反乱軍」、およびアル・サドルの民兵の一部であると言っている。しかしナジャフの人々は、無辜の民間人が毎日死んでいると主張している。今日、軍隊はナジャフに侵攻した。また、通りで戦闘があった。ナジャフが聖都と考えられ、世界中のシーア派にとって最も大切な場所なので、これは暴動を引き起こす。南部の状況は、一体誰がこの時期人々を「保護する」ためにファルージャやナジャフのエリア一帯に飛行禁止区域を決定するのかだ。

私は時々解決策を提案してくれるようにと依頼する電子メールを受け取る。いいでしょう。本日のレッスン:強姦せず、拷問せず、殺さず、まだ選択の余地があるような場合-できることなら干渉しない…混乱? 内戦? 流血? 私たちは私たちの運命を引きうける―だから、あなた達の操り人形、あなた達の戦車、あなた達の精密兵器、あなた達の愚かな政治家、あなた達の嘘、あなた達のから約束、あなた達の強姦魔、あなた達のサディスティックな虐待者を連れて出ていって。(翻訳:リバーベンド・プロジェクト  山口陽子)