TUP BULLETIN

速報817号 不死鳥ガザからの報告15――アブデルワーヘド教授

投稿日 2009年4月24日
◎破壊されたガザから

今回、ガザのアブデルワーヘド教授から届いたメールは私信という体裁ですが、今のガザのようすを伝えるものであり、広く知っていただきたい内容なので、以下、邦訳してお送りします。
〔邦訳・前書: 岡真理/TUP〕

※凡例: (原注) [訳注]

おか まり さま

こんにちは。メールとお気遣いをありがとう。家族も私もなんとかやっていますが、ガザの暮らしは悲しくみじめです。何百人という人々が依然、テント暮らしを余儀なくされている一方で、ハマースはいたるところで住宅や土地を購入しています。彼らは不相応な高額を即金で支払います。
 
ハマースの建設プロジェクトでは、どこかの倉庫から煉瓦やセメントや鉄骨その他もろもろを持ち込んできて、実に短時間で完成させてしまいます!その一方で、家を失ったり、事業や農場を失った人々のための建設事業はなんにもありません!悲しみに加えて、貧困が、ガザの目立った特徴となっています。何千人もの人々がUNDP[国連開発計画]その他の国際NGOからの寄付に頼って生きています。
 
これらの寄付は緊急救援物資以上のものではありません;毛布と何種類かの食料品、あるいは食品の詰め合わせ。食いつないで、かろうじて命のともしびを灯し続けるためだけのものです!他方、何億という額が西岸の経済に注がれました!あと数日でゼイン・テレコミュニケーション[中東・アフリカ世界に展開する電話企業]がパルテル社と合併し、電話、携帯、インターネットの一大企業になります!それなのに、アラビア語のニュースでもそれ以外でも、ガザの人々についての報道は皆無です。彼らこそ真に苦しんでいるというのに!手短に言えば、です!
 
ごきげんよう、あなたに神の恵みがありますように。
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サイード・アブデルワーヘド
ガザ・アル=アズハル大学 教養・人文学部英語学科教授
<ガザは燃え立つ炎のなかから甦る不死鳥だ> 
 

原文: Prof. Abdelwahed (ガザ・アル=アズハル大学教養・人文学部英語学科) 発信の一連の電子メール
邦訳: 岡真理/TUP
※全文をつける限りにおいて、御自由に転送・転載なさって下さい。
 

◆12月末以来のアブデルワーヘド教授からの通信が本になりました!
 
ガザ通信の表紙『ガザ通信』
サイード・アブデルワーヘド著、
翻訳: 岡 真理+TUP訳、
解説: 岡 真理、 写真: 志葉 玲、
発行;青土社
2009年3月刊/四六判/142頁、定価1575円(本体1500円)、
ISBN978-4-7917-6475-4