TUP BULLETIN

速報380号 リバーベンドの日記(9月24日) 04年10月2日

投稿日 2004年10月2日

DATE: 2004年10月2日(土) 午後11時34分

☆アメリカにサンキューを連発するアラウィ


戦火の中のバグダッド、停電の合間をぬって書きつがれる24歳の 女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、 女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、 検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列 と水汲みにあけくれする毎日。「イラクのアンネ」として世界中で 読まれています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため 息が感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、 TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 http://www.geocities.jp/riverbendblog/


 自分たちの国をめちゃくちゃにした米国の議員たちに、「サンキュー」 を連発する首相。当人はほとんど外国暮らしで、今も英国籍、CIA から給料をもらっていた(いる)とも言われる――悪質なパロディか悪夢 のようですが、これがイラクの現実。省みて日本は? TUP速報379 号パンタ笛吹さんのパロディ「もし日本がイラクだったとしたら」とぜひ 併せて読んで下さい。ここにあるように日本もすでに現実がパロディか、 パロディが現実かわからなくなりつつある?(TUP/池田真里)


2004年9月24日金曜日

うそつき、うそつき・・・

昨日の夜、なにか面白い番組はないかとチャンネル・サーフィンしていた。 ぼんやりとアル・アラビアにチャンネルを合わせたら、ブッシュのいかれた 顔が画面にばっと出てきた。そう、ふつうだったら、ブッシュの顔をみたら 即チャンネルを切り替えて、ブッシュほどはわたしを怒らせない番組を探そ うとする。今回はアラウィのずんぐりした姿が現れたので、このまま見るこ とにした。ブッシュが新生イラクの‘指導者’なる輩の誰かと一緒にいると ころは、いつも見ものだ。

ブッシュがしゃべり始めたので、これから数分、吐き気に耐える覚悟を決 めた。ブッシュほどわたしを苛つかせるやつはいない。長く伸ばした爪で黒 板を引っ掻く音、手で発泡スチロールをこする音、赤ん坊のかん高い泣き声、 犬の吠え声、歯ぎしり、ポタポタたれる蛇口、やかましい警笛、これが全部 いちどきに聞こえたと想像してみて。ブッシュの声がわたしの耳にどう響く かわかると思う。

目の焦点をゆるめブッシュの顔ではなく、戦争以来何千回と繰り返されたた わごとに集中しようと努力して、じっと聞いていた。ふだんわたしはテレビに 向かって言い返したりしない。だが、ブッシュが出ていると、とてもがまんで きない。わたしは言い返した。うそつきと決めつけばかものと吐き捨てながら、 どうしてこんな男がここまでやってこられたのだろうか、こんな男が再選に向 けて立候補するなんてことがあっていいのだろうかと考えていた。E(弟)も 怒ってソファのわたしのとなりに座っていた。「こんなもの見てられるか」と 言って、わたしが握ってここぞというとき振り回していたリモコンに飛びつい てきた――短い争奪戦のすえ、リバーベンドの勝利。

ご存じのとおり、イラクの状況はころがり落ちるように悪化している。それ で、ブッシュのスピーチライターは以前の原稿を再生利用せざるをえないのだ。 昨日の演説を聞いたら、誰だって旧作からの寄せ集めをただコピーして貼り付 けただけと思っただろう。わたしが気に入ったのはこの部分。「電力供給量は 回復され開戦前の水準を上回りました」。Eだってこれには笑わずにはいられ なかった。数日前、バグダードの大部分は24時間以上真っ暗だった。最近は ましな日で大体12時間の通電といったところだ。ブッシュはここのところを 取り違えたのだ(あるいはアラウィが間違えて教えたのだ)――つまり、電力 供給量は開戦前の水準を大きく下回っているが、支払う電気料金は開戦前の水 準をはるかに上回っている。イラクのみなさん、「水準を上回って」おめでと う!! 先月の電気料金請求書はいたかった。開戦前、イラクでは、電気料金 は夏冬通じて月平均5千イラク・ディナールくらいのものだった(当時のレー トで計算すると2ドル50セント)。それがいまや7万イラク・ディナールを 超える・・・それも半日しか通じない電気に対して。

ブッシュがイラクの眩いばかりの変化についてお言葉を披露したあと、アラ ウィが登場した。ブッシュがイラク国民の名を騙って演説するのと、アラウィ がイラク国民になり代わって演説するのと――どちらが悪いかはっきり判断を 下すことはできそうもない。昨日の演説はとりわけ判断をまごつかせるものだ った。アラウィは米国議会議場に立ち議員を前におべんちゃらを連ねていた― ―戦争をして下さってありがとう、占領して下さってありがとう、何千ものイ ラク人のいのちを奪ってくれてありがとう。それも、このすべてをイラク国民 を代表して言ったのだ。わたしの怒りに火がつき、今年百回目と思える逆上を 経験した。さらにもう一人の亡命者が、ただ今現在わたしたちが苦闘している、 酸鼻のきわみの大混乱をもたらしてくれてありがとうと、ブッシュ政権に感謝 している。わが国政担当者たちは生活時間の90パーセントを国外で過ごして いる(ところで、誰かわが大統領ガジ・アジール・アル・ヤワルの消息を知っ てる人がいたら教えて――いちばん最近どこにいたって?)。治安はとんでも ない状態だ。報道機関は次々に店じまいして引き上げていっている。それなの にわが愛すべき亡命者たちはアメリカ国民の前にバラ色のイラクを描いて見せ ている。わかるでしょ、これでブッシュを大統領に選んだ人たちが安心して眠 れるってわけ。

アラウィは実に9回も“サンキュー"を言ったのだ。ほんとはもっと何回も 言うべきだったのだ――少なくとも昨日死んだイラク人の2倍は・・・一昨日 の死者数の5倍くらいはせめて。先月だけでも350人以上ものイラク人が、 米軍の空爆か、戦闘か、爆発かで殺された・・・それなのに、サンキューをた った9回だけ?

選挙はもう並みのお笑いぐさだ。選挙を行うのに‘安全な’場所でだけ選挙 を行うという論議がある。いまのイラクで一体何がどうだったら‘安全’とい えるのだろうか。‘安全’って米軍に対する攻撃が少ない州のこと? それと も外国人に対する誘拐が起きていない地域のこと? それともイスラム共和国 を選ばないで、アラウィを選ぶ地域のこと? こういう場所を拾いあげるのは 誰か。いま現在、バグダードはひじょうに危険だ。毎日誘拐、殺人、爆発があ り、スラム地域、サドル・シティは空爆されている・・・こんなバグダードで 選挙が行われるだろうか? ブッシュが‘安全’地帯だけで選挙をしていいっ てことになったと想像してみて。そう、テキサスとフロリダで。どんなことに なるか・・。

人質の問題はたまらない。誰もがイタリア人人質たちがどうなったか案じて いる。ほんとうに死んでしまったのか。そんなことがあるだろうか。テレビで イギリス人人質の家族を見るのはとてもつらい。この人たちはこのあとで永遠 にイラク人を憎むのではないだろうか。CNNで放映された家族の訴えを見な がら、わたしは誘拐犯たちに向かって寛大な対応をと求めていた。毎日何十人 ものイラク人が誘拐されているが、誰も何者が背後にいるのかしかと知らない。 あるイスラムグループだと名指しする人々もいるし、ある政治グループ、たと えばチャラビの一派だと言う人々もいる。わが首相アラウィが、本人が認めた ようにイラク国内での爆発や暗殺に関与していたことを考えれば、驚くほど のことではない。

ここをクリックすると面白い情報がある(訳注:Word Iqというサイトのア ラウィのページにつながる。アラウィがCIAの支援を得たイラク国民合意を率 いてサダム政権下で爆発事件を実行し、大量破壊兵器について虚偽の情報を提 供し、政権についた6月に見せしめのために勾留イラク人6人を処刑したこと、 英国に長く暮らし今も英国国籍をもつことなどが書かれている)。  まだ読んでいなかったら、ホアン・コールの「もしアメリカがイラクだった ら」をぜひ読んで。

リバーによって掲示 午後3時6分

(翻訳:TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里)

<参考> ホアン・コール、「もしアメリカがイラクだったら」(「インフォームド・ コメント」の9月22日の記事) http://www.juancole.com/2004_09_01_juancole_archive.html#109582366638394688

パンタ笛吹き、「もし日本がイラクだったなら」(TUP速報379号) http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/402