TUP BULLETIN

速報634号 ドナより 「ザ・キャッスル」のように・・・  061002

投稿日 2006年10月2日

DATE: 2006年10月2日(月) 午前10時55分

公判はいよいよ明日・・・


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチナ を旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプケーシーにつ いて報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを見据 え、05年12月に米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献して きたアリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地に向かい民間査察 を強行して逮捕され、最高7年の刑期を課せられるかもしれない裁判を10月3日 に向かえることになっています。  しかし、この裁判に一大インパクトを与える重大事件が発生しました。オー ストラリアで大ヒットした映画「ザ・キャッスル」(1996年:日本未公開:わ が家を「キャッスル(お城)」と呼ぶ父親と家族が家を守る戦いの話)になぞ らえて、ドナが新状況を報告します。 (翻訳:福永克紀/TUP)


「ザ・キャッスル」という、あの映画を覚えていますか? ドナ・マルハーン 2006年9月26日

お友達の皆さんへ

あの偉大なオーストラリア映画「ザ・キャッスル」を覚えているでしょうか?

自分の家が近くの空港拡張用地のために政府から取り壊しの指定を受けたある 家族が、その家を守るためにたたかう話です。

労働者階級のその家族が雇った弁護士は、壊れたコピー機しか持たないよう な、しがない地元の弁護士でしたが、裁判で彼の最善を尽くしてこの強制退去 は憲法に反すると主張します。

「そう感じるんです」と、彼は判事に訴えます。「憲法の問題なんです。そう 感じるんです……」

彼には、なにか正しくないことがあることが分かっていても、それを適切な法 律用語で表明することが難しかったのです。

そう、私たちパイン・ギャップの4人が起訴され7年の投獄で脅されている1952 年の防衛(特別事業)法に感じているようにです。それは、なにか危なっかし いものがあると思うのです。極端で、時代遅れで、偏執的なのです。まちがい なく、なにか正しくないものがあるのです。

それは……なんと言うか……感じるのです。

そうやって、北部準州の最高裁で弁護人もなしに、私たちが果敢にもこの法に 懸念を表明しようとしたとして、そしてなかなかいい仕事をしたとしても、判 事は真摯にそれを受け止めてくれるでしょうか? また、大勢の検察側弁護人 たちが、私たちを晩餐に招待してくれるでしょうか? 私たちは、監獄入りの 荷造りをしたほうがいいのでしょうか?

映画の話に戻ってみましょう……家族は、バド・ティングウェル扮するロー リーと出会う。ローリーは、初老の高名な引退判事であり、事件のことを聞 き、家族だけでたたかうのは困難だと考えるようになる。彼らの家を取り壊す 決定は法律的に間違っていると認識した彼は、無償で家族の弁護を引き受け る。彼らは法廷に戻り、勝利する。

私たちの法廷代理人についての仲間内の議論では、自分たち自身で弁護するの がふさわしい、しがない地元の弁護士と同じぐらいのことはできるだろう、で ももし誰か一流の法律の援護者が現れれば喜んで受け入れると大筋合意しまし た。

私は仲間たちに言ったのです。「ザ・キャッスル」のストーリーのようなこと が私たちにも起こる気がすると。つまり、この防衛(特別事業)法にはまちが いがあると信じた引退判事が現れて、私たちに無償で弁護を引き受けると言っ てくれるのです。

皆は私の幸運を祈ってくれたものの、自分たちの弁護準備に取り掛かり、その 間私は、私たちのバド・ティングウェルを見つけようと努力しました。

希望にかないそうな人にも、そうでない人にも誰彼なくEメールを送りました ! たくさんの返事が返ってきたわけではありませんが、最も著名な人たちで は、NGO「リバティ・ヴィクトリア(Liberty Victoria)」のブライアン・ ウォルターズが手助けしたいが私たちの裁判期日には忙しくて無理だというこ とですし、ニュー・サウス・ウェールズの「人権評議会(Council of Civil Liberties)」は支持はするがはやり無理ということでした。ニュー・サウス ・ウェールズ大学のベン・ソール博士は書面として法律的意見書を提出するこ とはできるが代理人として法廷に立つことはできないとのことでした。

私が「ザ・キャッスル」のシナリオをあきらめかけた時、電話のベルが鳴った のです。

「ドナさんですか、ロン・マークルです。あなたの裁判のことで電話しまし た」

いま私がロン・マークルと言っているのは、引退連邦裁判官の勅撰弁護士ロン ・マークル判事閣下のことを実際に意味しています。

喉がゴクリ。

ロン・マークル判事は、連邦裁判所裁判官として10年間おもに公益事件や「戦 略的訴訟」を担当した後、早期退職しました。難民問題と先住民族の権利の長 年にわたる擁護者であった彼は、いわゆる「対テロ法」や、充分な司法審査を 経ることもなく極端に高圧的な権力機構を作り上げようとする現政府の方向性 を厳しく批判しています。

これは、まさに私たちのバド・ティングウェルが現れたってこと?

ほんの少し防衛(特別事業)法について論議しただけで、ロン・マークルはこ の問題に関して「感じる」だけ以上の何かを見つけました。

月曜日には、北部準州最高裁でのパイン・ギャップの4人に対する審理前聴聞 が電話でおこなわれました。初めて私たちに代理人がついて……バド、ではな かった失礼、ロン・マークル勅撰弁護士がついて!

彼が代理人として紹介された時の検察官たちの顔を見ることができていたなら ばと、願うばかりでした。

マークル判事の関与によって、この裁判はもうひとつ別のレベルのものとなり ました。

いまや私たちは、10月3日にこの強権的な防衛(特別事業)法の容疑を却下さ せる方向に動き出している卓越した法律家チームに恵まれたのです。

私たちは、こう証言するでしょう。「答弁すべき訴訟に当たらず」

政府は、弁護側に対抗するため、またパイン・ギャップの本質を法廷で全面的 に暴こうとする動きを迎え撃とうと6名もの法律家や勅撰弁護士を寄せ集めま した。そういうわけで、10月3日の裁判予定日は、防衛(特別事業)法の適法 性についての審理前弁論の日となりました――この超パラノイア的法律を白日 の下にさらけ出せる絶大なチャンスなのです。

陪審員の前でおこなわれる「証拠調べ」は、おこなわれないことになったので す。

私は、投獄に備えて荷造りするのをやめにしました。

法廷の外では、全オーストラリアから集まる活動家と支援者(それにキアロン ・オライリーがアイルランドから直接駆けつけてくれます)の平和大集会が、 私たちを私たちの主要課題に引き戻してくれます――パイン・ギャップのこと と、破滅的なイラク戦争でのその役割を暴くことです。

ことは熱くなってきています。オーストラリア中の(世界中からも)個人や団 体からの強い支持を実感しています。

財政的援助を寄付してくださった皆さん、とても感謝しています。皆さんの反 応はすばらしいものでした。支持の署名を送ってくださった皆さん、非常に勇 気づけられました、ありがとうございました。署名は裁判の期間中法廷外に掲 示されることになります。

アリガトウ!

私たち全員が、来週の法廷内政治活動の成り行きを、確信と興奮とともに待ち 望んでいます。

更なる情報は、手に入り次第に!

皆さんの巡礼者 ドナより

追伸:最近の市民集会や、私たちの口座を通して寄付していただいた方々には 特に感謝しています、とりわけ、ジョセフ、あなたの惜しみない寄付に感謝し ます。

追追伸:集会を開催してくださったグループの皆さんに感謝します――ニュー トン・ピース・グループ(Newtown Peace Group)、ライカート・ピース・グ ループ(Leichhardt Peace Group)、トゥウンバ・ディナー・ディスカッショ ンズ(Toowoomba Dinner Discussions)、ニューカッスル労働会館評議会(そ れに、ニコ・リカ)、オーストラリア反基地連合(Australian Anti-Bases Coalition)、メルボルン聖マルティヌス・コミュニティ教会(St Martins Community Church, Melbourne)

追追追伸:実働上で援助いただいた方々に感謝します――建設・林業・鉱山・ エネルギー労組(ティム・ヴォルマー)、ケリー・ネトル上院議員事務所(デ イミアン・ローソン)、シドニー戦争をとめよう連合、ゲーリック・クラブ、 土曜の夜の募金会で働いていただいた皆さん、トニー・アードレイ、ヴァネサ ・アリア、ブレット・ミラー、連帯合唱団(Solidarity Choir)、ウィル・ ソーンダース。全ての支援いただいた方と富くじ寄付者の皆さんありがとう ――約2000ドル[訳者注:17万円強]も集めることができました!

追追追追伸:「もし政府機構が、他の人に対する不正への手先となるようあな たに強いる性格のものであるなら、あえて言うが、法を犯しなさい。あなたの 人生をその機械を止める抵抗摩擦にするのです」――1848年、ヘンリー・デイ ヴィッド・ソーロー

原文:You remember that movie, The Castle? URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/189

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