TUP BULLETIN

速報545号 リバーベンドの日記 9月9日 ブログ再開しました 050911

投稿日 2005年9月11日

DATE: 2005年9月11日(日) 午前11時39分

戦禍と旱魃のバグダード、水難のニューオーリンズ・・・!


戦火の中のバグダード、停電の合間をぬって書きつがれる25歳の 女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、 女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、 検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列 と水汲みにあけくれる毎日。「イラクのアンネ」として世界中で読ま れています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が 感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、T UPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 (転載転送大歓迎です)

(TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里) http://www.geocities.jp/riverbendblog/


2005年9月9日金曜日

ブログ再開

長い間ブログを休んでしまった。理由はいくつかあるけれど、ただブログ する気になれなかった、それが一番の理由。

暦(こよみ)の上では、今は夏の終わり。でも実際には、少なくともあと ひと月、暑さに組み伏せられるような日々が続く。9月半ばのバグダードは 相変わらず暑く、雨が降らない。日差しがまだ柔らかい早朝のほんのわずか な時間が、恵みの時。早起きすれば、そよ風と夏の涼しさの中でたっぷり1 時間は過ごすことができる。

今夏のバグダードの電気事情は、壊滅的だった。毎日連続8時間から10 時間、少なくとも6時間は電気がなかった。冬であれば、停電したら地区の 発電機が給電してくれる。夏は、そうはいかない。暑さとエアコン使用で負 荷がかかりすぎ、おまけに燃料不足なので、発電機の多くは日中止めておか なければならない。

それだけでなく水も不足している。みんな慣れてきたとはいうものの。朝 起きてまず気がつくのは、今日は断水だということ。今朝も目覚めてベッド から出る前にもう、断水しているとわかった。音で。家中、干上がっていた。 ふだんの家の営みが聞こえるかと耳を澄ませてみる。が、聞こえない。廊下 の端のバスルームからのぽたぽたと蛇口を伝う水の音。階下の台所で皿を洗 う音。トイレの水が流される音。どれもまったく聞こえない。もちろんシャ ワーの音なんて。家はからからに乾いている。

この干ばつと熱波は、テレビに映し出されるミシシッピとルイジアナの映 像とまるで対照的だ。毎日、テレビでカトリーナが残した大破壊を見ては、 戦争や占領のような人為的な破壊と、ハリケーンや津波のような自然災害と どちらが耐え難いだろうかと考えあぐねている。

アインマ橋の悲劇以来2週間、バグダードの多くの地区は、ほとんど黒く被 われている。家から数キロのところにモスクがあって、その外壁に幅の広い 黒幕がいくつも掛かっている。この2年間、この光景にも慣れてしまった。 どの幕にも、アラビア文字の凝った書体で、イラク人の死が告知され、その 日から数日間一家の男性たちがモスクでお悔やみを受けると述べられている。

今は、砂埃でくすんだ薄茶色のモスクの壁がほとんど見えないほど、黒い 死亡告知の幕で被われてしまった。ひと目で読みとることなどできない。最 も心をかき乱されるのは、今、多くの幕の一枚一枚に一つではなく大勢の名 が書かれていることだ。橋の惨劇後、幕は、一つの家族から2人も3人も4 人も犠牲者が出たことを告げている。

このところ、憲法草案を何度も読み返している。非常に危ないと感じさせ るものだ。所々、あまりしっかり検討されたとも思えない条項については、 あるべき憲法の要約のような感じだ。もしかして切り貼りしたの、という感 じ。完成品とは思えない。ある所では漠然としすぎ、またの所では、不審な 感じを受けるほど精緻にかかれている。明日、憲法草案について特集ブログ を書くつもり。そのー、私が理解したことだけでも、ね。

午前1時48分 リバー

(翻訳:TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里) —————————————————————— TUP速報 配信担当 萩谷 良 電子メール:TUP-Bulletin-owner@y… TUP速報のお申し込みは:http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/ *お問い合わせは多数にのぼり、ご返事を差し上げられない場合もありますこと をご了承ください。 ■TUPアンソロジー『世界は変えられる』(七つ森書館) JCJ市民メディア賞受 賞!! ■第II集も好評発売中!!