TUP BULLETIN

速報929号 ロヤ・ジルガにおけるマラライ・ジョヤの勇気ある歴史的演説 《シリーズ「マラライ・ジョヤとアフガニスタンの今」第3回》

投稿日 2011年10月17日


◎シリーズ「マラライ・ジョヤとアフガニスタンの今」第3回

ロヤ・ジルガにおけるマラライ・ジョヤの勇気ある歴史的演説


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シリーズ前書き(岡 真理/TUP)はTUP速報第926号にあります。

 https://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=958



「ロヤ・ジルガ」とは本来「大会議」を意味するパシュトゥー語で、アフガニスタン国民大会議のことです。在京アフガニスタン大使館のHPには、以下のように説明されています。


 ロヤ・ジルガは、国家にとって重要であるとみなされる主要な事柄、問題、変革を扱うために召集される、名士、部族長、宗教指導者たちによる国民議会である。そもそも 1747 年、アフマド・シャー・ドゥッラーニーによって集められ、近代アフガニスタンの建設を支えるために、すべての民族集団のメンバーが招集された由緒正しい伝統であった。部族構造において長老、部族長、一族、氏族、集団、家長による議会のことを指すパシュトゥン人の制度であったジルガを基にしており、事実上アフガニスタン独自の合意形成機構である。


http://www.afghanembassyjp.com/jp/life/?pn=6


 


2003年12月、各州から選出された500人あまりの代表者が参加し、新憲法制定のためのロヤ・ジルガが開催されました。25歳のマラライ・ジョヤもファラフ州の代表として参加しました。その議場でジョヤは、内戦によって国を破壊に導いた軍閥の指導者たちが新憲法制定の場にいることを厳しく批判します。


議長を務めるムジャッディディも、ジョヤが批判する軍閥政治家の一人でした。


この発言により会場は怒号が渦巻き、途中でマイクのスイッチが切られ、ジョヤは会場から連れ出されます。その生々しい模様は以下のYou Tube の映像で見ることができます。


http://www.youtube.com/watch?v=iLC1KBrwbck




ロヤ・ジルガでのこの3分間の演説によって、マラライ・ジョヤの名は一躍、アフガニスタン内外に知れ渡るとともに、ジョヤは政敵によって、以後今日までその命を狙われることになります。

今回は、その歴史的スピーチの全文をお届します。



■マラライ・ジョヤ日本講演ツァーが始まりました

昨日16()、広島でジョヤさんの講演会がありました。明日18()の晩は沖縄で、以後、大阪、京都、名古屋と続きます。

*ジョヤさん講演会詳細については、「RAWAと連帯する会」HPをご覧ください。

http://rawajp.org/?page_id=302

*ジョヤさん広島訪問については、こちらを。

http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20111016ddlk34040328000c.html


 


第3回前書き・翻訳:岡 真理(TUP)




シリーズ「マラライ・ジョヤとアフガニスタンの今」

第3回 ロヤ・ジルガにおけるマラライ・ジョヤの勇気ある歴史的演説
2003
1217

私はファラフ州から選出されたマラライ・ジョヤといいます。参加者のみなさまのお許しを得て、神と、自由への道の途上で斃れた殉難者たちの名において、数分間、お話しさせていただきます。

わたくしの同胞であるみなさまがたすべてに対して批判申し上げたいことがあります。私たちの国をこのような状況に追いやったあれらの重罪犯罪者がこの場にいることで、このロヤ・ジルガの正当性と合法性が疑問視されるのを、なぜ、許しておられるのですか。

このロヤ・ジルガを信仰にもとるもの、基本的に神への冒涜に等しいと言う者たちがいることを残念に、そして非常に悲しく思います。しかし、実際にここに来てみて、こうした発言もむべなるかなと思うようになりました。委員会を見てください。人々が何とうわさしているか、知ってください。どの委員会の議長も、あらかじめ選ばれた者ばかりです。これらの犯罪者たち全員をひとつの委員会に連れて来たらどうでしょうか。彼らがこの国をどうしたいのか分かると思います。これらの者たちこそ、私たちの国を内戦と国際戦争の焦点にした張本人です。

彼らはこの社会における最大の女性差別主義者であり、彼らのせいで私たちの国はこのような状況に追い込まれました。しかし、彼らは今また、同じことをしようと目論んでいます。かつて政権の座にあり、犯罪者であることが明らかになった者たちにもう一度、政治を任せるなど、誤ったことだと私は思います。彼らは、国内外の法廷に引き出され、裁かれなければなりません。彼らがたとえこの国の人々、靴すら履けないアフガン人から許されたとしても、私たちの歴史は決して彼らを許しはしません。彼らの犯した罪は一つ残らず、祖国の歴史に刻まれています。

原文: http://en.wikipedia.org/wiki/Malalai_Joya#cite_note-13
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