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TUP速報1014号 総選挙からみる核保有国イギリス

(2020年01月26日)

欧州連合離脱の是非を争点に昨年12月にイギリスで実施された解散総選挙では、はからずも保守党が議席数をのばした。ボリス・ジョンソン首相はEU離脱実現に対し国民からの信認を得たと勝利宣言をし、その後、1月に入って離脱に必要な関連案が成立し、2020年1月末までにイギリスがEUから離脱することが残念ながらほぼ確実となった。

本稿はその解散総選挙の結果から核保有国イギリスの今後の可能性を論じている。

2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のオーストラリア委員会で委員長を務めた本稿の著者リチャード・タンター氏は、イギリスの総選挙で大幅に議席数を伸ばしたもう一つの党、スコットランド国民党の党首二コラ・スタージョンの選挙戦での発言に注目し、イギリスが将来、核保有国から核放棄国になる可能性を語っている。

また、スコットランド国民党の核保有に対する姿勢は、2016年にニースでのテロ攻撃を受け核抑止政策についての議論の一環で、同党のマーレ・ブラック議員が行った演説も合わせて一読されることをお勧めする。ブラック議員の演説はTUP速報1000号で紹介している。

TUP速報1000号 英国国会における若き議員の反核演説  https://www.tup-bulletin.org/?p=3092


(前書き:キム・クンミ、本文翻訳:法貴潤子)


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TUP速報1013号 チーム・コービンはイギリスを変える

(2019年04月01日)


◎緊縮財政の負の遺産、正の影響


英国はEU離脱(ブレグジット)に揺さぶられている。



法律に定められた離脱期限を目前にしながら、メイ首相がEU側と取り付けた離脱合意は議会史上最大の負け幅で否決され、再挑戦も記録的な負け幅で否決され、EU側に期限延長を認めてもらい、ようやく、本来なら交渉開始前にやるべきであった超党派での模索が始まったところだ(さらに3度目の採決でも否決され、今後の方針を巡って保守党は四分五裂している)。

残留を求める市民数十万人がロンドンを行進する一方で、強硬な離脱を熱望する右派による政治家への脅迫や暴力が相次いでいる(コービン労働党党首を襲った男が1週間ほど前に禁固刑を受けた)。国民投票直前の2016年6月16日、「ブリテン・ファースト」と叫ぶ極右に暗殺されたジョー・コックス議員の惨事を思い出さずにはいられない。

国民投票の実施そのものは、EU帰属をめぐって数十年来続く保守党の内戦が党の外側に持ち出されたものであり、メイ政権が離脱交渉で機能不全に陥っているのも進行中の内戦が主因である。しかし、英国民が僅差で離脱を選んだ背景には、世界金融危機のあと、保守自民連立政権が2010年から実施した緊縮財政がある。

英国のEU離脱は、労働者階級の反乱ではない。離脱票の大半は長年のEU懐疑派(多くは保守党支持者)が投じたものであり、それだけなら、おそらくは均衡していたであろう残留/離脱支持の目盛りを離脱側に振る役目を果たしたのが、いわゆる「置いていかれた(失うものの少ない)」人々の票だ。最近公表された調査によると、離脱支持の多かったイングランド北部地域では、緊縮財政で社会保障予算が大きく削られるほど、EU懐疑政党UKIP(UK独立党、ユーキップ)への支持が増えていたそうだ。この点で、英国のEU離脱は、キャメロン政権による緊縮の負の遺産と言える。

しかし同時に、緊縮は(少なくとも英労働党に)正の影響をもたらした。党最左派の社会主義者、ジェレミー・コービンが党首に選ばれたのだ。労働党は、サッチャー主義の社民版焼き直しであったニューレイバー[トニー・ブレアなど党右派モダナイザーの派閥]の支配から脱しつつある。

2015年の労働党党首選の顛末と2017年期日前総選挙でのどんでん返しを活写したアレックス・ナンズ著『候補者ジェレミー・コービン』の出版を前に、『世界』2019年2月号に寄稿した「チーム・コービンはイギリスを変える」を配信する。いま英国で何が起きているかの理解の一助になれば幸いだ。

『候補者ジェレミー・コービン ー「反貧困」から首相への道ー』
アレックス・ナンズ著
藤澤みどり、荒井雅子、坂野正明 共訳
岩波書店 2019年4月4日発行


(前書き・本文:藤澤みどり)

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TUP速報1012号 ICEの背後にいるのは誰? トランプの移民追放を支えるアマゾン、パランティア、マイクロソフトなど巨大テクノロジー企業

(2018年11月25日)

◎ハイテク技術が可能にする移民狩り


トランプ氏が大統領に就任して以来前面に押し出されてきた移民を排除する政策は、氏の選挙公約のひとつでもあるため、選挙があるたびにエスカレートしています。11月6日の中間選挙を前にした今年5月、ジェフ・セッション前司法長官が移民と難民の区別なくビザをもたずに国境を越えようとする人々を刑事裁判にかけると決定したことで、国境を越えた親子が引き裂かれ、親がすでに送還されてしまったり、さまざまな事情から再会できない親子が現在でもいます。

移民の多いニューヨークに住む私の周りにも、永住権を持っている人が数十年前の軽犯罪歴で強制送還されたり、何十年もアメリカで働き税金を納めてきた建築労働者が送還されたりしていて、実際に「移民狩り」はますます厳しくなっていることを実感しています。

先月に公開された報告書「Who’s Behind ICE? The Tech and Data Companies Fueling Deportations(ICE [ 移民関税執行局 ] の背後にいるのは誰?ハイテクおよびデータ企業が強制送還を加速化する)」は、 移民管理を厳重にする技術を提供し、このような現状をおし進め、そこから利益をえている企業が誰なのかを明らかにしています。

テクノロジーの進歩は後戻りができません。だからこそ、企業がどのような技術で国民国家が推し進める政策を可能にするだけなく、どこまで強化しているのかを知ることがますます大切になっています。知ることが国家主権と基本的人権の境界線を描くことにつながると確信します。

米国の独立系番組「デモクラシー・ナウ!」で、この報告書を作成したラテン系政治拠点「ミヘンテ」の代表者から報告書の概要を聞きました。そのインタビューの訳文をお届けします。

報告書全文はここからダウンロードできます。

前文・翻訳  キム・クンミ(TUP)

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