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速報985号『シャルリ・エブド』テロ事件の淵源――過激化の要因についての非宗教的分析

(2015年04月25日)

◎政治的暴力は、国家の暴力と社会的暴力から養分を吸い取って肥大する

1月7日パリで『シャルリ・エブド』テロ事件が発生した当夜、仏公共放送フランス2の夜8時のニュースは「フランス襲われる」という見出しで始まった。オランド大統領が生中継で「共和国とは」の第一に「表現の自由」を挙げて「国民の団結」を呼びかけ、スタジオでは『シャルリ・エブド』を共和国の象徴的存在とする論調が大々的に展開された。まず政界の重鎮R・バダンテールが「風刺画家たちは自由の兵士だったから殺されたのだ」とぶちあげ、別の1人が「彼らは我々の"アイデンティティ"だった」と応じると、モスクの指導者は「テロはフランス共和国に対する宣戦布告である」と、レトリックをさらに競り上げてみせた。コメンテーターの1人は、共和国理念をふりかざしたイスラーム非難の急先鋒としてかつがれている元『シャルリ・エブド』誌女性編集者だった。連日メディアを埋めた「私はシャルリ」のスローガンは、表現の自由を守ることと『シャルリ・エブド』の編集方針を支持することとの区別をぼやけさせ、同誌の編集方針についての議論や疑問は、英語圏メディアと比べるとフランス国内でははるかに少なかった。政界とメディアはこの忌わしいテロを利用して、「共和国対イスラーム」という、これまで繰り返し作ってきた虚構の図式をここぞとばかりに強調した。

このテロで本当に問うべきことは何か。以下に、フランスのアラブ・アフリカ系社会科学者たちによる寄稿を紹介します。
(翻訳:荒井雅子/TUP)

 

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速報984号  「イスラム国」への武力攻撃は誰のため?

(2014年10月14日)

「イスラム国」の所業の残虐さが大きく報道され、米国主導の対「イスラム国」有志連合は40カ国を超え、空爆はイラクからシリアへと拡大し、オバマ大統領はシリアの反政府勢力のうち「穏健派」を反「イスラム国」兵士として訓練すると発表しました。一方、国連人権高等弁務官の発表によると対「イスラム国」作戦の犠牲となって死亡したイラク市民の数は1月から9月末まで9347名にのぼっています(10.2付け朝日新聞)。
米国の世論は空爆支持が多数派だと報道されていますが、UFPJ(平和と正義のための連合)、コード・ピンク、VFP(平和のための退役軍人会)、IVAW(反戦イラク帰還兵の会)、チェルシー・マニングほか、様々な団体や個人が「イスラム国」問題を武力で解決することはできない、としてイラクとシリアへの空爆と「イスラム国」以外の武装勢力への武器供与に抗議しています。
さて日本政府の姿勢は、といえば、直接の関与は非軍事的方法にとどめるとしながらも、「イスラム国」との戦いを支持すると表明しています。この問題は少なくとも、(1)紛争の解決に武力を行使しないとする日本国憲法の定めとの関係、(2)武力で解決できるのか、という有効性の問題、(3)武力行使と武器の拡散の舞台裏で活躍し利益を得ているのは誰なのか、という観点から考え直す必要があります。The Brussels Tribunalに寄稿された著作家ニコラス・デイヴィーズの論説は特にその(2)と(3)の考察に役立つものと思われます。
<>内は訳者による挿入。
前書き、翻訳: 高橋真澄

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速報983号 「アパルトヘイト」より悪質――ガザについてチョムスキーのインタビュー(2/2)

(2014年09月09日)

◎制裁措置としてイスラエルへの武器禁輸が重要

8月26日ガザでようやく停戦合意がなされました。ハマースは前回の停戦を19カ月守りましたが、イスラエルはこれまで繰り返し停戦を破ってきました(チョムスキーインタビューパート1)。イスラエルに停戦を守らせ、封鎖の解除などの停戦条件を実行させるには、米国をはじめとする国際社会の圧力が必要です。ところが安倍政権は5月にイスラエルと新しい包括的パートナーシップと称する協定を結び、また、4月の武器輸出解禁にあたって紛争国の定義を非常にあいまいにしていますが、これは米国経由でイスラエル向けの輸出を可能にするためにほかなりません。米国でもヨーロッパでもイスラエルに対する世論がこれまでと違って厳しさを増しているとき、日本の姿勢は国際社会の動向に逆行するもので、わたしたちは強く反対して行かなければならないと思います。
チョムスキーのインタビューのパート1はこちらをご覧ください。
「速報982号 忌わしい暴虐――ガザについてチョムスキーのインタビュー(1/2)」

(翻訳:荒井雅子・宮前ゆかり/TUP)

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