TUP BULLETIN

速報443号 イラクより スレイマンさんからの手紙 050113

投稿日 2005年1月13日

FROM: liangr
DATE: 2005年1月13日(木) 午前10時28分

ファルージャは人が帰れる所ですか、選挙に誰が行くのですか・・・
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TUP速報403号、430号でお伝えしたイラクからのスレイマンさん
の声、続報です。戦場のような町の中で、人々の暮らしはますます苦しくなって
いるようです。ファルージャのようす、選挙を前にした人々の気持ちなど、マス
コミの伝えない生まの声にぜひ耳を傾けてください。(TUP/池田真里)
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スレイマンさんからの手紙
イラク発
2005年1月12日

みなさま、

しばらく具合がわるくてふせっていまして、お便りできませんでした。
まだよくないのですが、何かしなくてはといたたまれない思いです。それで、
このお便りを送って、現在のイラクの状況を知っていただきたいと思います。

天候――まだ寒く、雨は降っていません。日中の気温は15度、夜は2
-3度くらいです。

治安――2003年4月9日(訳注:この日米軍がイラク全土の制空権を
確保し、バグダードのサダム・フセイン像が引き倒される)以降、治安は悪
くなるばかりです。いつどこで何が起こってもおかしくない状態です。一日
当たり50人以上が、いたるところで起こる爆発や殺人で殺されています。
ここ数日でも政府の重要人物が何人も殺されました。ラマディ、モスル、サ
マラ、バクバ、ファルージャ、バグダード、ティクリート、ラティフィーヤ
など多くの都市が文字とおり戦闘地域になっています。たとえば、今日一日
で、イラクで20件以上の爆発がありました。モスル市への出入りは、完全
に米軍の監視下におかれています。レジスタンス側のほうが、米軍やイラク
政府より格段に強いように思えます。

経済――物価は、私がものごころついて以来、最高の水準です。たとえば、
トマト1キロは、わずか3カ月前には250ディナール(170セント)で
あったものが、今は、1000ディナール(685セント)。交通費は、こ
の2週間で2倍になりました。

燃料――現在、たいへん深刻な問題です。ガソリンは、1リットル1000
ディナールもします。3週間前にはわずか200ディナールでした。多くの
家庭では、暖房用の灯油を買うことはおろか売っているのを見つけ出すのも
たいへんです。

電気――先週、電気事情はこんな具合でした。20時間停電、2時間通電。
今週は、改善して、5時間停電しては、1-2時間通じています。

選挙――この頃私が会う人の多くは、選挙に行くつもりはありません。
なぜなら、いのちが危ないからです。もし、米軍が10キロほどの空港道
路の治安を守れなかったらどうなるでしょうか。この2年間、米軍が人々
のいのちを守ったことがあったでしょうか。毎日、この道路で、レジスタ
ンスが米軍を攻撃しています。これまで米軍は何もしてこなかったし、こ
れからも何もできない。

ファルージャ――今日、米軍は8500人の市民がファルージャに帰って
きたと発表しました。もしこれが事実だとしても、ファルージャ人口40万
人とくらべて、なんとも少ない数字です。しかも、これは事実ではないので
す。なぜかというと、ファルージャはとても人の住めるところではないから
です。その理由はとてもたくさんあって・・・電気はなく、水道もなく、い
たるところに死体があり・・・住めない理由は、とても全部あげることがで
きません。
さらに、米軍は町に入ろうとする人々に、戦闘の間、家に残しておいた食
物を食べないようにという注意書きを渡しています。これは、米軍が、何か
特殊な兵器を使ったからではないかと思われます。こんな状態で、どうして
町に帰れますか。8500人も戻ったなんて、とびきりのジョークか、とん
でもない大嘘です。

学校――小学校始めイラク中の学校は、今学年中期の試験期間です。
1月18日に終わることになっています。それがすむと、イードの祭日が
始まります。そして春休みが2月1日まで続きます。選挙の翌日です。
もし、選挙があればの話ですが・・・。

(訳注:イードとは、イスラムの2大祭。断食明けの祭り(イード・
アルフィトル)と犠牲祭(イード・アルアドハー)のことを指す。この
場合は、イード・アルアドハーのこと。)

(翻訳:TUP/池田真里)