TUP BULLETIN

速報739号 ドナより 監獄への道すがら巡礼者が考えること

投稿日 2008年2月17日

DATE: 2008年2月18日(月) 午前6時17分

ダーウィンに旅立った「パイン・ギャップの4人」 全員、身柄拘束される


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクでの「人間 の盾」に参加した。04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元 レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにそれらを報告してくれた。04年冬か ら05年春にかけては「巡礼の旅」をしたイラク・パレスチナの話を伝えてきた。 05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカ からのその報告は、ほとんど実況中継だった。  オーストラリアに帰国したドナは、自国のテロを見据え始めることになる。米 国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献してきたのは、アリス・ スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地だ。05年12月、ドナたちはこの基 地に向かい、民間査察を強行して逮捕された。起訴された事案は、刑罰が最高7 年の実刑だ。裁判の結果、07年6月に、罰金刑と損害賠償を命じる判決を受ける ことになった。  しかし、それは新しい旅の始まりでしかなかった。2月20日〜22日に予定され る上訴審と、それに先立つ獄中生活に向けてダーウィンに旅立ったドナたちは、 ついに全員身柄を拘束された。 (翻訳:福永克紀/TUP)


監獄への道すがら巡礼者が考えること ドナ・マルハーン 2008年2月13日

親愛なる皆様――今朝(北部準州時10時30分、東部標準時正午)、ドナが逮捕さ れたときにこれを皆さんに送るように頼まれました。差し迫る逮捕を思い巡らし ドナが書き留めたものです。彼女は、日曜の夜まで獄中(ダーウィンのベリマー 刑務所)です。上訴審は2月20日(水)から始まります。 ケイティ・マクロバートより ————————————————-

私がどう感じているのか?

監獄への道すがら巡礼者が考えること

私が数日のあいだ監獄で暮らすことになると言うと、友人たちは心配のあまりう めき声をあげました。

「気をつけなさい」と、目を見開き深刻な口調で忠告してくれます。「『プリズ ナー』で起きたことを覚えているでしょう」

ありがたいことに、私は「プリズナー」を見たことがありません。それは、1980 年代の刑務所ドラマで、どこかの女囚刑務所のC独房棟だったかD独房棟だった かを舞台としていました。私も、大きくて屈強な怒りっぽい看守たちが出ていた のを思い出すことはできますが、それよりも魅力的な女囚たちの張り詰めた緊張 関係が長年の間オーストラリアの視聴者に注目されてきたことのほうを、よく覚 えています。

それで私は、友人たちがC独房棟に抱く滅入るようなイメージからは解き放たれ て、馬鹿正直なくらい楽観的にこれを経験しようと思います。

ひどくきついものじゃないだろうと言っているのではありません。しかし、きつ い経験がすべて悪いわけではありません。

現在(水曜)、ダーウィンにいます。火曜日にはブライアンが拘束されたので、 いま私の考えをまとめようというわけです――皆さんに言っておくこと、やって 欲しいこと、なにかし忘れたかもしれないことです。

先月に話をしたほとんどすべての人が尋ねました――刑務所に入るって、どんな 気持ち?

ですから、刑務所について私が考えることと疑問に思うことをここに書いておき ます。その裸の身体検査が終わった時には、私はホッとするでしょう。

私が看守たちに何を言ってしまうかということほどには、彼らが私に言うかもし れないことを心配してはいません。皆さんは気づいておられるでしょうが、私は 本音をしゃべってしまいがちな人間です、そうするように誘われようと誘われま いとです。人間性を奪うような状況だと思えば、私はほぼ間違いなくそれに挑ん でしまうでしょうが、それは友好的にではあれ断固とした態度ですべきことで す。経験豊富な人たちからそうするように薦められてきました。でも、ご心配な く、その場その場でやっていきます!

何を持って入ることも許されません。私の服も所持品も取り上げられ、一着の短 パンとTシャツをあてがわれます。その色が、私の危険人物としての度合いを示 します――危険度、低か、中か、高か。どの色をあてがわれるのか気になります し、15年間も短パンなど身に着けたこともない私のむき出しの足を見て他の囚人 たちがどう反応するかにも興味があります!

水曜日におこなわれるアボリジニの「奪われた世代」に対する政府の歴史的な謝 罪を見ることができないのは残念ですが、私はなんと興味深いところに居ること になるのでしょう――収容者の85%が先住民という北部準州の刑務所です。彼ら の意見も知りたいです。 【訳者注:奪われた世代 stolen generations オーストラリアでは19世紀末か ら1970年代までアボリジニの子供を家族から強制的に取り上げ、白人家庭で養育 するという同化政策を取ってきた。「奪われた世代」「盗まれた世代」「失われ た世代」などと訳されているこの世代は、10万人以上にのぼると言われている。 事前に予定されていたとおりに13日、ラッド労働党新首相が連邦議会で政府とし て初めて公式にアボリジニに謝罪した】

私の頭にある疑問は単純(たぶん、皆さんが尋ねるかもしれないのと同じ)で す。それは

紙とペンは使えるだろうか(私が正気を保つにはこれが不可欠でしょう!) 歯ブラシは与えられるだろうか? アデルと同室になるだろうか、それとも誰か別の人?、じゃなくて私一人? 少しでもプライバシーは守られるのか? 他の囚人たちはどんなだろう? もし看守に冗談を言ったら、歓迎されるのだろうか、顰蹙を買うのだろうか? お茶は飲みたいときに飲めるのだろうか? 雑音や灯りの中で寝付けるだろうか? 私は更生するだろうか?(冗談よ!) 嫌でたまらなくなって、脱走を企てるだろうか? 子供の頃にプリズナーを見ておけば良かったと思うだろうか? そうすれば、少 なくとも心構えくらいはできていたかも。 私はうまくやっていけるだろうか?

私の姿勢は

罰金を納めて財政的に政府の金庫に寄与する気はありませんでしたが、市民的不 服従の伝統に従い自分の行動に責任をとり、罰金支払いの代わりに刑期を務める という処罰を受け入れるつもりです。

ずっと以前に始まったひとつの旅が、次の段階に進みます。多くの意味と目的の ある旅です、そして私が行き詰ったときに頼りとするものです。

私は今後の5日間を一種の霊的な黙想の時として受け止めようと思います。私の 頭の中には活動のスケジュールができあがっています。瞑想、太極拳、エクササ イズ、福音書を読む、日記付け、などです。

刑務所の教戒師と接触しています、彼らは読み物と友愛をくれるでしょう。聖体 拝領をお願いしています。

四旬節の時期、より深く霊的に修養すべき時、他にどんな最適の場に居ることが できるでしょうか? C独房棟の砂漠しかありません。

私たちは午後3時30分から翌朝8時までそれぞれの房に閉じ込められると言われま した。うんざりするほどの時間に聞こえますが、私は瞑想の人です。孤独な場と 静寂は、私の魂の糧です。

警戒していて、興味津々で、強さを感じ、命を実感しています。

権力に真実を語ることが、招く事態がどうであれ、常に解放していくのです。

皆さんの巡礼者 ドナより

追伸:教戒師を通じてメッセージを伝えられればと願っています。でもだめな ら、月曜日には再び私自身から聞けるでしょう。

追追伸:「私はここに立っている。それ以上のことはできない。神よ私を助けた まえ」――マルティン・ルター

原文:Thoughts of a pilgrim en-route to prison URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/225

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