TUP BULLETIN

速報641号 ドナより パイン・ギャップ・デモ 061016

投稿日 2006年10月15日

DATE: 2006年10月16日(月) 午前7時42分

「オーストラリアと米国の政府に私はもうだまされないと知らしめるために」


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチナ を旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプケーシーにつ いて報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを見据 え、05年12月に米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献して きたアリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地に向かい民間査察 を強行して逮捕・起訴され、最高7年の刑期を課せられるかもしれません。

10月4日に始まったその裁判の第1ステージにあわせた10月7日(土)のデモ で、新たに逮捕者が出ました。疲れ果てていると言う、ドナからの報告です。 [訳者注:読者の方へ、今回はプロポーショナル・フォントではなく、等幅の フォントでお読みいただくようお願いします] (翻訳:福永克紀/TUP)


父なる神の御名において……パイン・ギャップで新たに5人逮捕 ドナ・マルハーン 2006年10月11日

「父なる神と、子なる神キリストと、聖霊の御名において」と、サムは木製の 十字架を握り締め、頭上に高く掲げながら大声を上げました。

22歳のサムが、この三位一体を唱えたのは教会ではありません。祈祷会やヴィ ジルの時でもありませんでした。

そのとき彼は、パイン・ギャップ正門前で、門を警備する総勢25人の警官に逮 捕されそうになって、焼け付くアスファルト道路に跪いていたのです。

サムと一緒に路上に跪いたり座り込んだりしていたのは、アデレード在住のア メリカ人エドワード、ヤプーン(クイーンズランド州)在住のトレイシー、地 元アリス・スプリングス在住のカールとジェイミーでした。

ちょっと前には彼らも、午後のデモの一員として他の仲間たちの集団と路上で お互いの体をつなげて、1時間半の座り込みをしていました。色鮮やかな毛糸 とリボンでお互いの体や看板や警察の車を結びつけ人間の網を織り成していた のです。パイン・ギャップでの平和的抗議の一日が、雑然としながらも美しく 最高に盛り上がっていた時でした。それは独創的で、象徴的で、おもしろく て、とても感動的でした。

午後の始まりは、オーストラリア中および世界中から寄せられたメッセージと 支持署名の読み上げからでした。そして、死者に対する厳粛な手向けの儀式が 続きました――小さな厚紙にイラクで殺害された人々の名前をそれぞれ記入 し、ゲート前に立てた高さ10フィートの木製十字架にピン止めしていくので す。

旗やバナーを掲げた子供たちが、ゲートへの行進を先導し、警察官に野の花を 差し出しました。警官たちが花を受け取らないと、子供たちはそっと彼らの足 元に花を置きました。

基地を改名する式典を執り行いました。

《 パイン・ギャップ・テロ基地  》 《 誇り高く米国に追従   》 《 》 《 待ってる間に市民が爆撃されて 》 《 石器時代に逆戻り 》 《 》 《 レイセオン提供 》

と書かれたバナーを、基地の正門看板に被せたのです。

市民査察用のそろいの衣服をまとった一団が、基地に入る許可を求め、もし拒 否するなら理由を説明できる責任者を出せと要求しました。

当局側の返答を待っている間私たちは、多くの人々を殺害する武器を製造する ばかりでなく、パイン・ギャップを維持運営する危なっかしい軍需会社レイセ オンの役割を描写する路上演劇を楽しみました。米国戦闘機を使用不能にした 件で最近ダブリンの裁判所で無罪を勝ち取ったアイルランド系オーストラリア 人の平和活動家キアロン・オライリーが、群集に演説しました。

パイン・ギャップ警備の責任者ケン・ネイピアが出てきて、私たちの査察要求 にきっぱりと「ノー」と言ってから、私たちは道路に座り込み、歌を歌い、マ イケル・フランティに聞き入り(大音響で)、いろんな信仰の平和の教えを読 み上げました。

日が傾き始めた頃、警察が群集に移動せよと要求しました。みんな命令に従 い、道路から出て脇に移動しました。

ただし5人だけは別で、この人たちは他の人たちがしようとしていることに気 づかず、勇敢な市民的不服従の行為として警官の退去命令を無視しようと決め ました。彼らは逮捕され、あとで、交通妨害とうろつくのをやめなかった罪 (それが何を意味するにしても!)で起訴されました。

沈み行くパイン・ギャップの夕日の中で、警察隊の隊列に向かい合い、挑戦的 に、でも平和的に道に座り込んでいる、たった5人の光景は、すこぶる力強い ものでした。サムの、まるで基地の邪悪なものを追い払うように十字架を高く 掲げ、同時に自己の非暴力への信仰を祈りによってこの場にもたらそうとする 姿に、私は涙ぐんでしまいました。

のちに聞いた話では、護送車に連れて行かれるとき彼らは「主の祈り」を唱え たそうです。それぞれ異なるバージョンの「主の祈り」でした、というのも、 彼ら5人の中にはカトリックの者も聖公会の者も新興宗派の者もいたからです !

彼ら5人は、イラクにおけるパイン・ギャップの役割についての彼らの懸念を 表明した時、真実を権力に向かって語るという強力な証しを行ったのです。

この5人および他のデモ参加者のおかげで、この話がその夜と翌日の全国 ニュースに流れることとなり、再びパイン・ギャップ問題が世間の注目を集め ることになりました。 http://www.smh.com.au/news/NATIONAL/Five-arrested-in-Pine-Gap-protest/2006/10/07/1159641577104.html http://abc.net.au/news/australia/nt/alice/200610/s1757929.htm http://abc.net.au/news/australia/nt/alice/200610/s1757927.htm 写真はこちらのページ http://www.melbourne.indymedia.org/news/2006/10/126149.php

5人は、10月17日(火)にアリス・スプリングス下級裁判所に出廷することに なります。私たちは全面的に支援します。

パイン・ギャップでの行動はこれで終わりではありませんでした。日曜の朝に は、正装したカトリック司祭がゲート前でいっぱい集まった地元の人や来訪者 たちにミサを行なってくれました。そのびっくりするようなイベントの詳細報 告は、もうすぐです。

一方、パイン・ギャップの4人は、先週の裁判での陳述に対する判事の考えを 聞くために、明日(木曜日)再び出廷します。その後の何週間か、さらに法的 論議が交わされると予想していますが、私たちは実際に出廷する必要はありま せん。本裁判の期日が早く決まるように願っています。

他の町から来てくれたほとんどの支援者とは、もうお別れの挨拶を済ませまし た。なんとすばらしい一団だったことでしょう! なんとすばらしい一週間を 過ごせたことでしょう――彼らなくしてこんなことはできなかったでしょう ――アリガトウ!

そして、皆さんすべてのご支援に感謝します。

皆さんの巡礼者 ドナより

追伸:土曜の行動に関するメディア・リリース文を下に貼り付けています、ど うか情報更新なり配布なりできるように使ってください。更なる情報は、 http://www.pinegap6.org で。5人の写真も添付しておきます。 [訳者注:TUPでは写真を添付することはできません]

追追伸:この報告が遅れてすみません。ここ数日、いくらか疲れ果てて (ちょっと具合も悪くなって)いたのです!

追追追伸:来たるべき裁判に備えて、さらに更改を重ねたきっちりとしたパイ ン・ギャップの4人の支持者署名リストを作成中です。もし加名を希望される なら、このメールに返信し私にお知らせください。

追追追追伸:「悪の勝利に必要なものは、善人が何もしないことだけである」 ――エドマンド・バーク

[訳者注:以下、メディア・リリース文] パイン・ギャップのデモで、5人が逮捕

2006年10月7日

本日午後、アリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地正門前のデ モで、5名が逮捕された。

クイーンズランド中部のヤプーン在住のトレイシー・マカマエ(43)、ニュー ジーランド在住のサム・ランド(22)、アデレード在住のエドワード・クラン ズウィック(56)、アリス・スプリングス在住のジェイミー・フォード (28)、同じくアリス・スプリングス在住のカール・ジョンストン(22)の5 人は、施設に通ずる路上で1時間半の道路封鎖をやめることを拒否したとして 逮捕された。

逮捕は、地元および他州の活動家約60名が多彩な抗議行動を繰り広げた午後が 終わる頃に発生した。昨年パイン・ギャップに侵入し現在実刑7年の脅しに直 面しているクリスチャン平和活動家4人の裁判の第一段階にあわせて、この行 動は行なわれた。

逮捕の前には、35人のグループが輪になって路上に座り込み、警察車両とふた つの警告板も一緒に自分たちの体を互いに毛糸で結び網状態にし、完全に基地 への交通を遮断していた。

午後6時頃、警官が毛糸を切断し、グループに話を持ちかけ、ついに道路から 出て行かない者はうろつきの罪で検挙すると言った。

5人は歌いながら道の中央に留まり、ひとりは頭上に十字架を掲げ、順に逮捕 されていくまで待ち続けた。

この行動は、パイン・ギャップとイラク戦争でのその役割に注目を集めるため の一週間の活動の集大成である。

トレイシー・マカマエは、嘘をつかれているのにはもう飽き飽きしたから行動 に出たと語る。

「米国政府とオーストラリア政府は私たちに嘘をつき続けていますが、私たち はそれを鵜呑みにしてきて、あまりに長くパイン・ギャップ問題を無視してき たのです」と、彼女は言う。

「オーストラリアと米国の政府に私はもうだまされないと知らしめるために行 動しました――私はくじけません。私は、イラクやアフガニスタンで殺されて いる何百人もの市民、男や女たち、子供たちを無視することはありません」

「知性あるオーストラリア人は、どうやってこれ以上の無視を申し開きできる というのでしょうか?」

アリス・スプリングス在住のカール・ジョンストンもまた、声をあげずにいる のは嫌になったと言う。

「もしオーストラリアが爆撃されたら、オーストラリア人もイラク人に私たち と同じことをやって助けて欲しいと思うでしょう」と、彼は言う。

元米国政府職員のエドワード・クランズウィックは、彼が守りたいのは、マー ティン・ルーサー・キングの、リンカーンの、ジェファーソンのアメリカであ り、「ブッシュの狂気」のアメリカではないと言う。

ニュージーランド在住のカトリック・ワーカー平和主義者のサム・ランドは、 クリスチャンとしてそしてカトリック教徒として彼は良心に動かされたのだと 言う。

「私の良心が、もはや傍観することを許さず、パイン・ギャップがこの戦争で 重要な役割を果たし続けることを許さないのです」と、彼は言う。

感動的な4時間のデモでは、イラクで命を落とした各国の市民、兵士、作業 員、ジャーナリストの名前を読み上げていく、死者を弔う厳粛な儀式が行なわ れた。その後、記された名前がゲート前に立てられた12フィートの木製十字架 に貼り付けられた。

子供たちの一団がリボンを振りながら正門に行進し、警備員に花を差し出し た。帰ってきたのは沈黙と、ほとんどは空ろな視線だった。

さらに市民査察チームは、パイン・ギャップ正門入口看板に同寸大の「パイン ・ギャップ・テロ基地」と書かれたバナーを被せ、防衛施設の改名式を行なっ た。バナーに書かれていたのは、

《 パイン・ギャップ・テロ基地  》 《 誇り高く米国に追従   》 《 》 《 待ってる間に市民が爆撃されて 》 《 石器時代に逆戻り 》 《 》 《 レイセオン提供 》

である。

集まった者たちは、米国軍用機に2百50万ドルの損害を与えて使用不能にした が最近無罪となったアイルランド系オーストラリア人の活動家キアロン・オラ イリーの演説を聴いた。

日曜の朝にも行動は続けられ、基地に到着した職員と警備員は、パイン・ ギャップのゲート前で、カトリック司祭による正式な日曜ミサが執り行われる のを見ることになる。

詳しい情報の連絡先は、ドナ・マルハーンXXXX-XXXXXX、ジェシカ・モリソン XXXX-XXXXXXまで。 本日の行動の写真とビデオに応じることも可能。 [訳者注:電話番号省略]

原文:In the name of the father…five new arrests at Pine Gap URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/192