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TUP速報1007号 「私が爆弾を作ったわけではない。私は爆弾が存在することを示しただけだ。」

(2017年10月15日)

◎ネット時代に進行するさりげなくも有効な選挙広報手段とは
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昨年2016年は、西側主要二国の国民投票で、衝撃的な結果が出ました。一つが夏の英国でのEU離脱を決定する国民投票、もう一つが11月の米国での大統領選挙でした。いずれも僅差ながら下馬評をくつがえし、多くの人をあっと言わせました。投票結果が確定した後、自分が投票した「希望」通りの結果が出たことを受けて、「まさか、本当にそうなるとは……」と青ざめている人々も少なくなかったように報道されます。いずれも、2017年10月現在、その影響の深さが未だに底知れない深刻な状態と言ってよいでしょう。

本速報は、先の米大統領選にて、現代的なソーシャルメディアを使った戦略がいかに効果的だったかを、著者らのグループが追究した調査記事です。当時トランプ陣営は、ヒラリー陣営に比べてはるかに少ない選挙対策活動予算で、下馬評でも断然不利の状況でした。トランプ陣営の勝利の原動力になった決定的な要素の一つが、個人個人を標的にした前例のない水準での広報活動だったと、著者は読み解きます。ネット(など)を活用することで初めて可能になった現代の手法であり、その数ヶ月前の英国国民投票の現場で萌芽が見られたようです。

米国でのトランプ陣営の作戦の典型的な1例として、どちらかと言えば民主党の地盤ながら、僅差と予想されたある州での戦略が紹介されています。トランプ陣営は、いわゆる浮動票の層の人々に対して、ヒラリー対立候補への集中的なネガキャンを張りました。結果、同州では予想以上に棄権者が出て、トランプが勝利することになったのでした。

従来の手法では、著名人などによるマスメディア上での発言が大きなウェイトを占めたことでしょう。今の日本でも棄権を呼びかけている人がいますね。それでも相当の影響があることは歴史的に十分証明されています。しかし、マスメディアを使った手法は、結局見ない人は見ないし、そもそも対立候補(政党)を支持する視聴者にはかえって反発を受ける逆効果のおそれもあります。対照的に、事前の情報を基にメッセージを届ける人々を正確に絞ることで、ずっと効率的な選挙活動が可能になります。そして実際そうなった、というのが著者の調査結果であり、主張です。

1年前の米大統領選のしばらく後に発表された本記事は、現代の民主社会を生きる全ての人に警鐘をならしています。

本邦訳は、岩波書店『世界』増刊号 (2017年3月刊)にて発表したものです。許可を得てTUP速報として公開します。

(翻訳・前書: 坂野正明/TUP)

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※凡例: (原注) [訳注]
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TUP速報1006号 戦争は嘘から生まれ、平和は真実から生まれる

(2017年07月15日)

イラク侵略戦争開戦2003年3月からすでに14年が経過した。敵国に包囲されながらもサダム・フセインが辛うじて自治を実践していた独立国イラクは、「民主主義をもたらすために」という虚偽の理由を掲げた米国の「正義」と、オイル経済利権を狙う西欧の軍事同盟により無惨に破壊された。その後、アフガニスタン、リビア、シリア、イエメンと戦火は広がるばかりだ。第三次世界大戦の危機が目の前に迫る。

一 方、イラク戦争での米軍による戦争犯罪や米国外交の欺瞞を暴露する膨大な証拠をウィキリークスに託した内部告発者チェルシー(旧名ブラッドリー)・マニン グは、2010年3月に逮捕・収監されて以来、7年におよぶ残忍な拷問と絶望に耐え抜き、オバマ大統領による減刑措置を受けて2017年5月に釈放され た。

2007年活動開始当時から、戦争経済で懐を肥やす権力者たちの「暗黙の了解」と、その上に積み重ねられる政府間の「隠された合意」を構造的に明るみに出すことで、ウィキリークスは戦争の「神話」を崩壊させてきた。ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジは、 「戦争は常に嘘から生まれる。それならば、平和は真実から生まれるはずだ」と主張し、広く内部告発を呼びかけ、証拠文書の厳しい検証プロセスと公開に力を注いできた。現在に至るまで、ウィキリークスが公開した内部告発文書は100%の信憑性を維持している。権力者にへつらう主流報道機関の欺瞞を市民の目に晒し、欧米文化圏中心主義以外の視点とナラティブを可視化させ、生データと元情報を直接市民に届けるウィキリークスは、インターネット時代の画期的なジャーナリズムの先駆者だ。

自称<民主国家>を名乗る欧米の政治家たちは、悪名高い独裁者たちと声を揃えてアサンジ 暗殺をあからさまに扇動してきた。アサンジが国際法に基づきエクアドル亡命を認められロンドンのエクアドル大使館に庇護されてきた5年間、米国およびその 同盟国の軍事・諜報産業複合体によるウィキリークスへの誹謗中傷攻撃は容赦なく続いてきた。

スウェーデンは、7年間にわたってジュリアン・アサンジに対する立件を目論んできた。しかし、今年5月に遅まきながら断念することになった。著名な戦争ジャーナリストであるジョン・ピルジャーがその顛末を要約しているのでTUP速報としてお届けする。

ウィキリークスに関する日本での報道は、米国軍事産業複合体によるプロパガンダの垂れ流しが目に余る。報道機関におかれては、事実関係検証の参考として、下記のリストなどもしっかりと読み込んで、報道の質を改善していただければ、と願う。

アサンジおよびウィキリークスの法律的根拠リスト:


スウェーデンによる尋問に対するアサンジの回答:


14/15 NOVEMBER 2016 QUESTIONING AT THE ECUADORIAN EMBASSY

LEGALLY PRIVILEGED


(前書き:宮前ゆかり、翻訳:宮前ゆかり・荒井雅子)

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TUP速報1005号 チョムスキー・インタビュー:トランプによる北朝鮮への威嚇の危険

(2017年05月13日)

◎外交的努力は成功したことがあるが、制裁や厳しい対応は失敗してきた
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トランプ政権は北朝鮮に対して力を誇示したが、安倍政権はそれに同調して、外交解決を求めるどころか危機を煽るような行動をとり、危機に便乗して自らの政治的な目的を押し進めようとしている。ノーム・チョムスキーは、外交のみが北朝鮮の核開発中断を引き出してきた歴史を振り返り、今も外交解決の道筋が実際にあることを指摘して、非核化を達成する唯一の手段として対話を強く求める。そして「終末時計」に示された現在の核・環境危機の深刻さに警鐘を鳴らす。
(前書き/荒井雅子、翻訳/荒井雅子・宮前ゆかり/TUP)
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