TUP BULLETIN

速報941号:アラブの春その後-アサンジ連続インタビュー「明日の世界」第1回配信

投稿日 2012年7月7日

アサンジと語る「明日の世界」エピソード4(TUP速報第1回配信)


ジュリアン・アサンジが監修しホストを務めた連続インタビュー番組「明日の世界」は、4月中旬に開始され、7月3日に今期シリーズの幕を閉じた。毎週火曜日にRT(ロシアの公共放送機関)その他のテレビ・ネットワークやユーチューブなどインターネットを介して、多言語、世界規模[注*]で12回のエピソードが放映された。

「ウォールストリートを占拠せよ」や「サイファーパンクス」の活動家たちとのディスカッションに登場するゲストは、西欧諸国で物議をかもしている人物たちだ。また「アラブの春」を経て民主政治の出発点に立ったチュニジアの新大統領、米国が操るクーデターを生き延びたエクアドルの大統領、政治的に仕組まれた 性犯罪のスキャンダルや投獄を乗り越えて台頭するマレーシア野党勢力リーダーへのインタビューなど、アラブ・アジア諸国や南米諸国出身のゲストの多くは独 裁政権下で弾圧を受け、人権を侵され、投獄さえも経験してきた筋金入りの「反逆者たち」である。これら、欧米中心の地政学的視点から除外されてきた語り口 を伝えるゲストは、欧米諸国の主流報道機関で紹介されることは稀であったことから、多くの視聴者にとってはほぼ無名の存在だ。しかし、アサンジの的確な質 問と情報提示、軽妙な対話やユーモアによって、ゲストの等身大の視点や思考が生き生きと浮かび上がる。ウィキリークスが開いた情報の扉から、欧米主流文化 を機軸としない「別の」世界観が紹介される。

本来の番組放映時間は26分前後であるが、実際のインタビューにはその何倍かの時間が充てられ、進行具合によってはさらに長時間のインタビューが録画されている。「独裁者打倒・初級編」と銘打って放送されたシリーズ第四回目がその良い例で、当初は録画予定1時間だったものが3時間近くに及んだ。話題は「アラブの春」の背景にある革命の歴史や方法論、イラク戦争、シリア、一連の革命におけるサッカー応援団「ウルトラ団」の活躍など多岐に亘る。

プロデューサーの許可を得て、3時間弱のトランスクリプト(書き起こし文)のすべてをTUP速報としてお届けします。放映された番組の下記動画リンク(英語)をご覧になりながら読まれると、臨場感が感じられるかと思います。

[注:全世界100カ国以上におけるこの番組の対象視聴者は、RTの契約者5億3000万人。番組放映日には一日中、二時間おきに放送され、インターネッ ト上でも同時に視聴可能だった。この契約者数には8500万人の米国ケーブル視聴者(タイムワーナー、コムキャスト)が含まれており、全世界のケーブル・ テレビ視聴者の25%。放送後1日ほど経つとインターネットでユーチューブに番組全体がアップロードされ、この視聴回数は世界各地で少なくとも7億回を超えた。]

RT放映日:2012年5月8日(火)(12回シリーズの第4回)

RTリンク:http://assange.rt.com/episode-four/

ユーチューブ・リンク:http://www.youtube.com/watch?v=HdVoBlABSpc

公式リンク:http://worldtomorrow.wikileaks.org/episode-4.html

(前書き・翻訳/ 宮前ゆかり:TUP)




「The World Tomorrow(明日の世界)」は、世界で最も興味深い人物たちとジュリアン・アサンジとの対話をお届けする12回シリーズのインタビュー番組です。こ の番組は、各国の国内放送局および国際放送機関に対するライセンス供与を行っています。お問合わせは配給会社Journeyman Picturesまで電子メールmark@journeymanpictures.comにてご連絡ください。

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アラブの春:夢の行方

 

ゲスト:ナビール・ラジャブ、アラー・アブドゥルファッターフ

<ゲスト紹介>

「これこそが戦い、これこそが自由、これこそが僕らが勝ち取ろうとしている民主制なんだ。それには犠牲がともなうし、僕らはその犠牲を払わなければならな い、僕らがバハレーンで膨大な犠牲を払ったようにその犠牲はとても高くつくかもしれない、そして僕らが戦い取ろうとしている変革のために僕らはその犠牲を 払うつもりだ」――ナビール・ラジャブ

<ナビール・ラジャブ>

 [2012 年]5月5日(土曜日)に逮捕されたナビール・ラジャブは、生涯にわたるバハレーンの活動家でありアル=ハリーファ政権の批判者だ。断固たる政権支持派の 一族に生まれたラジャブは、1988年に[海外での]大学教育を終えて帰国して以来、バハレーンの改革を求めて闘ってきた。バハレーン出身でデンマーク国 籍も持つ人権擁護活動家アブドゥルハーディ・アル=ハワージャとともに、ラジャブは2002年にバハレーン人権センターの設立を支援した。各派間での差別 や移民労働者の権利など、バハレーンにおけるさし迫った問題に何年も取り組んできたラジャブは、真珠広場で行った果敢な座り込みの後、2011年2月14 日に勃発したバハレーン人民蜂起の「顔」となった。以来、彼は革命の矢面に立ち、政権側の広報を担う企業に対抗してツイッターを駆使したソーシャル・メ ディアでの戦いを繰り広げてきた。アル=ハワージャが拘禁されると、ラジャブは彼の解放を求める抗議行動を率いた。彼は民主化要求のデモ参加に対する暴 行、逮捕、そして法律上の嫌がらせを耐えてきた。5月5日の土曜日、ラジャブはマナーマ空港[バハレーン]で逮捕され、翌日「不法な抗議活動」に関与し、 それを助長した疑いで告訴された。ナビール・ラジャブは番組放送時点で身柄が拘束されたままである。(注:6月末に一時釈放となったが7月初旬に再逮捕さ れ、投獄が続いている)

<アラー・アブドゥルファッターフ>

ア ラー・アブドゥルファッターフは、長年にわたるエジプトの政治活動家、プログラマー、ブロガーである。アブドゥルファッターフは2006年にムバーラク政 権下で抗議活動を行い45日間勾留され、さらに革命後の軍事政府であるエジプト軍最高評議会(SCAF)の下で抗議活動を行ったことから再び68日間の勾 留を強いられた。彼はさらに2011年のエジプト革命でも活躍した。革命当初、国外にいたアブドゥルファッターフはムバーラクによるインターネット封鎖を 迂回する援助を行った。抗議行動の絶頂期にエジプトに戻り、治安部隊からタハリール広場を守る活動に参加した。ムバーラク辞任後、SCAFに対する抗議行 動に関わったことで、2011年10月再逮捕され、勾留された。アブドゥルファッターフの両親はアンワル・サーダート政権下の人権運動家だった。妹モナ・ セイフは2011年のエジプト革命当時ツイッター上でスターとなり、アブドゥルファッターフの勾留を受けて組織された「No Military Trials for Civilians(市民に対する軍事裁判反対)」グループの創立者でもある。アブドゥルファッターフの解放を求める運動はオンライン上 で#FreeAlaaのハッシュタグを使って展開され、SCAF政権の不正が世界中で広く注目を集めるきっかけとなった。アブドゥルファッターフの息子、 ハーレドは彼が身柄を拘禁されている間に生まれた。アブドゥルファッターフは12月に解放され、このインタビュー撮影当時は旅行禁止令の下にあったが、5 月初めに彼に対するすべての容疑が取り下げられた。


アサンジは次のように述べる。
「アラブの春は実現しつつある夢なのだろうか、またはありえない空想なのだろうか。メディアの作り話は相手にせず、僕は直に現場の人間たちに話を持ちこんでみる。」

当番組は下記の多言語でご覧になれます
RT – English
RT – Arabic
RT – Russian
RT – Spanish
L’Espresso – Italian

編集前トランスクリプト(2時間50分)


ジュリアン:
やぁ、ナビール。

ナビール:
こんにちは。会えてうれしいよ。

ジュリアン:
こちらも。

ナビール:
君はアメリカ人にたくさん厄介ごとを持ち込んでいるんだね。バハレーンだけの僕とは違うね。

ジュリアン:
旅行の具合はどうだった?

ナビール:
会えて嬉しいよ。君はどう?

ジュリアン:いいよ。

ナビール:
すべて大丈夫だった。電話を切ろう。うん、すべて上手くいったよ。君のほうは?

ジュリアン:
僕は大丈夫。昨日はとても大変だったんだ。かなり疲れた。君はまだ聞いていないと思うけど、ある大きな企業から出たファイルを公開したんだ。

ナビール:
バハレーンのことで何か見つかった?

ジュリアン:
まだ分らない、実際のところ。かなりあるからね。君の名前を探してみたらいくつか報道記事があったけど…始めたばかりだし、今のところたったの0.001パーセントしか公開していないわけだし…

ナビール:
大仕事だね…ジュリアン…、で、全部終えるのにどのくらいかかるの?

ジュリアン:
多分4ヶ月くらいかかると思う。

[番組スタッフがナビールの準備を整える]

ジュリアン:
準備はできたかな?

ナビール:
どうなるのか教えてね。

ジュリアン:
そうするよ…

ナビール:
これ、録画しているの?いつ録画されているのか、されてないのか言ってね。

ジュリアン:
ずっと録画されるんだけど、多分この部分は使わないと思う、最初の画像で、椅子に座って挨拶する場面だ。それで次にアラーを待っているところで、アラーが電話かけてきたら始めよう、説明するよ…

ジュリアン:
アラーが向こう側でスカイプを用意していて、カイロにいる、彼はカイロの活動家だ。彼は2006年に何度も投獄されたし、最近もさらに投獄されたわけだけ ど、5カ月前にエジプトでとても有名になった「夢」という作品を書いた人物だ。その作品はエジプトの革命やタハリール広場で起きたことを、未来の国家とい う、ある理念を具現化したもの、エジプトのあるべき姿、として見ていて、この未来の国家の可能性というものをエジプト全体に、そして世界の他の地域に示す 必要があった。だからその意味で、人々の前で物語を伝えるパフォーマンス的要素が不可欠だった。このタハリール広場での対立の中で彼らはある物語を語って いた、この物語でみんなに希望をもたらすためにね。だって、何かをやるんだったら、何らかの目的を果たすべきだろう?だから、ただ反対だとか、ムバーラク 政権の汚職が嫌だというだけではないんだ。

ナビール:
僕らの国をどう築いていくのか、ということだね。

ジュリアン:
でも僕らはそれ以上のものを求めているし、それ以上のものを手に入れることができる、というのがアラーだ。そろそろ電話をくれるはずだ。…音声をチェックする必要があるんだよ、接続の関係でね…接続があまりよくないんだ。

ナビール:
それで、どのくらいの時間、僕らみんなで話すのかな、全体で。

ジュリアン:
そうだね…

ナビール:
僕はどのくらいの時間もらえるの?

ジュリアン:
うん、そうだな…

ナビール:
彼と話し続けるってことか。

ジュリアン:
礼儀正しく、普通にしていればいいんだよ。

ナビール:
そう、ずっとここに座ってるのかな。

ジュリアン:
そうだよ。そして「ここはどう思う?ジュリアン、アラー…」という風に聞けばいい…

ナビール:
なるほど、三人同士での話し合いなんだね?

ジュリアン:
そうだよ。で、誰かがひとつのテーマについて細かすぎる話をしてる場合には、僕が「こういう問題について話題を進めてほしいな」というかもしれないけどね、かなり気楽な感じだよ…

ナビール:
わかった。

ジュリアン:
ひとつの話題についてあまり長く話さないようにね。

ナビール:
焦点を当て、集中的にってことだね。

[番組スタッフが最終的な放送時間を伝える]

ジュリアン:
26分だ。そう。

ナビール:
そうなの?このために2時間も話すわけ?

ジュリアン:
[スタッフをさえぎって]だいたい1時間くらいかな、で、インターネット上で1時間分全部を公開するかもしれないけれど、テレビ番組としてはこの26分が 放送される。こういう理由があるので、ひとつの話題についてあまり長く話をしないように、というか、僕が退屈そうな顔をしてるかどうか見たらいい…[ス タッフ:止めるために触って合図してもいい]…僕が「この点はどうだい?」とか「アラー、それについて君はどう思う?」とかなんとか言うよ[聞き取り不 可]

[スタッフ:ジュリアンは長い質問のリストがあるんです]

ジュリアン:
まぁ、実際のところ、かなり短いリストだよ…

ナビール:
君のツイッターのアカウントはアクティブなの?

ジュリアン:
僕はツイッターのアカウント持ってないんだ。

ナビール:
今日ひとつ見かけたよ。

ジュリアン:
それはウィキリークスのアカウントだよ。

ナビール:
いやいや、君のだよ。

ジュリアン:
ううん、それは偽者だ。

ナビール:
あれ、偽者って、本当に?

ジュリアン:
うん、その偽者アカウントには52,000人のフォロワーがいるんだ。それは偽者で、僕じゃない。誰か…

ナビール:
でも悪意があって、君の評判や名前を落とそうとしているのか、単に応援をしているのかな?

ジュリアン:
ううん、ただ単に…それを使って何か商品を売るとか、何かそんなことをしてる、だからそいつらは…

ナビール:
それで君はそれが偽者だって言ったのかい?

ジュリアン:
そうだよ、そう、あれは偽者だ。52,000人ものフォロワーがいるんだけど[聞き取り不可]…わからないけど、彼らは南米で携帯電話を使っているみたい だ…誰か南米の人がやっている。@JulianAssange_ …それで、僕らはツイッター社を相手に大きな訴訟を争わなければならなかった…僕らには商標があるんだけど誰かがその商標を横取りしようとしてたので、5 カ月もかけて訴訟の戦いがあった…

ナビール:
とても複雑なんだよね、ツイッターって。僕も問題があってね…5つか6つの偽の名前のアカウントがあって僕の名前を汚そうとしている奴がいるからなぁ。

ジュリアン:
あぁ、実はそれについてぜひ君に聞きたいと思っていたんだ。フェイスブックとツイッターについて、ある時期を境にして突然バハレーン政府がそっちのほうに 力を入れ出したことに気がついた、突如として政権支持派の人々から何千件ものツイートがあったけど、その一定時点の前にはそれがなかったんだ。

ナビール:
奴らはソーシャル・メディアを使うことにかけては一番頭のいい政府だ。

ジュリアン:
そうなの?ただの一般政権支持者たちのようには見えなかったし、違うんじゃないのかな?

ナビール:
PR会社なんだ。

ジュリアン:
プロパガンダか、そういえばプロパガンダっぽかったな。

ナビール:
そうさ、PR会社なんだ。やつらは一番賢い…

ジュリアン:
で、アカウントのいくつかは以前には存在しないものだった。

ナビール:
まさにそうなんだ、まず、バハレーンの国民はツイッターをとてもよく使うようになった、もしかしたらツイッター使用ではアラブ圏で一番活発な国かもしれな い。だから僕がアラブ圏では四番目、自分の国では一番フォロワーが多いのもそのためだ。ツイッターが始まってから3年目に自分のアカウントを開いたとき、 僕のツイートは200回とか300回くらいリツイートされていた、つまりバハレーンの国民がいかに活発なのかを示している。今、バハレーン政府は同じツー ルを学び、それを使って反撃しようとしているんだ。

[電話が鳴る]

ジュリアン:
OK、アラーからだ。

ジュリアン:
アラー。

アラー:
こんにちは。はい。まだ君のことが見えないよ。

ジュリアン:
すぐに見えるようになるよ。

アラー:
おぉ、今見えるようになった。

ジュリアン:
僕のこと見えるんだね、そしてここにはバハレーンからナビールが来ているよ。

アラー:あの…[アラビア語で話す]

ナビール:
そうか、お父さんの具合は?

アラー:
うん、元気だよ。

ナビール:
奥さんやご家族はどうなの?皆元気かい?

アラー:
うん、みんな元気、みんな元気。

ナビール:
顔が見られてよかった。僕らは君のこと心配してたんだよ。

アラー:
会えてとっても嬉しいよ。うん。

ジュリアン:
やぁ、今、彼は出獄してるけど、そんなに長くは続かないさ…

アラー:
長くは続かない、そうなんだ。僕らは誰も長くは娑婆にはいられない身の上だよね。

ジュリアン:
そうかもな、でも僕らには部屋代と食事が無料の生活が待ち受けているんだ。一生無料の宿泊施設がね。

アラー:
で、君はどこの国で投獄されることになるんだい?

ジュリアン:
うん、これは現在のところ興味深い疑問なわけさ、英国での在宅軟禁、英国でちょっとだけ収監されるかもしれない、もしかするとスウェーデンで投獄されるか、米国かもしれないな。で、君はどうなの?バハレーン?

ナビール:
僕はバハレーンをお薦めするね。

ジュリアン:
彼はバハレーンを薦めるんだって。

ナビール:
僕はバハレーンをお薦めする。

ジュリアン:
じゃ、ここで話をしよう…ちょっとだけこれから何をするのか、どういうことをするのか話をさせてくれよ。彼の言っていることわかるかい?

ナビール:
うん、大丈夫。

ジュリアン:
OK、それはよかった。で、アラー、僕らの言っていることわかるかい?

アラー:
うん、うん。

ジュリアン:
OK、よし。

アラー:
でも、君は英国アクセントになったりしないよね?どう?

ジュリアン:
[笑]いいや、僕は…でもオーストラリアの友達に言われてしまったよ…だんだんと染み付いてきてるなって、残念ながら。さて、これから…

ジュリアン:
録画が始まります…番組は25分…僕らは約1時間ほど録画します。できるだけ生で録画するつもりなので、「あ、そういうことを言うつもりはなかった、そこ をカットして」というようなことはないようにしてください。そういうことはしないつもりなので。できるだけ切れ目のないようにしてください。それで半時間 くらい経ったらさらにしばらく続け、もしその部分の会話で余分にいい材料があった場合はそこをカットして挿入するかもしれないし、時間があればその1時間 分全部をインターネットで公開するかもしれない。まぁ、これはかなりの会話です。明らかに、この録画では君たちの話のほうが僕のことよりもずっと重要なん です。なぜかというと僕はいつもここにいるので…僕は君たちがどんなことを話すのかを聞きたい。実際、最初にこのアイデアが生まれたのも、僕が在宅軟禁の 身の上でとても退屈になってきて、とことん退屈で誰か面白い人たちと話がしたいなぁと思ってね、じゃあ、お客さんをここに連れてくる方法を考えようという ことになったわけだよ。

ナビール:
僕らにとってもすごく面白いよ、君だけじゃない。

ジュリアン:
それでアラーのように、誰かをここに呼べない場合――アラーは国を出ることが許されてないんだ…君は国内軟禁の身の上なんだろう?または在宅軟禁なの?国内軟禁状態にあるのかな?

アラー:
うん、つまり…[聞き取り不可]

ナビール:
つまり、実際には在宅軟禁なんだね、僕も何カ月も旅行禁止だった。ありがたい事に、やっと国外への旅行が許されてから二、三カ月経ったよ。

ジュリアン:
まったく、本当にやっかいさ。旧ソ連圏に友達がいるんだけど――彼女は当時幼かった――その彼女は他の国の市民権を取得しようとしてて、彼女が「あなたに はわからないのよ、ジュリアン。わたしは他の国の市民権が本当に必要なの」と言ったので、僕はこう言ったものだ。「どうしてこんなことに無駄な時間をかけ るの?」って。僕らにとってソ連は単に大きな監獄のように見えたんだ。この一連の国々というひとつの馬鹿でかい監獄――なぜならば外に出ることができな かったから。以前は監獄だなんて考えなかったかもしれない、全然外へ出たいなんて思わなかったかもしれない、でも誰かが壁を閉じて外には出られませんよと 言ったら、だんだんそれが監獄であるように感じはじめる。

ナビール:
でも、同時に活動家としては…それが原因で世界中でもっと名前が広がるんだと思う。

アラー:
そうだね。

[音声の問題発生]

ナビール:
ちょっと待って…スピーカーがおかしいぞ…

ジュリアン:
こっちで音声の問題が起きてるんだ、アラー。なにか音楽が聞こえるな…そっちのほうで何か音楽が鳴っているのかい?

アラー:
礼拝の時刻を告げる詠唱(アザーン)だよ。

ジュリアン:
礼拝告知の詠唱か、わかった。2007年にカイロに住んでたことがある、たったの二、三カ月だったけど、よく覚えているよ…

アラー:
そうだね。[聞き取り不可]ナビールが見えない…ちょっと直してくれない…

[スタッフが設定を調整する。JAがアラーをスタッフに紹介し、アラーは自分のスタッフを紹介する]

アラー:
僕らはエメットのコンピューターを使っているんだけど、彼のマシンに米軍級くらいのスパイウェアがインストールされてしまったと今エメットは確信したんだって…

ジュリアン:
多分以前から入っていたんだろうから、心配しなくていいよ…

アラー:
すでにスカイプ使っているわけだから、そんなことは仕方がないよ[?]

ジュリアン:
じゃ、準備はいい?OK、では技術的な面で準備完了だね。では内容について話そうか…

ナビール:
君のほうを向いたほうがいい?それとも彼のほう?

[スタッフのアドバイス、カメラ外の会話]

ジュリアン:
ではいくつか話したいことがあるんだけど、まずアラブ圏の外にいる人たちは君たちのことについてほとんど何も知らないんだ。なので君たちの家庭での生活と か、どういう生い立ちなのか、[ナビールに]君は誰なのか、アラー、君は何者なのか、とかそういった背景について少し触れようと思う。そうすることで観て る人々もこれが人間同士の会話だと感じることができる…僕が人間と話をしているんだと、ただどこかのアラブ人とか、だれかエジプト人とかじゃなくて、実際 に一人の人間と話してるんだってこと。

その後で今度は、君たちの活動がどれだけ君たちの家族や環境から生まれたものであるかという点についても話題を向けたい――君たち二人とも実際にとても興 味深い家族の背景を持っているし、それは君たちがやっていることとなんらかの形で深く切っても切れないかかわりがあるように見える――おそらく君[ナビー ル]の場合は、家族の一部に反逆をしたわけだよね。アラー、君はカイロの徹底的な活動家の家族の出身だ――そして、次に僕はエジプトで起きていることとバ ハレーンで起きていることの違いやそれに対する反応について目を向けたいと思う。

エジプトは、アラブの春の見本というか、最も大きな役割を担った見本になるという風に評価されている。チュニジアは多分最も成功した、エジプトは今も陣痛 みたいなものを体験しているところ、そしてもちろんバハレーンの場合は、活動家たちの大きな運動が打ちのめされたという失敗の例になる…

ナビール:
違う、それを失敗と言っちゃだめだ。失敗じゃない。失敗という言葉を使ってはだめだ、まだ完了していないだけだ。

ジュリアン:
まだ完了していない、わかった、そうだね。僕らにとって…僕が関わってきた…僕らの仲間には中東のアラビア語を話す人たちがいる…バハレーンの現場にいる 人たちと僕らは関わってきた…とても酷いことが起きてた…彼らが追跡され、携帯電話が切られたり、とても酷い、辛いことになった。スカイプはまだ少しだけ 使えるけど…ほんの少しだけね、そして何百人もの人々がバハレーンから逃げ出し、かなりの人々が拘置所に閉じ込められ、空港からロンドンの拘置所に送り込 まれる人たちもいたし…。だから、それはなぜなんだろうかと考えたんだ。エジプト政府は崩壊したのに、バハレーン政府が未だに崩壊していないのはなぜなん だろうか。なんらかの…戦術的なことに関係があるんだろうか…

アラー:
エジプト政府は正確にはまだ崩壊したとは言えないよ、でも…

ジュリアン:
そうだね。一部…エジプト政府の一部――君のこの観点、つまりエジプトに重要な根本的変革があったのかどうかという君の観点はとても大切だ。どのくらい…

ナビール:
[スタッフに]あまり具合がよくない……あ、これでよくなったよ。

ジュリアン:
実際にどれだけ変わったのだろうか…

アラー:
うん、だけど今またナビールが見えなくなったよ。

[NBの調整]

ジュリアン:
では、実際にエジプトではどれだけの変化があったのだろうか…そして報道の問題だ、例えば、アルジャジーラによる報道にはバハレーンとエジプトで違いがあ る。この地域について現在サウジアラビアの役割は何なのだろうか。その後は…君たちが言いたいと考えている話題について話を進めよう、もちろん、君たちに とってこういった質問はそれほど興味がないかもしれないけれど、でも…この革命的期の背景にどんな要素があったのかということを見ていきたい。

そして僕は君の、アラー、君が5ヶ月くらい前に書いた『夢』というとても詩的なエッセイを読んで、タハリール広場での抗議運動に火をつけ力を与えたこの未 来のエジプトへのビジョンについて話したい。そのビジョンは今でも生きているのか?それは必要なのか?バハレーンにも似たようなものがあるのか?どういう ところにそれが見えるのだろうか。どこへ向っているのだろうか。そして…その他の小さな事柄についても話そう。例えば…僕がそのひとつを提供しようかな ――イラクの役割、そしてイラクが民主主義を植えつけるドミノの最初の駒だと言ったネオコンの言葉の意味だ。

アラー:
まったくその通りだけど、彼らが考えているのとは別の意味でだよね。

ジュリアン:
実は、どうかな、君たちの履歴に行く前にこの話題で始めようかな…いや、僕は…まず君たちの家族の履歴について話すという方針を守ろうと思うんだけど。い や。いいよ、やっぱりこの議論満載の問題から始めたほうがいいんじゃないかと思う。そうしよう。では、チェイニーやウォルフォウィッツのような人たちが 2003年に大量破壊兵器が理由でイラク侵攻をするべきだという見解を推し進めたわけだけど、それと同時にイラクに民主制を挿入し、イラクでの民主社会を 見せることで、…他の国々にも民主制が広がるだろうという理由を挙げていた…だから今エジプトやチュニジアでの革命は連中のおかげだと主張していて、イラ クに民主制を導入するというアイデアは彼らのものだったからだと言っている。で、…[ナビールに]じゃ君からどうぞ…

ナビール:
本当に、可笑しいよね、アメリカ人にはチュニジアやエジプトでの革命など思いもかけないことだったわけだろう。彼ら…アメリカ人たちはああいった革命のこ となどまるで知らなかったし、チュニジアの革命の最後の何週間か、数日前になるまで自分たちがどういう立場を取ったらいいのかさえわからなかったのに…ア メリカの革命だなんて、ひどいよ。米国で「我々は革命を支持した」と言っている人たちには異議を唱える。米国はエジプトの革命を支持してこなかったし、そ れは彼らがチュニジアの革命を支持しなかったのと同じだった。

でも、この革命が事実であり、必然的であり、自分たちの支援があろうとなかろうと、それが起きているんだと悟ったとき、米国は立場をあきらかにしなければ ならなかった、そして将来これらの政府と敵対するようなことになるよりは、最後の最後になって正しい方向に歩むことを強いられたわけだ。どんなエジプト人 やチュニジア人であろうと、米国が彼らを支援したとか革命を支援したなんて考える人は誰もいない、なぜならばこれらの弾圧的独裁者たちは米国によって長年 支援されてきたからだ。独裁者は米国によって強化され、権限を与えられてきたし、彼らは僕らの地域における米国の傀儡だったという事実がある。だから僕は そういったネオコンの主張には同意しない。

ジュリアン:
アラー、「アラブの春」を巻き起こした功績はすべて自分たちにあると主張するネオコンの見方について、君はどう思う?

アラー:
あのね、すごく可笑しいんだけど、僕はチェイニーの意見に賛成するだけじゃなくて、革命を起こした功績はベン・アリとムバーラクにもあると思うんだよ。イ ラクは、イラクに対する戦争は、イラクへの侵攻は…アラブ圏の人々を揺さぶり動かした。まったく肯定的な意味ではなくてね。実際のところ、本当に最後の… アラブ政権が持っていた正当性の最後のひとかけらが、イラクを守ることができなかったということで剥ぎ取られてしまった。 僕らが受けてきた講釈はね、少なくとも我々は国境を守っているんだから、民主制の欠如くらい受け入れるべきだというものだった。我々はアラブ世界の統一を 守っているんだと、我々は侵略を狙うありとあらゆる帝国主義的権力に囲まれていて、我々は国民をそれから守っているんだという講釈だった。

だからイラク…つまり、イラクに対する戦争…そしてこういったアラブ諸国がいかにイラク戦争に加担していたかということ――実際に軍事基地を提供したり、 場合によってはアメリカ軍を支援したりアメリカの軍艦を通すためにスエズ運河を開いたりしたわけだ。それほどのレベルの支援をしたわけだ…それはまさに見 ての通りで、単なる仮説ではない。

実際、ムバーラク政権反対を唱えたカイロでの最初の巨大な抗議運動は、2003年3月21日、このイラク侵攻への反応として起きた。この革命は反戦運動の 抗議として始まったんだ。人々は米国大使館に向って進もうとしていた。ムバーラクの警察隊は僕らみんなを滅茶苦茶に叩きのめした。街頭に何万人もの人々が 繰り出していたから、すぐにムバーラクに対する抗議の呼びかけに変わっていき、カイロのダウンタウンにある与党の全国本部へとなだれ込んでいった。これは タハリール広場で起きたことで、それはもう…。たったの二、三日しか続かなかったので、とても小さな蜂起だったけれど、その後起きることの予備練習みたい な感じだった。だからね、ネオコンたちは確かに革命を起こす手助けをしたと言えるよ、彼らがどれほどの破壊をもたらしたかという点で、そしてね、単なる政 権だけじゃなく、この国際的序列構造全体から自分たちを解放するには、もう革命しかないんだということをネオコンたちは示してくれた。

アラー:
あのね、アラビア語で「ニザーム」という言葉は、英語の言葉で「政権」という言葉を聞いて頭に浮かぶ意味よりももっと大きな意味があるんだ。だから僕らが「ニザーム」に対する抗議の声を上げているとき、僕らは世界秩序全体に抗議の声を上げているんだよ。

ジュリアン:
この地域出身の僕の友人の一人は、チェイニーは正しかったと、イラク侵攻は確かに「アラブの春」の一部に対する種を蒔いたと考えているけれど、それはチェ イニーが考えているのとは別の意味でのことだと言っている。その友人の考えでは、米国がイラク国内のシーア派抑圧に失敗したことは、反政権勢力を抑圧でき るほど米国は全知全能ではないということをMENA(中東・北アフリカ)地域の他の国々に対して立証したのであり、米国によって後押しされてきた各政権に は地域の国内人口を完全に弾圧するためには米国を頼りにできないということを知らしめることになった。

ナビール:
まずね、イラクは今や民主国家だというのが事実だ。イラクが侵攻されたときの僕らの立場――あれは侵略だったと僕らは考えているし、アメリカはあの国を侵 略する権利はない――でも現実としてイラクは現在民主国家であり、民主制を望み、独裁者の追放を望んだイラクの人々の意志によって行われたことで、民主制 には肯定的な影響があるかもしれない、それはありうることだ、でもチェイニーやその他の人々…によって行われたこと、あそこで起きたことは違う…なぜなら ばアメリカ人は最初からこれらの独裁政権を変えることを望んでいなかった、彼らはエジプトの政権を変えたくなかった、あの政権を変えたくはなかった。つま りね…今、例えばバハレーンはそのよい見本だよ。イラクは僕らが考えている民主国家に一番近いかもしれないけれど、アメリカ人はバハレーンに今民主制が確 立することに反対しているんだ。

ジュリアン:
でも君たち、両方とも、アラー、エジプト出身だろう?

ナビール:
僕はバハレーン出身のナビールだよ。

ジュリアン:
あ、ごめん。ナビール、君はバハレーン出身だ。それで、この二つの国の軌跡を比べるのは非常に興味深いんだけど、では、アラー、まず君の家族について話題 を変えたい。君は由緒ある活動家一家の出身で、君の家族はこれまでにも君の活動を支援してきた。君のお父さんはカイロの著名な人権活動家で、君の裁判で君 にとって有益な証拠を提出した。君のお母さんは君が勾留されたことに抗議してハンガー・ストライキをやった。君の奥さんと妹さんは熱心なブロガーで、エジ プト革命の殉難者の一人から名前を継いだ君の息子ハーリドは、君がこの12月に拘置所にいたときに生まれた。こういった由緒ある血筋から、君がカイロで活 動家の一人になるのがいかに自然なことであるか、わかりやすい。君は、自分の家族に反逆して保守派になりたいとは決して思わなかったのかな?

アラー:
う~ん、いや。[笑]僕は反逆したかったんだよ…両親は70年代の大学の左派活動家出身だった。僕の父は実は共産主義者だったんだ。ちょっと君を脅かして やろうか――僕の父は元テロリストだったんだよ、彼は武装共産主義者の地下組織の一員で、5年間留置所で過ごしたんだ。つまり、僕の両親は、人が組織的分 派に属し、地下組織があり、すべてが秘密で行われていたという背景から来ている。…組織や動員の方法論でイデオロギーがとても重要な役割を果たしていたん た。だから僕が反逆したのはこの点なんだ。僕は、活動家になることについてはそれほど反抗しなかったけれど、でも…何か党派とか分派に属したり、秘密に組 織したりとか、そういうことには徹底的に反逆したんだ。…だけど僕は2005年までは批判的で…彼らは失敗したプロジェクトに力を注いでいるというふうに 考えていた。彼らのやっていることがよく分らなかったし…だから影響を…

ジュリアン:
君が言ってる…力を注いでいる彼らって誰のこと…

アラー:
ああ、僕の両親のことだよ。僕の両親、父と母のことを話しているんだ。で彼らはそれ以降も活動をずっと続けて…ごめん、ごめん、ちょっと話が飛びすぎた… それで、両親は70年代にそういうことに関わっていた。もちろん90年代の頃には話がまったく変わっていて、父母は人権運動に関わっている――母は実際の ところ学問の自由について取り組んでいるし、両親とも拷問について闘っている、でもそれはいかにも小さなステップで、絶望的な課題であるように感じられ た。だから僕は両親がやっていることにいつも尊敬の念を感じていたし、僕は常々何かに取り組みたいと思っていたんだけど、これがどうやったら実際に効果を 上げることができるのかさっぱりわからなかったんだ…わかるだろ…でも実際に活動を続けたいという興味は少しずつ高まってきて、それはあの運動、あのイラ ク戦争が起きて僕が実際に群衆と出会うまでゆっくりと続いてたんだ。

丁度、70年代頃にエジプトで起きたいくつかの民衆蜂起があって、当時、僕の両親も若者たちの指導者で、そういった民衆蜂起を起こすために重要な役割を果 たした、という話はずっと聞いていた。…だけど、そういった話は僕が生まれる前に起きたことだったから、僕の頭の中では大衆とか群衆とかは存在しなかった んだ。だって僕がそれまでに見たことのある一番大きなデモの群衆はたった数千人、多分二、三千人くらいだったから、カイロで何万人もの人々が集まって、警 察隊に抵抗して、しかも単に警察隊の暴力にやられているだけではないというような場面を2003年に目撃したときには、さすがに僕のターニング・ポイント になったと思う。だから僕は運動の総論では反逆しなかったけれど、具体的な方法論の各論では反逆してきた。僕は正しかったと思うよ。

ジュリアン:
ナビール、君の場合はどう?君はどういう出身なの?

ナビール:
うん、僕は、バハレーンの国の歴史にも名を残し、王族の公然たる擁護者でもあるバハレーン最大のシーア派一族の出身なんだ。僕らの祖父の一人はポルトガル と闘って彼らを国から追い出した。その後で僕ら一族は王族擁護者になったので、現在に至るまでは確固たる政権擁護者一族、最大の王族支持者一族として知ら れてきたんだけど、僕は学校時代から人権擁護運動を始め、大学に行くようになってから今までずっと活動をつづけてきて、一家の厄介者、ブラック・シープな んだ。多分、僕は家族の中で一番過激な男かもしれない…

ジュリアン:
君の家族の他の人たちはどうなの?…何人かは…

ナビール:
今はね、みんな全員が動いている。つまり、一族のほとんど全員が政権擁護者から僕の側に移ってきたんだ。それに[言葉が重なる]

ジュリアン:
それは君がクロだったから家族にもクロの烙印が押されたの、または皆の意見が変わったの…?

ナビール:
ううん、みんな気がついたんだ…あの一族…支配者エリートたちが非常に圧制的だということにみんなが気がついた。政権支持派一族だからといって弾圧を免れ るようなこともないし、僕が君と話しているこの瞬間にも、僕らの一族の子どもたちが何人か投獄されているんだ。一族の多くの親戚たちが投獄されていて、政 権支持派であるとされていたにも関わらず、弾圧を免れることもない。バハレーンで過去二、三年ほどの間に起きたこと、多くの人々が殺され、拘置され、拷問 を受け、攻撃の的になり、差別され、社会の隅に追いやられ――人、もの、家、モスク――の破壊、窃盗があった後で、バハレーンの国民の多くがこの政権はと ても抑圧的で本当に悪い連中だということに気がついて、皆が動き出した。僕の家族以外の多くの政権支持派の人たち、以前は政権支持派だった各大臣の一族、 各知事の一族など多くの家族が今や反対派に変わっている。

ジュリアン:
過去二、三週間に何かあったの?僕が君をここに呼ぼうと思って電話したとき、君は…牢獄に入れられていたよね、だから…

ナビール:
ああ、この前のことか…あ、あれはね、うん、僕は牢獄の中だった…僕は半日ほど勾留されていたんだ、抗議行動をしてたという理由でね。――僕は妻と子ども 二人を連れて真珠広場に向って歩いていたんだよ。――で、その前の月は道で袋叩きにあった。二、三カ月前は覆面の治安職員に自宅から誘拐されて別の場所に 連れて行かれた、目隠しされて手錠をかけられた後、拷問にあって、その後で自宅に放り返された。

ジュリアン:
それはいつのことなの?バハレーンの抗議デモの道筋、そこへ向っていたの?

ナビール:
うん、そうなんだ…去年の三月の後のことで、いつも僕が受けるような嫌がらせだよ。僕の家族、僕の妻や子どもたちもこういう嫌がらせを受けるんだ。例え ば、昨日のことだけど、それにこれは君のせいでもあるんだよ。僕がツイッターのアカウントでジュリアン・アサンジに会いに行ってテレビの番組で彼と話をす るって呟いたらね、昨日の夜、僕の家は武装して機関銃を持った約100人ほどの警官に取り囲まれたのさ。で、僕が家にいないということがわかったら、今日 の4時までに検察官のところへ出頭するように僕に伝えろと家族に言ったんだ。だけど、僕はここにいるんだよ。

ジュリアン:
で、君は今日の4時にここにいる。

ナビール:
僕はもうここにいた。その電話は昨夜受け取ったんだけど、…僕は慣れている…

ジュリアン:
どうするの?

ナビール:
僕は帰るよ。だって、きちんと対処しなくちゃ。これは初めてのことじゃないし、これこそが戦い、これこそが自由、これこそが僕らが勝ち取ろうとしている民 主制なんだ。それには犠牲がともなうし、僕らはその犠牲を払わなければならない、僕らがバハレーンで膨大な犠牲を払ったようにその犠牲はとても高くつくか もしれない、そして僕らが戦い取ろうとしている変革のために僕らはその犠牲を払うつもりだ。

ジュリアン:
アラー、君が書いた作品…

アラー:
あのね…

ジュリアン:
ごめん、いいよ…どうぞ、アラー。

アラー:
僕は家族について言いたいことがある。ある側面についてね――それぞれ個人にとって違った物語があるけど、エジプトの革命でこの側面についてみてきたし、 それが今起こっている…ものすごい大きな出来事だし、単に活動というだけじゃなくって、これは革命なんだから、ね、家族も段々と何らかの形で動員されるん だよ――君の仲間になるとか、彼らと喧嘩になるとか、そんなことさ…それぞれ個人的な物語の一部で…皆からいろんな話を聞いている。

例えば、タハリール広場にいたある女性のことを覚えている、ムバーラクを退却させた最初の18日間の最初の座り込みにいた人だ…彼女はとても若い花嫁だっ たんだ、結婚したばかりのね…でも彼女はプロテスト、座り込みに参加してタハリール広場で夜を過ごしてた。彼女の夫はまだ確信を持てなかったのでそこにい なかった。だから僕らは彼女をからかったものさ、ムバーラクが失墜しなかったら君の家庭生活は危機に陥るよとか、結婚生活はダメになるぞとか、ムバーラク が失墜したら君はだんなを尻に敷けるぞとか、そんなことだけど、その一部は冗談ではないんだよね。実際にダイナミックスがそういう風になるんだ、で終わり のほうで彼が彼女に同行するようになった。それはいつもこんな風なんだよ、僕にとってね。家族のことと政治活動のことを切り離すことはできない、だから ね、僕がプロテストにでかけるのは、結婚して家を出て、家族と一緒にやるにはいい活動だったからだけど、だんだん成長してね…

ジュリアン:
アラー、君はたとえ社会が変わっても今のようにムバーラク政権下と同じような社会なら、子供を作るに値しないと言ったらしいけど、気持ちが変わったんだね。

アラー:
僕は一度もそんなこと言ったことないよ。なぜ僕らが…僕とマナールが長いこと結婚していて子供を作らなかったかについて、他の人が下した解釈だ。僕は一度もそんなことを言っていない。

ジュリアン:
そうなんだ。で、何があったの?

アラー:
いや、僕らは、分らないよ…僕らは子供を持つことにそれほど興味はなかったし、お互いに合意していた、革命の時が来るまではね…でも2012年とか 2011年頃には子供を作ろうとすでに決めていたんだけど、最終的な決定はしていなかった。それで、革命が始まって僕らはそれに参加して、なんて素晴らし いんだろうという発見をして、僕ら、よし、と決めた。子供をつくろうってね。

ナビール:
エジプトの革命はまだ完了していないよ。エジプトの革命はまだ完了していないんだから、残りの半分をやる必要がある、でその半分が終わったらもっと子供をつくらなくちゃ。

アラー:
そう、そう、そう、そのつもり、そのつもり。

ジュリアン:
僕らは今どこにいるんだろう…?現在の状況はどうなんだろう…現在バハレーンの動きはどうなの?

ナビール:
僕は三つの異なるステップがあると思う。チュニジアでは革命が完了した、政権を完全に打倒し、完全に新しいシステムが…

アラー:
チュニジアでは全く完了なんかしていないよ。

ナビール:
そう、では、エジプトでは革命は半分までいってるが、完了していないね、軍やシステムや政権がまだ存在する。そしてバハレーンの場合は、革命はまだ存在し ていて動いてはいるけれど、まだ何も達成していない、でも革命は今もその過程にある。一年経った今もまだ続いている。本当に多くの人々が殺された。割合で いうと、チュニジアやエジプトの人々よりも多くの人命が失われた。勾留された人の数でも割合からいうとチュニジアでの場合よりもずっと多いんだ。人々は仕 事から解雇されたり、組織的な拷問を受けたり、殺されたりしているし、今、モスクが破壊され、家屋が略奪されている…

ジュリアン:
この…この…この[アラビアの帆船の帆を表す]6本の支柱を持つモニュメントを破壊するなんて…

ナビール:
そういう精神構造を示しているんだ、部族主義だ…

ジュリアン:
…なんというか、自虐的な9/11意識じゃないかな?だって、バハレーンの建築物でもっとも重要な建物を壊してしまったんだよ。

ナビール:
実際にはね、彼らは以前はシンボルではなかったそのモニュメントをシンボルにしてしまったんだ。だって今、人々が身につけているあらゆる服装にそのシンボ ルが描いてあるし、どの家に行っても真珠広場の絵や写真が額縁に入っている。人々は真珠広場のモニュメントをかたどって作ったアクセサリーを身につけはじ め、[モニュメントが描かれた]500フィルス硬貨を持っている人は闇市でそれを売っている――それもみんな、取り壊しという政府のとんでもない反応が あったからこそなのさ。記憶を崩壊させることはできないんだ、歴史を解体することはできないんだ――存在、事実、現実なんだから。

じゃあ、どうするのか?作り出すのさ…人々は心の中でそれを強化させるんだ。そういうことを奴らがやったわけだよ。記憶はそこにあり続ける。だからみんな 今その同じ場所に戻るために闘っている。僕も…僕と家族は一緒にそこへ歩いて行く、なぜなら奴らがあの場所をシンボルにしたからさ。あの建物を壊さなかっ たら、あの朝早くあれだけの人々を攻撃しなかったら、あの朝早くあれだけの人々を殺さなかったら、僕らにとってあの場所はシンボルにはならなかった、でも 今や奴らはあの場所をシンボルにしてしまったんだ。ああいう行為は、政権の部族主義的精神構造を示している、支配政権、世界のこの部分を支配する奴らの ね。残念ながら、僕らは10代目以来…二、三百年くらいの間、一族、独裁者によって支配されてきた地域に住んでいるわけだけれど、奴らの力は富によって、 米国の支持によって、奴らの持っている軍隊によって支えられているのであり、国民からはまったく正当性を認められていない。他に何もない…国民から正当性 を認められていないんだ――だけど、奴らが僕らを支配していることは現実であり、僕らがそれを変えることができないのは誰も奴らのことを話したがらないか らだ。

ジュリアン:
アラー…アラー君、エジプトは今どういう局面にあるの?今朝気がついたんだけど…丁度二時間くらい前に読んだんだ――裁判官…NGOの裁判を監督していた三人の裁判官が辞任したそうだ。これはどういうことなの?

アラー:
うん、けっこう長い話なんだ。

ジュリアン:
概要を教えてくれよ。

アラー:
うん、うん、革命のことを話してから、このNGOの件について話そう。

ナビール:
でもチュニジアの革命はまだ完了していないって君は言ってたけど…どうしてなの?

ジュリアン:
どうしてなの?

ナビール:
どうしてチュニジアの革命はまだ完了していないの?

アラー:
チュニジアの革命。うん、それはね…。どんな革命でも完了したということはありえないと考えている。革命の完了ということは、新しい正義の世界が創られた ということで、そういうことはまだ起きていない。僕は南アフリカに3年住んでいたことがある、そこの革命はまだ完了していない。もちろん敗北したんじゃな い、革命には完全に勝利したんだからね。でもニーズというものが未だにあるだろう?まったく違った生活に対するニーズがね。

チュニジアで起きていることは、あそこの政権はエジプトやバハレーン、またはリビアやシリアの政権よりもずっと賢いということなんだよ。あそこの政権は、 権力を放棄しようと決めた、だから権力は選挙で選ばれることになり、国民は元の生活に戻って路上から去っていくわけだ。でも失業率が高く、労働者の権利な んかも…窓の外に放り投げられるような社会秩序の下にあって、戦略的外交政策やその他の決定事項は、本物の――言葉はなんだっけ?――本物の主権に基づく ものではないんだ、わかるかな、そういった決定はチュニジアの利害に関わっているどんな実質的な独立層にも地盤がない、そしてその代わりに国際的…

ジュリアン:
[アラーの言葉をさえぎって]なぜ、チュニジアはシリア承認を止めることにしたんだと思う?

アラー:
シリア政府という意味かい?

ジュリアン:
そう。

アラー:
ううん、チュニジアは選挙で選ばれた政府だからだよ、もちろん。いや。つまりね、僕は、選挙で選ばれた政府は意味がないと言っているわけじゃない、意味は あるよ、だけどそれは単なる改正だ、小さな改善だ――いや重大な改善さ、でもそれは実際の国民の願望にまで至らないものだ。

チュニジアの支配階級または支配特権クラスの人々はごく初期の頃からとても賢かった、わかるかな、ベン・アリは早いうちに逃亡した、ムバーラクなどのよう に打倒されるまで待たなかったんだ。彼らは一貫して賢い動きをしていたけれど、革命はまだ終わっていない。チュニジアでは最近ストライキがあったんだけ ど、選挙で選ばれた政府に攻撃されたんだ。抗議運動には、両方の勢力とも、サラフィストも――サラフィストの抗議は宗教問題に関するものだ、そして労働組 合による抗議行為も…

ジュリアン:
アラー…

アラー:…攻撃され、催涙ガスで打ちのめされたりして、それがまだ続いている。

ジュリアン:
現在エジプトで起きている状況はどうなの?エジプトにはものすごく大きくて強力な派閥があるし、複数の企業があるし、独自の経済を持つ軍組織がある。エジ プトには当初から革命運動に関わってきた人々がいるし、ムスリム同胞団、コプト正教会がある、これらすべてがどんな風に動いているんだろうか?

アラー:
まずね、18日間[続いた革命]の出来事はかなり意外な出来事だったし、ムバーラクがあんなに素早く退却するとは思わなかった、犠牲は高くついたけれど も、僕らとしては犠牲はそれよりもずっと多くなるのではないかと考えていた。だから、エジプトで何が起きているかというと、僕らがこうなるだろうと予測し ていた出来事、つまり僕ら皆が考えていたのは、革命は多分一年くらいかかるんじゃないだろうかということだったから、ムバーラクを倒すのに一年はかからな かった分、軍隊とのことで今それが起きているわけなんだ。

人々は最初の頃、軍隊は介入せず政権側を擁護しないことによって、団結と社会的地位を挽回することに決めるかもしれないと考えていた。だけど、実際には軍 隊こそが政権の中枢なわけで…だからこの革命は今や軍事政権の支配に抗う革命であり、もっと深いところに入っていっている…つまり、現在の目標はただ単に 軍事委員会――将軍たち――を支配階層から追い出すことだけではなくて、文民が就任すべきすべての地位からあらゆる軍人を追い出すことであり、選挙で選ば れた権限に軍隊を従わせることであり、軍隊から経済的権力を剥奪することによって、軍が国家の中にある国ではなくなるようにすること、軍は行政権が持つ単 にひとつの手段でしかなくなるようにすること。こういったことは膨大な仕事です。

これは一度にすべての権益を敵に回すということだ。そしてあきらかにそれは実際にはアメリカの権益――そしてサウジ・アラビアの権益――のことであり、彼 らにとってエジプトが軍事政権の手中にあることが戦略的に望ましいわけだ。例えば、国防に関する決定事項とか、スエズ運河のこととか、イスラエルとの関係 とか、外交政策とか、国内の治安とか、エジプトが「テロとの戦争」に関わっているのかどうかだとか、――彼らにとっては、こういったすべてのことが諜報機 関、軍隊によって掌握されている必要があり、選挙で選ばれた[文民の]権力の手に入らないことが望ましい。だからこういったことがこの闘いの本質だ、難し いことだ…人々が殺されているんだ…

ジュリアン:
でも…現在あの革命勢力はどうなっているの?君たちを支えた…サッカー・クラブ、あのウルトラ団[フットボール応援団]、組合、そういったグループは今ど こにいるのか、何をしているのか、君はどういうふうに捉えているんだい?この人たちは解散したのか、今でも特定の方向に向って改革を推し進めているんだろ うか?逮捕されたのだろうか?ムスリム同胞団は逮捕されたの?

アラー:
ううん。ムスリム同胞団は革命からはほとんど降りてしまった。彼らは選挙で議会に参入し、今は軍隊とアメリカと交渉することとか、ものすごく緩やかな改正 とか、権力取得、つまり選挙を介した権力取得だから彼らにその権利はあるんだけど、そういうことに興味を持っていて、でも活動だとか、対立だとか、革命の 継続などといったことには興味がない。彼ら…組織のほとんど…例えば公式の政党などはもしかするとムスリム同胞団よりはもう少し批判的な立場を取っている かもしれないけれど、でもそういった組織は、なんというのかな、革命的な行動はしていない。もっと小さな、あまり政治的ではないけれども組織されたグルー プ、例えばフットボールのウルトラ団、フットボールのファン――独立したフットボールのファン組織は警察との路上での戦いでは王者だった――そういった人 たちは今もまだ強力だし革命に力を入れていて、今は警察に追われたり拷問されたりしているんだ。

アラー:
で、労働組合はね…独立労働組合というのは新しい現象なんだ…革命の前はたった三つの組合しかなかったんだけど、今は100とかそのくらいあって、いまだ に増えている。まさに今日起きたばかりのことだけど、裁判所の書記たちが起こしたストライキがあって全国の裁判所がすべて閉鎖されてしまった。そういった ことが続いていて、最近の動きだし小さいけれども増えている。それから今は学生運動も広がっているんだ。学生運動はエジプトの歴史で常に甚大なる役割を果 たしてきた。今、学生たち…そして若者たちこそが革命なんだけども、ここで僕らが話しているのは、実際に大学や高校の内部で起きている組織化された学生運 動だということ、だから単に学生たちが抗議運動に参加しているということじゃなくて、学生たちが実際に自分たちで意思決定の仕組みを組織し、それを形作っ ているということだ。

ナビール:
君の言ったこと、ちょっと…まとめてみようよ…

アラー:
それに、地域住民委員会なんかもあるんだ。でも…

ジュリアン:
そうだ、アラー、思い出したんだけど…

アラー:
ごめん、言いたいことがある…

ジュリアン:
ごめん、続けて…

アラー:
君の言葉を遮ったのは、言っておくべき点を明らかにしたいからなんだ…こういったあらゆる派閥や多様な組織グループはね、革命のほんの小さな部分でしかな いという点だ。そして最も大きな…革命の実体というのは、まだどのような公式の構造にもまったくつながっていない。それは、集って、抗議デモに行ったり、 ストライキしたり、はっきりした指導者が誰もいない山猫ストをしたりしている大群衆のことだ。そしてこういった群衆は街頭の戦いにもわざわざ乗り出してく る。だからストライキ、座り込み、街頭闘争がある――これがこの革命だ。それで、これがいまだにとても優勢なんだ。これが政権を揺るがしているし、大きく なっていて、小さくはなっていない、実際にどんどん膨らんできている、でももう一年も経ったしいつまでもこんなふうに続けていけるのか、またはもっと正式 な組織に移行する必要があるのかどうか、人々は考え始めている。僕の考えでは、こういった正式な組織はまだ何も答を示していない。僕が話してきたような独 立労働組合とか学生運動だとかは、いわば興味深いおまけみたいなもので、確かに拡大しているし重要な役割を担うはずだけど、でも政党などは決して解決策に はならないと思う。だから、僕らはこの膨大な社会運動が道筋を明らかにしていくこと、…もっと素早く意思決定をするのを待っているんだ。なぜならば、現在 この運動はあまりにも有機的で意思決定にはものすごく時間がかかる。こういう暴徒、こういう集団、こういう部族、こういう群衆、彼ら大衆、民衆によるこう いうあらゆる現象は消滅するかもしれない。

[AEのスタッフ、カード交換のために休憩必要]

ジュリアン:
いいよ。そこで止めていい…カードを入れ替えるのを待ってるから。

アラー:
僕ら…この点については言いたいことは言ったよ。要点は、無秩序な革命というのが革命だってことだ、それがどうなるかわからない…僕はそれを信じているけど、それがどこへ向っているのかわからない…

ナビール:
でも問題はね…

ジュリアン:
何…あ…続けていいよ…

ナビール:
エジプトの完全な革命を減退させている問題は、イエメンがそうだったように、既存のプロセスに追従して政権との妥協を望む従来の政党という、現在エジプト が直面している問題、イエメンが抱えるのと同じ問題だと思う。一方で、革命を完成させたいと願う若者たちの、真剣な若者たちの運動がある。問題は…、確か に彼らはとても強靭だし街頭での活動も活発だけど、何年もの間存在してきた政治党派ほどきちんとまとまっていないため、エジプトやイエメンでは、こうした 政党がこの事情を利用しているということだ。政治グループ、政党はそれに乗じてシステムどおりの道を歩み、妥協の道を歩んでいる。バハレーンでは、僕らは 既存の伝統的グループ、政治グループなどと若者たちの運動との間にあるギャップを最小限に抑えることができた。僕らはこの距離がとても緊密になるように努 力しているし、ほとんど近い関係にある――彼らはひとつの言語で話しているし、要求もひとつ、ひとつの屋根の下にいると言ってもいいかもしれない、だけど エジプトではいろいろ違った声があって、街頭にいる人々は…

ジュリアン:
でも、どちらの場合も…権力構造の外に追いやられている――バハレーンの政治グループは…

ナビール:
両方とも――もちろん、それが権力の外に置かれたひとつの理由なんだ、両方とも…

ジュリアン:
ところで、…バハレーンの革命グループやこういった抗議運動を支持する人々はけりをつけてしまったのだろうか?おそろしくて行動できないでいるのだろう か?バラバラにされてしまったのか?それとも無関心になってしまったのだろうか?まだ残っているのはどういう人たちなの?どんな人たちがまだ前に進むため に闘っているの?

ナビール:
うん、いまだにたくさんの人々がいるよ。例えばね…バハレーンの人口の半分がひとつの抗議行動に繰り出したとしても僕は驚かないだろうし、君も驚くべきで はないと思う。未だにこの運動は生きている。どんな革命においても起きていないようなことがあるんだ。過去50年の歴史の中で起きたどんな革命でも、ひと つの街頭デモに人口の50パーセントが出てくるなどということはなかった、だけどバハレーンではそれがきっと起こるはず。残念ながら、多くの国々でまかり とおっているダブル・スタンダードのおかげで、例えばアルジャジーラなど多くの国営チャンネル、アル・アラビアとか、その他ヨーロッパのチャンネルによる ダブル・スタンダードのおかげで、メディアはこのことに焦点を当てることはないけれど、デモに人口の半分以上の人々が街頭に繰り出したということ、これが 現実であり、これが事実だ。たしかに…奴らはたくさんの人々を殺し、多くの人々を勾留したけれども、現在まで僕らには多くの人々が味方についているし、 しっかり結束しているんだ。

ジュリアン:
アルジャジーラはなぜバハレーンの取材をしないのか…言い方を変えよう…バハレーンにおける抗議運動についてアルジャジーラの報道はどうなんだろうか?

ナビール:
アルジャジーラはエジプトでは積極的だった、チュニジアでも積極的だった。実際のところ、アルジャジーラは、アラブ圏での革命にとって、それが確かな革命 なのかどうかを示す合図のようなものだった。アルジャジーラがこれらの革命を報道するのであればそれには信頼性があるということになる、でもバハレーンに ついてはアルジャジーラは沈黙した。僕が話しているのはアラビア語のアルジャジーラで、英語版のことではない――英語版はまったく違う。

ジュリアン:
うん。英語版はよかったと思うけど、どう?

ナビール:
まだそれなりに限界はあったけれど…よかった。アラビア語版は、完全な沈黙だった。実際、多くの地域で彼らは政府側についたんだ。

ジュリアン:
どうして?

ナビール:
どうしてって?それは、彼らが似たような支配層の一族で同様な地域の出身者だからだよ。バハレーンに民主主義が実現すると、それは[アルジャジーラのある]カタールに影響を及ぼすし、アル・アラビアのテレビ・チャンネルを持つサウジ・アラビアにも影響を及ぼす。

ジュリアン:
じゃ、サウジはどうしてバハレーンに軍隊を送り込んだの?

ナビール:
それは…これについては、どんなことが起きたかについて全世界が声をあげて糾弾すべきことなんだけど、どの国も、一言も声を上げることなく、サウジが僕の 国を侵略するにまかせた。今度また同じ各国政府がリビアの政権と戦うために軍隊を送り込み、次にシリアのアサドに攻撃をする――その必要があるのかもしれ ないけれども――でもバハレーンになると、彼らはまったくの沈黙を守るんだ。サウジと軍隊と…

ジュリアン:
バハレーンの活動家シーア派がサウジに広がるのを怖れていたのだろうか?

ナビール:
いや、サウジは米国やヨーロッパに対して大きな影響力をふるっているからだよ。米国の権益のため、多くのヨーロッパ諸国の権益のため、武器取引のため、原 油の流通のため、相互利益に対する影響力があり、多くの国々にとってそういったことはバハレーンの人権よりも優先度が高いわけだ。例えば、シリアに武器を 売るなとロシアに要求した同じ米国がだよ、バハレーンに武器を売っている。トルコ政府は、支持しなければならない立場にあってロシアの革命を支持している けれども、その同じトルコ政府がバハレーンに戦車を売っていて、それを隠そうとしていた、今日になるまでバハレーン政府を支持しようとしていたんだ。昨日 は人権委員会の米国代表が「バハレーンは自ら改善を行っており事態が良好なので、このセッションではバハレーンについて討議しない」と発言したんだよ。み んなどこを見てるの…今こうやって僕が君と話している間、二、三時間前に、一人の男が催涙ガスのために死んだ。僕らの国で…毎日人々が死んでいるんだ。

ジュリアン:
イランは…革命勢力を煽っているの..?

ナビール:
それが政府の言っていることさ。それが米国政府が信じようとしていることだ、だけど何も根拠がない…革命勢力には何も[聞き取り不可]…

ジュリアン:
聞いたかな…?およそ8ヶ月前にバハレーンの抗議デモがあった頃の大使館公電を読んだんだけど、僕が公開したこの米国大使館公電によると、バハレーン政府 高官が米国大使館にやってきて「いいですか、バハレーンの人権要求の動きの背後にはイランがいるんですよ。イランがバハレーンの抵抗勢力に資金や武器を注 ぎ込んでいるんですよ」と伝えたことについて、ワシントンに報告書を出した米国大使は、それが真実であるという証拠は何も見つからなかったと書いている。 こういう主張がずっと続いている…この主張がずっと続いているけれども何年経ってもまったくその証拠が見つかっていない、と。

ナビール:
そう、そう。それによく似た、少なくとも一通の公電には僕のことが書いてあって、政府職員の一人が米国大使館に出かけ、ナビール・ラジャブはイラン政府か ら資金を受け取っていると言い、米国大使館の職員は国務省にそれは真実ではない、根拠はまったくないと伝えている。でも…

ジュリアン:
イランに対する恐怖を煽っていることが、西欧の支持を妨げている主な理由だと思うかい?

ナビール:
バハレーンには第五艦隊司令部が置いてあるように、西欧諸国はバハレーンの安定を望んでいることは確かだ。バハレーンがひっそりと平穏で安定していることを望んでいて、この革命はそういった安定を崩している…

ジュリアン:
第五艦隊はバハレーンの港に司令部を置いており、それはイランのすぐとなりにあるわけだろう?

ナビール:
そうなんだ。だから…分りやすい言い方をしてみよう。ムバーラクを失ったということ…チュニジアのベン・アリを失い、エジプトのムバーラクを失ったという ことは、サウジ政府を非常に怒らせた。ほら、電話で喧嘩があっただろう――サウジ国王とオバマとの間でね?だからバハレーンのことでは、サウジとしては絶 対に避けたいことがある――バハレーンの革命だ。国境の目と鼻の先なわけだから、サウジ・アラビアに悪影響を及ぼすことになる――だからこそ、サウジはバ ハレーンに軍隊を送り込んで弾圧に手を貸し、人々を殺し、勾留した。そしてサウジが手を貸した血みどろの弾圧は…国際社会が完全なる沈黙をまもった中で行 われた。そう、サウジは民主制を望んでいない、そう、カタールはシリアやその他の地域での民主制推進を望んでいるけれども、カタール国内での民主制は望ま ない――その地域を、あたかも自分の農場や会社であるかのように、この地域全体を動かしたいんだ。現時点では、この地域はこういった一族が所有する企業で あるかのように支配されている。

民主制になれば、こういう仕組みを止め、国民に意見を聞く必要があるし、権力を共有しなければならない、富を分かち合わなければならない、そんなことをこ れらの国々の政府は受け入れないだろう?だから、米国はサウジの顔色をうかがっている。サウジが大きな影響力を振るっているのは…サウジは二、三カ月前に あった最大の武器購入によって、米国の沈黙を買い取ったからね…

ジュリアン:
これはバハレーンとの取引?それともサウジとの取引なの?

ナビール:
サウジとの取引だ…

ジュリアン:
そうだった――800億ドルとかの規模だ。

ナビール:
バハレーンのことで沈黙を守ることは、バハレーンの機嫌をとるというよりはサウジの機嫌をとるということなんだ。

アラー:
でもこれは米国の権益の問題でもある、それはすべて国際的権益の問題だということをここで明らかにしようよ。民主的アラブ圏は軍事基地を許さない、外国の 軍事基地を圏内に置くことを許さない、軍艦がスエズ運河を通過することを許さない、石油の売却とかそれについて影響力を振るうこと…その決定…なんと言っ たらいいんだろうか、石油企業による石油掘削などを許さないだろうし…。多分、誰にいつどのくらいの量の原油を売るか、さらに一部は将来に備えて取引する かとかいったことに関わる政策は、急激に変わるだろうな。それに、人々は戦争には興味がないという意味ではイスラエルとの平和を望むだろうけれど、イスラ エルと友好関係は持たないだろうし。だから民主的アラブ圏は戦略的政策の観点からすると完全に違ったものになるだろうし、米国の国益のため、欧州連合の利 益のためにさえ、さらにイスラエルの国益のために、この地域での民主制が実現しないように全力を注いでいるわけで、各政権はそれを理解している。そしてア ラブ諸国の政権は、これら諸外国の権力の代理人となることによって自分たちの財産や権力を構築し、今ではサウジ自身が自らを代弁できるところまで大きく なった。もちろん諸外国に比べたらそれほど力はないかもしれないが、守るべき独自の権益を持つようになったため…

ジュリアン:
アラー…

アラー:
…サウジは米国に似た立場で交渉したり、圧力をかけたり、議論するようになった。

ジュリアン:
アラー、覚えていると思うけど、エジプト革命が絶頂だった頃、ジョセフ・バイデン[米国副大統領]によって、国務省によって、ヒラリー・クリントンによっ て、エジプトの国内諜報機関の長官スレイマンがムバーラクの代わりとなる人物、妥協的人物として推薦されたときに、僕らは彼に関する大使館公電を公開し、 イスラエルとの関係についての彼の立場や彼の米国との関係について、そして彼が…拷問の責任者であることなどについても…

アラー:
つまり拷問に関することだね…

ジュリアン:
そうだよ、だけどね、スレイマンが成功しないだろうということが明らかになった直後に、ヒラリー・クリントンが態度を翻してエジプトの革命を褒め称えはじ めた。そしてエジプトやチュニジアの革命は、実はツイッターとフェイスブックという素晴らしい米国企業のおかげだと言ったんだ。[全員爆笑する]君は多分 何度もこのことについて耳にしたと思うけど、僕は例のサッカー・クラブ、ウルトラ団のハンドブックを読んでたんだ――彼らの役割についてちょっと説明して もらえるかな――それで、このハンドブックの最初のページには、逮捕されるから「ツイッターやフェイスブックは使わないように」と書いてあるし、最後の ページにも「ツイッターやフェイスブックは使わないように」と書いてある。エジプトの人たちは[ヒラリーの]この主張についてどう思っているのか、少し話 してもらえないかな、なんらかの真実があるんだろうか?

アラー:
うん、わかった。そうだね、よし、ひとつずつ説明する必要がある。まず、革命には…何をどう語るか、という「語り方」をめぐる戦いというものがある、とい うことに気がつく必要がある。革命というのは、理念に関する出来事なんだよ、つまり、街頭に繰り出し体を張っている人間の数や銃弾その他のことであるのと 同時にね。だから、革命に関しても「語り方」をめぐる戦いがあるんだ。

転換が起きたとき、つまり、米国が公式に革命を讃える立場をとり始めた時、国営メディアを含むエジプトの公式報道機関や政府代表者の論調にも変化が起きた し、その時、軍事政権の支配者たちもその話題を持ち出し始めた。この「語り方」をめぐる戦いの中でも最も重要な点は、この運動がいかにもフェイスブック系 の若者たちのことであるかのように革命というものを矮小化しようとする試みがあったことだ。これは、若者たちが革命にとって重要な役割を果たさなかったと 言っているのじゃないよ――もちろん彼らは重要な役割を担ったさ――でも革命の一側面を丸で囲って、これこそが本物の革命だ、他の連中は本物じゃない、な どと言うことで、いろいろなことをないがしろにすることになる。階級意識の問題や、身を守るために人々がどれほど暴力をも辞さなかったかといったことが軽 視され、革命の主導勢力を分断隔離することになる。だから、裕福な中産階級で高等教育を受けた、インターネットでつながっている若者たちが革命に重要な役 割を果たしたんだ、という話になる。若者たちは、もちろんきわめて戦術的な理由で、革命のシンボルになった。全世界にエジプトの革命を熱烈に支持してもら うことが必要だったからね。

だから、ウッドストックみたいな、でもドラッグやセックスなしのこのタハリール広場のお祭り騒ぎはね、とても素晴らしくて、驚きに満ちていて、ものすごく 感動的で――そしてとても本物だった、あそこには幻想のひとかけらもなかった、…それがタハリール広場のお祭りだった…でもそういう物語を語った場合…タ ハリール広場についてそれは間違ってはいないよ、でもエジプトの革命について、こういう素晴らしい若者たち――見栄えもよくて、恵まれた若者たちがタハ リール広場に集ってやったことだという物語にしてしまってそれを語ったとしたら、労働者たちを疎外することになるし、街頭での攻防戦を無視することなる、 僕たちが自分たちの身を守るためにどれだけ暴力を行使しなければならなかったかということも見過ごすことになってしまう。もちろん、そうじゃなかった…あ れを暴力という言葉で表すのは間違っている、だって機関銃を撃ちまくる武装戦車に向って石を投げる行為を暴力と呼ぶべきではないと思う――でも僕が言いた いのは、革命の外にいる人々が中で起きていることを想像しているようなシナリオに僕らはけっして従っていたわけじゃないということなんだ。

だからヒラリーは単に米国の企業を押し付けていただけじゃなくて、彼女はこの革命を止めるために考えられた語り口を押し付けていたということなんだ、革命 が決してムバーラクよりもっと深いところへ向わないようにするためにね。うん、だからこそ、この話はとても議論を呼ぶ問題なわけさ。ツイッターやフェイス ブックはとても便利だよ、…でもこれがどれだけ便利かなどと僕が話したことによってこのツールが革命を壊すために使われるようなことがあるならば、僕はこ れらはまったく役に立たないと発言したいな。でも実際には…ツイッターやフェイスブックはとても役に立ったんだけどね。

ジュリアン:
ナビール、バハレーンでのフェイスブックやツイッターの現状について話してもらえるかな。というのも、このミーティングのために今朝リサーチしてたら、政 権支持者が作ったフェイスブック・ページに、政権側が活動家を追跡しやすいようにバハレーンの活動家たちの顔写真がたくさんリストアップされていたのを見 たんだ。どういうことが起きているんだい?

ナビール:
うん、まず、バハレーンはアラブ圏の中でもツイッターの使用では最も活発な国だということを知る必要がある。僕らはチュニジアの人たちから学び、エジプト の人たちから学び、僕らの革命のためにツイッターやフェイスブックを使う知恵を学んで賢くなった。同時にツイッターやフェイスブックやソーシャル・メディ アを使うということでは、政府は僕らと同じくらいアラブ圏で最も賢いわけで、君が観察したことはそういう現象の一部だ。政府は、米国、英国、ヨーロッパの PR企業の10分の1を雇って、いろんなアジア諸国やアフリカ諸国から何百人もの人間たちを連れてきて、日夜休むことなくソーシャル・メディア、ツイッ ターやフェイスブックに力を注ぎ、偽の世論を作り出し、世論を誘導し、バハレーンで起こっている出来事とは違った物語を展開することで、バハレーンで起き ていることの現実や事実を捻じ曲げている。

でも、これほどの労力を費やしても、何百万ドルものお金を費やしても――政府は何百人もの人々に投資したんだ――、現実は明らかになる、事実は明らかにな る。活動家たち、無報酬の活動家たち、ボランティア、少数のボランティアが現実と事実を国際的な場面に持ち出すはずだ…だからだよ…僕が今日ここで話して いるのは。…僕はPR企業などないし、僕には雇っている人もいない、でも一生懸命真実を求めるならそれは見つかる。政府にはこの作業をやっているたくさん の会社があるけれど、失敗した…でも彼らは賢いし、…

ジュリアン:
君には5つの偽アカウントがあるんだよね…

ナビール:
僕には5つ…6つの…偽アカウントが作られている――ツイッターとフェイスブックでね…

ジュリアン:
君のふりをしているんだね…

ナビール:
僕のふりをして英語やアラビア語で悪い言葉を使って…それを信じる人もいるけど今はフォロワーの数をみてこれは本物のナビールじゃない、これは本物のナ ビールだ、ということが分る。それでも…闘わなければならない…これが新しい体制だ――政府のソーシャル・メディア、ツイッター、フェイスブック。90年 代、じゃなかった、70年代にはいろんな革命があったけど、残念ながらあの時代の人たちにはこういう手段はなかった…

ジュリアン:
二人に質問したいことがある…一時期テクノロジーが民主化されるとき、または新しいテクノロジーがその枠組みに参入する場合――例えばインターネットが比 較的新しいテクノロジーだった頃、またはフェイスブックやツイッターやウィキリークスは新しい出来事だね――そんなときにある人々は素早く動き、素早く適 合する――そういう人々は若い人たちだ、紐付きの社会構造にまだ束縛されていない人たち、自分の地位を維持するために全力を注いでいない人々、彼らがこの テクノロジーを受け止めて素早く適合する最初の人々だ。でも、既存の政権がその重要さを理解し、それが静的で変化しないことをみてとったときにはそれに全 力を投入しはじめる、学習は遅いけれどリソースはより大きい。バハレーン政権はフェイスブックやツイッターを征服するだろうから、人々はもっと新しいテク ノロジーに移行すべきだと思うかい?

ナビール:
そうだね、チュニジアではツイッターもフェイスブックも閉鎖になった。エジプト政府はインターネットを遅らせようとしたり、インターネット全体を閉鎖しようとして…

アラー:
でもそれは完璧にはうまくいかなかった…

ナビール:
…完全に切り離そうとした。バハレーンでは、すべてのツイッター活動家たちに的を当て、逮捕したし、その何人かは拷問されて死んだ。だから、どこでも政府 はさまざまな手段を使う。そしてバハレーンの人々の多くが仮名や秘密の名前を使うようになったのはそれが原因なんだ、でも同時に、良いことも起きている ――バハレーン人の大部分が革命のおかげでインターネットの使い方やソーシャル・メディアの使い方を学び始めたんだ。肯定的なことと否定的なこと。でも肯 定的なことは、僕の一族の少なくとも20パーセントがインターネットやソーシャル・メディアの使い方を学んだ…すごいよ、全員さ、僕の母さんもだよ…

ジュリアン:
うん…そうなんだよ、僕の母だって今や、僕のことが原因でツイッターやってるよ。

ナビール:
うん、うん、僕の母さんは年齢80歳を超えてるんだけど、彼女がね「ツイッターを電話につないでおくれ」って言ってた。母さんはわかってないんだけど、一 緒にいる人に「何が起きてるのかチェックしてちょうだい。誰か何か書いているかい?」ってね。こういったことは前にはなかったことだ。誰もがインターネッ トを使っている、誰もがね…今、革命が起きているからさ。

ジュリアン:
アラー、タハリール広場での抗議運動のときにあった、インターネットの接続を維持したり、回復させるための戦い、電話システムを復元させるための戦いについて話してくれないか。ISPが一社、人口の6パーセントをカバーしていた。

アラー:
うん、6パーセントあったかどうか確かではない。6パーセントのコネクティビティがあったけど、実際には個々の接続ユーザーは非常に少なかった。

ジュリアン:
でも、あの展開について話してもらえるかな。すべてが接続されていたのに、少しずつ、時間が経つにつれて接続が切断されていった…

アラー:
[言葉を遮って]そう、だから…情報の流れを確保するために、継続的な戦いがあった。僕らは国の外で情報を動かすようなことには焦点を当てることはなかっ たけれど、革命は複数の都市で起きていて――革命蜂起はまだまだ続いていた――複数の都市で人民蜂起が起きていたから、ひとつの都市から他の都市へ流れる 情報の流通が必要だった。それで、あらゆることが起きた。陸上回線がまだ生きていたので対話形式に戻る人もいたし、国際電話の回線を使ってダイアルアップ を使っていた人もいれば、国際電話での通話もあった――政治的取引などがあったからかもしれないが、監視に使う必要があると考えたのか、とにかくISP一 社に接続があった。なぜISPを一社だけ接続しておいたのかわからないけれど、最小限の通信ユーザーを持つ一社ISPが接続を保持していた。それと衛星通 信があったんだ――誰かが衛星インターネットの接続を持ち込んだ、ほとんどが国外から持ち込まれた。実際、訪問中にバハレーンでの革命が起きたためにエジ プトに閉じ込められたバハレーンの友人たちがエジプトの革命に参加することになって、そのときに衛星用設備を持ちこんだんだ。

アラー:
人々は衛星通信の電話を使っていた、でもこういったことはそれほど重要じゃない。何が重要かというと…いったん人々が街頭に繰り出したら国内での情報の流 れはそれほど重要ではないんだよ…わかるかな、スエズで何かが起きていると聞いても、君がアレキサンドリアにいたとしたら出来ることはほとんどないよね… 自分の居る地元を押えるまでは。でもあらゆることがとても素早く起きた。28日には警察が敗北し、3日後にはインターネットが復旧した、なぜならその頃に はもう通信を閉鎖する意味がなくなっていたから――すでに奴らは街頭での戦いで負けていたんだ。ね、面白いよね、こういう話は…。それで、事実、僕はそれ に関わっていた、なぜなら僕はその頃は国外にいたんだ。だから僕は絶え間なく固定電話に電話したり、ファックス機を使って情報を国外に流し、それをオンラ インで公開したんだ。僕は人権擁護に関するほとんどのウェブサイトのユーザー名とパスワードを事前に持ってた、閉鎖が行われるというリークがあったから ね、

でもこんなことは革命にとってそれほど興味深い話ではない。本当はどうでもいいことだ。何かを始めるためには情報は欠かせないし、何が起きているのか、に ついてのイメージを確立すること――そして理解――がとても重要だけれど、リアルタイムの情報の流れは、僕らが考えるほど大切ではない。または、いつもそ れが必要だということではない。つまり、なくてもいいということ、なくてもやっていけるということだ…うん、もちろん犠牲は減らせるけどね。死んだ人たち の中には、電話さえかけることができれば死なずにすんだ人たちがいるかもしれない。だから、意味がないと言っているわけではないけれど、僕が言いたいのは 大きな構図から見るとそれほど重大なことではないということさ。

ジュリアン:
ほとんどの革命は…少なくとも歴史の本によれば、広場で始まった――人々が皆一緒に会合する大きな広場だね――そして、挫折したバハレーンの革命でさえも そのようにして始まった。実際、政権は会合の場としての広場を取り除こうと躍起になっていた。ロシア革命は…広場で始まった。タハリール広場はエジプト革 命で有名になった。それは…なぜだろう?どうしてこれらの広場が重要なんだろうか。それはきっとこういう広場にいる人々の間の情報の流れになんらかの関係 があるのじゃないだろうか、もしかしたら皆がお互いを見ること、皆、人数がいるということがわかるから、皆がそういう意志を持っているということがわかる から。

ナビール:
うん、インターネットの前は、ソーシャル・メディアはなかった。[革命が起きる]場所として、ほとんどの人が行き来するところだったり、国の中央にある場 所、首都の真ん中に位置するところが必要だった。でも今の時代では、広場は…もちろん僕らも広場を使うよ。僕らは真珠広場やタハリール広場などを使ってい る、でも革命はそういった広場がなくてもソーシャル・メディアを使って実行することができるはずだと思う…たとえば、バハレーンにはもう広場がなくなって しまったけれど、いまだにニュースが流れている、バハレーンの革命について何が起きているのか毎日耳にする、なぜならばインターネットで情報交換があるか らね。これはね…つまり、バハレーン政府はいくつかのウェブサイトをブロックしようとしている、例えば僕が仕事をしている組織「バハレーン人権センター」 のウェブサイトは過去6、7年前からブロックされているけれど、でも人々は今でも情報を得るためにちゃんと使っている。だから、広場は70年代とか90年 代の頃ほど重要ではないかもしれない。もちろん、外の世界に向って僕らの強さを見せたり、僕らの存在を示したり、僕らが皆で一日、二日ほど一堂に集るため には広場はあったほうがいいけれど、前のように広場がないから革命を続けることができないというほどの重要さはないと思う。昔ならばそういう広場の存在は 国際社会に向けて僕らがそこにいること、そしてたくさんの人が集まっていることを見せるということで、重要だった。

ジュリアン:
アラー、[物理的]空間なしにこの空間を持つことはできるんだろうか?君は特定の空間で語り口を管理することの重要性について書いているね。僕の感じとし ては、人々は人数がいること、大勢の人々が集まっているということ、勇気は伝染するということ、誰かが警察に抵抗するのをみて自分も警察に抵抗できるん だ、とか、他にたくさんの人たちが関わっていることが分れば自分が逮捕される可能性も減るとか、そういったことなのではないかと思うんだけど。そういった ことを物理的な構造物なしに実行する手段はあるのだろうか。または革命的瞬間に必要な勇気というのは、元来、物理的なものなのだろうか?

アラー:
うん、これは本質的に物理的だけど、それは広場の中である必要はない。つまり、例えば…でも、広場はすごいよ――だから広場については戻って話す――じゃ あ、チュニジアのことを思い出してみよう。チュニジアには広場はなかった。ガフサでの座り込みがあったけど、実際のところチュニジアの革命にはとても違っ た筋書きがあった。チュニジア革命は首都ではなく地方で始まり、少しずつ積み上げられていったんだ…丁度シリアの場合と似ているけれど、シリアではまった く首都へとは向っていないようだ。チュニスで…首都圏に革命勢力が到達した手段というのは、地方の人々が首都へと無理やり入り込んでいったんだ。シー ディ・ブジードからはるばるチュニスまで人々は黙々と行進していった、そして行く手のチュニスの上流中産階級の人たちに対して、こっち側につくのか、あっ ち側につくのかと…まぁ選択を迫ったんだね。でも、この物理的空間の要素は決して存在しなかったし、ガフサの座り込みでさえもそれはなかった…ガフサの座 り込みは…それほど重要ではなかったと僕は考えるし、タハリール広場のような象徴的な意味を持つにはまったく至らなかった。

でも広場に関しておもしろいなと思うのは、…僕が理解している歴史の中で、こういった広い大通りとか大きな広場とかは本来国民をコントロールするために設 計されたものだということだ。つまりね、都市をどうやって設計するかという考え方は、フランス革命の後またはパリ・コミューンやそういったことが起きた後 で出てきたもので、とにかく非常に迅速に軍隊を配備したり、非常に迅速に警察を配備してコントロールする必要があった…それで…国家がすべての市民に対す る完全なアクセスを持つことができるということだね。基本的に、こういった構造が存在するのはそういう理由によるものだ。だから…このような構造はファシ ストやナチスのような連中がグラスルーツではないけれど自分たちの集団を大きくするために、そして自分たちの集会を構築するために活用した。だから…こう いうことが革命だ。

アラー:
革命っていうのはね…わかるかな、政府がどんな風にインターネットを使うのかについて君は話していたけど――どうでもいいんだよ。政府はね…権力は持てる 限りのあらゆるツールを持っている。ある都市のレイアウトを変えたり、[聞き取り不可]政治的転換があったときに起きる変化こそが、新しいツールを人民の 手にもたらすことになる。政府がその同じツールを手に入れようがまったく関係ないんだよ、なぜならば政府は常にあらゆるツールを手に入れることができるん だからね。

それで本当に可笑しいんだけれど、僕の理解するところではね、広場というのは国民をコントロールするために設計されたものなのに、政権側は国民がそこにな だれこむのを許した。権力側は、国民がひとつの実体であり、ひとつの集合体であり、人民であることを自ら想像することを許したという点が…この現象の一番 肝心な側面だ。「語り方」をめぐる戦いということを話したけど、広場は人の目を惹きつける光景の戦いだ。皆が集ってこの驚異的光景の瞬間を創りだすこと が、僕らの心の中で革命となっていく…僕らは夢を抱くことから物事を始めるのではないんだ。僕らは完全なるエジプトという夢を抱いて自分の家を出て、それ から革命に参加するわけじゃない。ちがう。まず外に出ることから始まる。それは単なる好奇心からかもしれないし、または政権側がすでに催涙ガスを撃ってそ れが自分のアパートの室内に広がったので、息をするためにしかたなく外に出るのかもしれない。いろいろあるだろう。それで自分が広場にいることになって、 そしてお互いを見つけあうことになったりする。――それが僕らが話している情報の流れだし、そうやって実現していくんだ。それと、これはソーシャル・ネッ トワークじゃない、フェイスブックじゃない。

あのね、政府がインターネットを閉鎖したとき、インターネットの閉鎖が起きるということを僕らが知ったとき、広がっていった呼びかけは「自分の元々のネッ トワークに戻れ」ということだった。――モスク、教会、広場、そして大学。これこそが社会的ネットワークなんだ。だから、そこへ戻れ、と。そこで僕らは群 衆となることができ、そこから前に進め、と。

ジュリアン:
エジプトでのインターネットの閉鎖、携帯電話の閉鎖が人々を街頭に向わせた、なぜならば情報がなかったから、他の人々と物理的に一緒に行動する必要があったからだと、そう思うかい?

アラー:
ああ、まったくその通りさ。絶対そうだよ。でも、いつでも政権側がなにか極端な反応、過剰反応を示すときには、それがこちら側の強みを示してくれるんだよ ね。だから、例えば、2月11日にゼネストの呼びかけがあったんだけど――それは丁度ムバーラク失墜の記念日だった――その呼びかけは見事に失敗してし まった。でも政権側があまりにも強行な手段で反応したので――いやはや、軍隊はゼネストをものすごく恐れていたんだ。それでテレビなどでプロパガンダの キャンペーンを始めたものだから学生運動に火をつけてしまった。学生たちが大学内での…ストライキを組織していたんだ、だからゼネストは[聞き取り不明] 起こらなかったけれども…でも、無気力になって敗北感に溺れているよりもこの運動を続けようという決心を学生たちにさせることになったのは、こういう過剰 反応なんだよ。だから、インターネット閉鎖のおかげで人々が街頭に繰り出すことになった。なぜならば、何が起きているのか知りたいなら外に出るしかなかっ たし、何が起きているのか知りたくなるのは情報がないからだ…デモに参加しようと思わなかったとしても、すでにそれに参加している誰かがそこにいるから、 その人たちの安全を確かめたい。それに、こういう過剰な…極端な反応があることで相手側の弱点も見える…

ジュリアン:
ありがとう。

アラー:
…そういうことが起きたんだと僕は思う…それがアル=ルウルウ[真珠広場]で起きたことだ、彼らは…あれはひとつの証明だと考えた…バハレーンではあれは希望を示すものだと考えられていた、でも広場の象徴を破壊したというのは弱さの証明だったんだ。

ジュリアン:
どう思う?

ナビール:
もう一度質問してくれるかな。ちょっと聞きそびれた…

ジュリアン:
じゃ、僕がとても興味を持っている別の質問に移ろうと思う。君もご存知のように、2010年以来この組織[ウィキリークス]は――僕らの活動はもっと前か らやってきたことなのだけど――米国、特に米国の国務省と米国ペンタゴン(国防省)と重大な対立関係に直面しているので、だから僕は…これらの二つの組織 については、かなり詳しい知識を持つようになった…この対立関係から学んだだけではなく内部での通信を読むことでね。

そのひとつに、親米派であるバハレーン政権による申立てがあり、君のやっている人権擁護基金が2008年に米国民主主義基金(NED)から4万3000ド ルを受け取った、というものなんだけど、バハレーン政権が君たちに対してこういう非難を投げつけるのは注目すべきことだ。エジプトには多くのNGOやその 他の市民権擁護グループがあり、エジプト革命の前から米国政府から時には何億ドルにも及ぶ資金を受け取っていた。これについて…君はどう考える?こういっ た米国からの資金がなかったら、エジプトの革命は起こらなかったのだろうか?こういったNGOはどれだけ米国の資金によって汚染されているのだろうか?米 国の資金は現在エジプトで形成されている新しい政権を腐敗させているのだろうか。米国国務省の内部で、なんらかの形で支離滅裂なことが起きているのだろう か?…片方ではムバーラクとその子息たちに革命運動を鎮圧する手段――催涙ガス弾筒、暴動鎮圧装備、諜報設備――を与え、もう一方では…こういった運動を やや穏便な形で行っている団体いくつかに対し支援や奨励を与えている。どうなんだろう。

ナビール:
うん、まず、君が話題にしている僕らの組織に関する情報だけど、それは僕らの政府ではなくて、その組織[NED]の間違いだ。彼らから資金を受けたとして バハレーン人権センターの名前がウェブサイトに掲載されたけれど、僕らは資金を受け取っていないし、僕らは彼らに電話して名前を削除してもらった。

ジュリアン:
今朝チェックしたら君らの名前は今は載ってなかった。

ナビール:
僕らの名前は載っていないけど、以前そこにあったことがある。まず、区別するべきことがある…「アメリカの金」だとか「ヨーロッパの金」だとかいう言い方 はできないよ、民間社会と政府との区別をしなければならない。もちろん、僕らは政府からお金を受け取ることには反対だ、それがロシアであろうと、米国であ ろうと、ヨーロッパであろうとね。でも組織運営のために世界中の基金団体から資金を受け取る権利はある。

ジュリアン:
でもね、議会はものすごい巨額の金額をNEDに付与したばかりだし、NEDはその金を渡す…たくさんのやり方があるからね、どちらにせよ結局は米国政府から出た金がこういった名目上の組織を介して合法的に流通しているわけだろう。

ナビール:
特に注意が必要な組織はある。ただ、僕が言いたいのは、僕らの地域で知られていることは、米国であろうとヨーロッパであろうと…政府と組織とを区別する必 要があるということだ。エジプトや世界中の組織のほとんどが、政府からではなくて団体から資金を受け取っている。もちろん、政府の金は非常に危険だ、それ が実際に自分の組織に影響を及ぼす手段であるかどうかは別にしてもね。でも、自分の組織の名前や評判やイメージを良くしたいと思っている政府からお金をも らってしまうと、それが理由で地元の地域や人々に影響を及ぼせる効果は非常に低くなるから、政府からの資金には常に注意をしないといけないんだ…

ジュリアン:
わかる…それはわかる、評判のリスクだね、でも僕がもっと興味を持っていることが二つあって、一つ目は、実は…

アラー:
いかに名誉を傷つけることになるかだね。

ジュリアン:
この大量のお金が中東に投げ捨てられていることの実際の影響とは一体どんなものなんだろうか――良い意味でも悪い意味でも――それに…国務省内部で足並み の乱れがあるんだろうか、それはどこに由来しているのだろうか。それは、米国国務省が一方では米国の武器取引のために、世界中で戦闘爆撃機を販売したり、 コカコーラの特別取引を交渉したりする強硬な影響力を振るいながら、もう片方では人権擁護という寛容な影響力を示そうとしていることに由来するのだろう か。またはこれは単なるマーケティングにすぎないのだろうか。または…国務省内に実際に人権擁護を信じている一部署があるのだろうか。そしてその部署はど んな影響力を持っているのだろうか。アラー?

アラー:
[咳き込む]うん、それは難しいなぁ。えーと…

ナビール:
うん、言ってみなよ。だって彼は…

アラー:
つまり、寄付された資金で…ごめん。寄付資金で運営される組織には重要な役割を担っているところがあるけれど、米国政府が投下しているお金を受け取ってい る組織というのはほどんどなくて、[聞き取り不可]、だから基金から支援を受け、寄付金による運営にはあらゆる側面で問題があるんだ、そして、実際にま だ…人権擁護グループ、とかね、そういう語彙を使って…あ、ごめん、こちらで技術的な問題があるようだ…あまり、彼らに面倒をかけたくない…

ジュリアン:
よし、ナビールに応えてもらおうか。

ナビール:
では、基本に戻ろう、それはアメリカ人…

ナビール:
そう、アメリカ人のこと――彼は人権について話す、民主制を語る、常に政府ごとに違ったパッケージを用意している。今見てのとおり、バハレーンの革命に対 する反応は、シリアの革命に対する反応とは違う。アメリカ人にとって、民主制とは時に彼らの都合のよいときだけのこと…彼らにとって問題のある国家に対し て主張することなのであり、仲良くしている独裁者のいる国には当てはまらない。それが…先ほど話した米国政府のダブル・スタンダードであり偽善に話が戻る わけだけど、でも僕は米国が、米国がというふうには言いたくない。僕は、多くを学んだことを…認めるよ。

ジュリアン:
でも、偽善のことは…もう少し微妙な点について話を進めたいな、つまり、偽善はそれほど悪くはないかもしれないという点だ。例えばね、武器取引にしか興味 を示さない、傀儡…を支えることにしか興味を示さない、全体主義的側面しか持たない米国政府というのもありうるわけだよ。でも、米国国務省の内部、NED の内部、Freedom Houseの内部が示すもうひとつの側面、米国議会から人権擁護組織に資金を提供したり、民主制推進組織に資金を提供したりする側面がある――こういった 側面のどれほどが肯定的なのか、それとは反対に、こういう資金提供という側面によってこれらの組織が吸収されてしまい、米国が実践している強硬な権力行使 を隠す単なるマーケティングの効果をもたらしているのか。そうすることで、兵器や武器取引や諜報などを使ってムバーラクを支えることができるわけだ。その 一方で、エジプト国内でなんらかの説明をして人権擁護のプロジェクトを支援したりする。…ね、どんなふうに…どうやってこのバランスが展開するのだろう か。

アラー:
[スタッフに]大丈夫だ… いいかな?ごめんね。つまり、僕が言おうとしていたことは、人権擁護運動には二つの種類があるということだ。例えば、エジプトのような場所、――すべての アラブ諸国も同じだと思うけど――二種類の人権がある、いや、三つの人権擁護運動がある。実際には政府の機関なんだけど、非政府機関のふりをしていて…で も完全に政府のために仕事をしているというのがひとつだ。さらに、米国政府の金に完全に直接汚染されているのがもうひとつ、それから寄付金に依存している けれども寄付提供者を注意して選び、組織の独立をなんとか保っている組織がある。

それで…この三番目の組織ね、それは小さいけれど、その組織は本物だ、こういう組織だけが影響力を持って革命の場で役割を担う。もちろん、お金の影響を避 けるのはものすごく難しいけど、それでも…地元で資金を調達しようと苦労している。だから、こういった人権擁護グループ、例えば、僕らが逮捕されたときに 弁護士を提供してくれたのもこういうグループだし、彼らが僕らを支えてくれる…ミーティングの場所を提供してくれる、支援してくれる…勾留されたときに弁 護士を提供してくれるだけじゃない、勾留されたときに食べ物を供給してくれるんだ、牢獄内の事情は酷いからね、特に――家族の支援がある僕のような人間の ためじゃなくて――もっと貧しい階層出身で勾留された人々のためにね。彼らのような人権擁護団体は支援してくれるんだ…労働運動に対する法律的な援助を提 供してくれたし――それは単に労働法の弁護士が法廷にでかけるというだけのことではなくて、労働組合は貧しすぎてこういった手続きその他にお金を払うこと ができないんだ。

でもこのようなグループは急進派の人権擁護グループだ。賃金はとても低く、リスクはとても高く、ひも付きではない資金提供源は非常に小さいし、いろんなリ トマス試験が常にある、なんというか、例えばイスラエルのような問題に対する立ち位置とかね、…だから、本当に独立した組織なのかとか、資金源は影響を及 ぼしていないのかどうか、とかわかるのはこういうときだろう。詳しくは説明できないんだよ、なぜならこれらの組織のうちいくつかは今容疑をかけられている から。僕が偽者だろうと疑っていた団体で容疑をかけられているグループもあれば、僕が偽者ではないと考えている団体にも容疑をかけられているグループがあ る、だからね…

ジュリアン:
うん、なぜ…そう、どうして…今エジプトでは米国資金をNGOから受け取った多くの人々があちこちで逮捕されているんだろうか、なんだか…外からみている とちょっとおかしいなぁと感じるのは、米国政府は今や、少なくとも公には、革命の結果を支持すると言ったわけだし、軍隊は…権力のほとんどを握っている。 う~ん、いったい何を怖れているんだろうか。

アラー:
この件に関しては、二つの側面がある。まず一方では本当のターゲットは[聞き取り不可]の人権擁護グループだけど、まだそのグループには手を出していな い、だから資産を凍結したり、これらのグループは捜査を受けたりしているけれど、まだ裁判沙汰にはなっていないし、そうならないかもしれない――ただ、こ ういったことを言い訳に使うつもりだけかもしれない。そんなわけで、過去四ヶ月の間、僕らの人権擁護弁護士たちはずっと報酬を受けていないし、彼らはすで にものすごい薄給で仕事をしてきた… それで…何百人もの人々、…何千人もの人々が牢獄に入れられていて支援を必要としている、でも弁護士たちは報酬を受けていない、それで僕らは地元で資金を 集めている、…革命的な時期にあるからこそできることだ…――でも僕らは給料を払うために資金を使うことはできない、資金は交通費とか、囚人たちの食べ物 などのために使っている。なので、僕らはこの「本物の」――僕らが「本物の」人権擁護団体と呼んでいるグループ――このグループが実際に裁判にかけられる かどうかわからない、だからこれが主な戦いなんだよ。

でもその他にも争いごとがあって、それは軍事政権指導陣とアメリカ人、つまり米国政府との間の争いだ。僕たちはそれがどういうことなのか正確にはわからな い――もしかしたら、う~ん…そうだなぁ…で、こういったNGOがその争いごとの人質として利用されているんだと思う。そしてこの争いごとは敵同士の戦い ではなくて、二つの権力者勢力の間の戦い…普段は一緒なんだけれども、これからどういう方向へ進むべきかという点で意見が異なる…二つの勢力の間の諍いな んだ。もしかしたら、米国政府がムスリム同胞団と直接交渉しているからなのかもしれない、もしかすると米国政府は現在の状況に嫌気がさしてきているのかも しれない…SCAF、エジプト軍最高評議会が失敗であり、永久に権力を維持することができないということを悟ったためなのかもしれない。…米国政府は戦略 的にエジプトは軍隊と諜報機関によって支配されているという考えを支持し続けているけれど、でもね、実際には、ムバーラクが任命したこれら70歳過ぎの将 軍たちである必要はないわけだ。米国政府側としては、軍隊内での政権交代を求めているのかもしれない、僕らにはわからないけれどね。両方側とも僕らには何 も言ってくれないんだ。いつか、君が何かこれについてどういうことが起きているのか情報漏えいをしてくれるといいな、だって、本当に僕らは気が狂いそうだ よ、でも…

ナビール:
何かある?

ジュリアン:
[笑]さて、僕は…

アラー:
あのね、本当に小さな…わずかな意見の相違なんだよ。

ジュリアン:
時間が足りなくなってきたので、僕は次に進みたいんだけどね、アラー、君が書いた文章に触れたい…僕は将来の展望について、バハレーンとエジプトの未来に ついて考えたい。君たちは二人とも…もちろんこういった地元での問題や特定のグループ、特定の分派勢力、そして牢獄に入れられている友達などのさまざまな 問題にどっぷりと没頭専念している。

アラー、君は五カ月くらい前に書いたエッセイの最後のほうでこう書いている。「広場は伝説である」、タハリール広場のことをそう表現しているんだね。「こ の広場の伝説は、殉難者たちの家族がそれを信じることをやめたときに崩壊するだろう。この夢こそがあの政権を置き換える選択肢なのであり、もし優先順序ど おりに現実的で、理屈にかなった、堅牢な議論のためにこの夢を手放すことがあったとしたら、それは儚く消えてしまうだろう。もし伝説が崩壊し、夢が消えた ら、この集団共同体はきっと分裂するだろう。運命の女神は、分裂した集団共同体には応えてくれない。僕らが知る神は、この集団共同体とともにある。専門家 たちのことはほうっておいて、詩人たちに耳を傾けよう。なぜなら、僕らは革命を生きているのだから。思考から自由になれ、夢を手放すな。なぜなら、僕らは 革命を生きているのだから。警戒心には用心し、未知なるものを受け入れよう。なぜなら、僕らは革命を生きているのだから。殉難者たちを称えよう。なぜな ら、アイデア、シンボル、物語、すばらしい眺め、そして夢の真っ只中で、彼らの流血以外は何も実在するものはなく、彼らの永遠性以外には何も確かなことは ないからだ。」

エジプトの革命でこの部分――広場――は今や終わった。でも夢は終わったのだろうか。まだ夢はあるのだろうか。

アラー:
終わってない。

ジュリアン:
それは何?そしてその夢――その夢は――これは君たち二人に対する質問だよ――その夢というのは単に非宗教的で先進的西欧経済国になることなのか、またはエジプト特有の夢があるのか。アラー、どうぞ。

アラー:
その夢というものが一体何なのかという明確な説明は存在しない。少なくとも、例えば英国が国民の合意なくして戦争に突入したような形で国家が戦争したり、 米国のように希望を約束した大統領を選挙で選出することが、希望を約束しなかった大統領を選挙で選出するのとほとんど変わりがないような、そういった退屈 な西欧の間接民主制などではないことは確かだよ…ね、わかるだろ…だからその夢は…その夢はね、ジュリアン、君の仕事が必要なくなるような世界を創るこ と、「ウォールストリートを占拠せよ」とか「ロンドンを占拠せよ」とかギリシャでの暴動とか、――スペインで起きた運動の名前、忘れたけど、ああいうこと を起こさなくてもいいような民主制のことさ。だから…まだとても…とても力強く、まだまだ活気があるけれど、でも…まだそれがどういうことなのかという明 らかな説明はない。僕らには理論はない、僕らはそういったものを持っていないんだ――まだね。

だから、この夢はね、ふと詩的な感性が浮かんだときに垣間見ることができるものなんだよ、ちょうど僕がどういうわけかその文章を書いたときのようにさ。こ の夢は壁画の落書きに表れている、そして、この夢は殉難者たちにとても強いつながりがある。つまり、僕らは殉難者のことを単に亡くなった人たちとして扱っ ていないんだ、あの人たちは永劫の存在となった。だから、今カイロの街を歩くと、壁画に描かれた彼らの顔を見ることができるんだけど、時には顔の詳細が省 かれ、彼らのエッセンスが表現されている、時には彼らを讃えるものがあり、時にはミナ・ダニエルってこういう魅力のある笑顔をしていたよね、というような 細かい点に焦点を当てたものもある、そして時には、ね、これのように…これは…の子供だった…アナイスは14歳だったんだけど、この子は実際に遺言状を書 いたんだ、遺言状というか最後のメッセージだ、それは彼が自分は死ぬだろうと感じたからなんだね。うん、だからね、夢はこういった人々の犠牲の中にあるの ではなくて、僕らが彼らの犠牲をどういう風に見るのか、彼らの犠牲を僕らがどんなふうに表現するのか、彼らの思い出を僕らがどうやって活かし続けていくの か、というところで僕らはこの夢が何であるかということに触れることになるんだ――でもそれが正確に何なのかということは君に言葉で言うことはできない。

アラー:
…そしてね、闘いの最中に、もう少しでその夢に触ることができそうだな、という瞬間があるんだ、ああ、もう少しで…というような。僕らが…警察隊と闘って いるとき、いつも、あまり長続きのしない停戦の時間があるんだけど――普通は、警察隊が弾丸を詰めなおしている時間なんだと思う――警察隊が発砲を止める と自動的に僕らも止めるんだけど、そういった時間にね、人々は輪を作るんだよ。あちこちに火が燃えていて、ほら、みんな火炎瓶とか使っているからね、もう 炎があがっていて、だからこういった火の回りに皆が集って焚き火みたいな感じになって、その周りに皆が座っている。うん、それで[聞き取り不可]突然、ど こからともなく屋台の商人たちが現われて、あっという間にみんなお茶を飲んでたり、一緒に歌ったり、なんてことになっている。

僕らが実現しようとしているポストモダン状態というものがあって、それが一体何なのか僕らにははっきり分らない、でも、だからこそ僕らは革命を起こしてい るのであり、単なる秩序ある改革ではないということの理由なんだし、だからこそ、米国政府が何を求めていようが、アルジャジーラが何をしていようが、実際 にどうでもいいわけさ。それはね、この夢は何かもっとずっと深い意味を持っているからなんだ。僕らが今回勝利を得ることができるかどうか、僕はわからない し、僕が生きているうちに勝利を得ることができるかどうかもわからない、でもね、それで充分なんだよ、僕…僕はね、もう毎週のように、もう少しでそれに触 ることができそうだという瞬間がある、それだけでいい。

ジュリアン:
ナビールはどう?

ナビール:
僕はこう考える…2010年末に起きたブアジージー[訳注*]のことで、大きなうねりが起きた――津波だ――そして、僕はこれが地域全体を変えると思う、 多分、二、三年も経たないうちにこの地域全体がすっかり変わると思う。この地域諸国の賢い政府は自らすばやい改革を行うだろうし、変化に抗う政府は、きっ とこの津波に押し出されてしまう…政権の座から追い出されるだろうと思うんだ。これまで外交関係を構築してきた…米国やヨーロッパ諸国の政府、自分たちの 利害、長期的戦略利害関係をこれらの独裁者たちと結んできた各国の政府は多くを失うだろう。こういった独裁者たちとではなく、国民たちとの関係を維持する 賢明な政府は、きっと利益を得るだろう。変化…僕は変革、肯定的な変革が僕らの地域に起こるだろうと非常に楽観的に考えている。
[訳注*:12月17日にチュニジア独裁政権への抗議として焼身自殺をした。「アラブの春」の口火を切るきっかけとなった]

ジュリアン:
僕は残った質問が二つある。まず、一つ目は僕が個人的な興味を持っているもので、しばらく独房監禁されたことがあるからだ。君たち二人とも…僕ら全員、牢獄に入ったことがあるんだよね…

ナビール:
僕は違うよ。

ジュリアン:
君は違うって?

ナビール:
たった数時間だよ、一日にも満たない。

ジュリアン:
一日にも満たないのか。

ナビール:
撲られたり、誘拐されたり…

ジュリアン:
君は撲られたのか…[笑]

ナビール:
そう、でも監禁はまださ。多分、君のおかげで今回帰国したらそうなるかもね。

ジュリアン:
そうなるかもしれない、うん、そうならないかもしれない。こういった時期に、牢獄に入れられたり、拘束され誘拐され撲られたりするような状況にあった り、…最大限の隔離状態に置かれるような場合、自分の物理的空間を意のままにすることができない、自分の体を自由にできない。誰かが君の体を所有している というか、最も基本的な意味で自由というものがないわけだ。どんなことを考え、どうやって自分の感情をコントロールしようとするんだろうか、この時期を切 り抜けるためにね。

ナビール:
目標を持っているなら、自分の目標、自分の戦いが正しいということを信じるなら、必ず…きっとこういう困難を克服するだろう、と思うよ。君が闘っているの は変革のためだということはわかっているだろう、そこに何百年もあったものを変えるんだから、そんなに簡単にはいかないさ、だから、こういった変革を達成 するためには、そのための犠牲を払う覚悟がなければならないし、その…犠牲は自分の命かもしれない、そして、アラブ圏で運動を指導している人々は、自分た ちの命を犠牲にしてでもこういう変革を達成するつもりがある、そういう種類の人間たちだということを僕は確信している。

ジュリアン:
アラーはどう?

アラー:
ごめん、5秒待ってくれるかな。そう、カメラが…そこだ、よし。

アラー:
まったく、牢獄はほんとに最低だよな。僕の場合、信念によって自分の精神力を支えることができるとは言えない。どうしても、そんなことができるなんて言え ないよ…だってね、大変なんだよ、ものすごい不正が存在するんだ。僕が監獄の中で出会った人々、獄内の被拘束者のほとんどは、全然あそこにいるべきではな いし、この不正によって僕などよりもずっと深い傷害を受けている…なぜかというと、僕にはなんらかの理念があるわけだけど…でも耐えられないよ…僕にとっ ては、とても個人的なことが支えになってる、それは家族、それは愛情。

前回の勾留では――僕が二回目に牢獄に入れられたとき――僕のこの時の戦いは軍部検察官との対決で、僕は軍部の司法制度の正当性を認めることを拒否した。 それで僕は――あれこれあったけど、ようやくこの大きな勝利を得ることができて、相応の判事のところに送られた――そうしたらこの判事はそれでも僕を拘禁 し続けたんだ。この瞬間、僕は完全に打ちのめされてしまった、完全にくじけてしまったんだ、僕は心からそこを出たい、そして僕の最初の子どもである長男の 誕生に立ちあいたい、と思った、でもこの勾留のためにそれができなかった、だから僕はすっかり崩れてしまった、そして息子が生まれた、その3時間後に僕の 家族がなんとかして赤ちゃんの写真を送ってくれたんだ。そうしたらね、もうどうでもよくなった、――その瞬間に、何もかもがすっかりどうでもよくなったん だよ…だからね、それ以来というか、ずうっとそうなんだけど…愛情に包まれているという体験、すごく個人的なレベルでのそういう体験、それと同時に連帯し ているんだという体験が支えになっている。僕の場合、とても恵まれていて、幸運なことに、僕が投獄されると世界中のあちこちで本当にものすごい、とても大 規模な連帯行動が起きる、そしてそれは普通とても個人的な形で表現される。僕の顔が壁画の落書きに現われたり、僕の投獄について誰かが詩を書いてくれた り、そんなことが…

ジュリアン:
でも君は牢獄の中にいるし、わからないだろう…

アラー:
そういうことが僕を支えてくれるんだよ。え、何?

ジュリアン:
君が牢獄の中にいたとき、外の世界で君が支援されていたことを知っていたかい?

アラー:
うん、あの、家族の訪問のときに聞いた。だから、隔離ではないね――きっと耐えられなかっただろうと思う――僕が耐えられないのは、危険な犯罪者と一緒に ものすごく狭い牢獄に入れられるということじゃない――だけどもし訪問が許されなかったとしたら、どうやって生き延びることができたかわからないな…奴ら に言っちゃだめだよ!

ジュリアン:
アラー、君は牢獄にいる間に最初の子供が生まれたばかりなんだね、そしてナビール、君は二児の父親だね。

ナビール:
僕には二人いる、そうだよ。

ジュリアン:
君は二児の父親だ。君の子供たちに大きくなったら自分のような活動家になれと、誘拐され、牢獄に入れられ、撲られるような目に遭え、と言うかい?

ナビール:
何も言う必要はないんだ。自然にそうなるだろう…

ジュリアン:
お手本を見て学ぶということ?

ナビール:
そうだよ、僕の息子も娘も今は抗議デモの先頭にいる。僕はつい最近彼らを転校させたばかりだ、嫌がらせをうけていたのでね。この王族の子供たちが行く同じ 学校から転校させたんだけど、子供たちは大きな犠牲を払っているんだ、もしかしたら僕よりも大きな犠牲を払っているのかもしれない、なぜなら、僕は自分の 戦いを闘っていて、その反発に応える用意があるけれど、子供たちは自分たちにとっては理由がわからない反発を見て育ってきた。自分たちの家が真夜中に襲撃 されたり、父親が寝床から引きずり出され目の前で撲られたりした。自分たちの家に、過去一年にわたって多分20回以上も催涙ガスが撃ち込まれた。僕の子供 たちは普通の子供たちが一生見ないようなことを見てきた、でも彼らは多くのことを学んできたし、年齢以上にとても大人になった。子供たちが…

ジュリアン:
いくつなの?

ナビール:
僕の娘は、9歳で、僕の息子はちょうど14歳になったばかりだ。息子は5歳の頃から僕と一緒に毎回すべてのデモに参加してきたし、僕の娘は――彼女は人権 だの政治だのといったことには一切興味を持っていなかったんだけど――でも僕が娘の目の前で誘拐されたり撲られたりして以来、娘は今や急進派になり活動家 になったよ。それに僕の妻だってね、彼女はとてもおとなしい人なんだけど、活動家だ。もう親族全員が活動家になったよ。僕の親族は全員で1000人以上い るんだけどね、そういう話は…

ジュリアン:
一族全員が?

ナビール:
そうだよ、一家総出だ…そうさ、今は多くの家族が活動家になったと思う。もう国全体だよ――この革命は国全体を活動家にしたのさ。バハレーン政府がジャー ナリストが入国することを止めたとか、人権擁護団体が入国することを止めたとか想像してごらんよ、でもほとんどの人たち、若者たちがジャーナリストにな り、人権擁護の活動家になり、ブロガーになり、インターネットの活動家になり…

ジュリアン:
商売のチャンスだね。[笑]

ナビール:
神様に感謝だね、バハレーン政府はこんな若々しい運動を…僕らはこれらの運動から恩恵を受けるはずだし、アラブ諸国圏全体がそれぞれの革命の中で恩恵を受けるだろう。

ジュリアン:
アラー、君の息子は新しいエジプトへと育っていくわけだね。二人目の子供を作るつもりなの?

アラー:
うん、もちろんさ。いや、僕らは女の子がほしいので、女の子が生まれるまでは子供を作り続けなきゃならないなぁ。うん。でも…僕の息子のことで心配なの は…実はね、二、三週間前にポート・サイドのスタジアムで虐殺が起きたんだよ…これには陰謀があった…単なる暴動のように見えるけれど、これはあきらかに 警察によって計画的に行われたことで…それはウルトラ団、僕らがよく話題にするあのフットボールのウルトラ団だよ、警察を悩ませ、革命のときに…とても重 要な役割を果たしたウルトラ団をつぶすための計画だった。74人の人たちが死んだ――僕らはこの人たちのことを革命の殉難者だと考えている――ほとんどが とても若い男性だ。その一人は14歳で、いや、三人が14歳だったと思うけど、エジプトでの革命家たちのほとんどがそうであるように、僕は感情的にこう いった殉難者たち、そして彼らの思い出にとても強い愛着心があるんだ、それで僕はある詩を読んでいたんだよ、14歳の殉難者の中でも最も有名になったアナ イス君について書かれた匿名の詩なんだけど、僕は…考えが浮かんできて…僕は息子がフットボールが嫌いになるように育てなくちゃならない、息子が殺される のを避けるためにはそうしなきゃ、ってそういう考えが浮かんだんだ。そしたら[雑音が入る]ハーリド・サイード、警察による拷問の犠牲者だ――革命の前、 2年前にアレキサンドリアで亡くなった男性で、彼の顔はこの革命の象徴のひとつになっている――アレキサンドリアで亡くなったその彼のことを思い出したん だ。この人は何もしなかったのに殺された…彼を守れなかったのなら、僕が息子を守ることなんてまったくできない。

だから、息子が活動家にならないようにと言ったり、そういう風に育てたりすることに意味はないし、例えば政権派になれとか、そういったことでさえ無駄で、 何の役にも立たない。弾圧があり、無差別な暴力がまかりとおっている限り、どうしたってその影響を受ける。不正が無差別にまかりとおっていれば、誰だって 影響される。自分の子供によい人生を保証するためには、他のすべての子供たちのためにそれを保証しない限り、それは不可能だ、…僕の手には追えないってこ とだ、僕にはなす術は何もない。

ジュリアン:
よし、ありがとう、君たち、とてもよかった、でももうちょっと質問したい…[笑]まだ行かないで、行かないでよ――もう少しだけ質問したいんだ。ウルトラ 団について話してくれたね。僕はウルトラ団のことを知っているけど、西欧の人たちのほとんどがウルトラ団のことを知らない…それで…

アラー:
えーと、イタリアで始まったんだと思ったけど。[ナビールとアラー、アラビア語で話す]

ジュリアン:
フットボール・チームのことだよ。

ナビール:
そう。

ジュリアン:
だから、ウルトラ団とは誰なのか、エジプトでの彼らの役割について話してくれないか。[スカイプの接続が切れ、カメラの外での話し合い]

アラー:
接続がなくなったんだよ。うん。

ジュリアン:
いいよ。もうすぐ直る。いいね、さぁ、ちょっと心配したよ。

アラー:
見えない、あ、いい。ううん、大丈夫、政府とは無関係だよ。[クスクス笑い]

ジュリアン:
君はウルトラ団について何度か話したね、でこれはフットボールのチームのことや試合の場所のこと、そしてエジプトの革命の中で彼らが果たした組織的な役割について、非常に興味深いストーリーだ――彼らの由来や革命で彼らが果たした役割について説明してもらえないかな?

アラー:
OK、じゃあ、ウルトラ団のことね。ウルトラ団とは独立フットボール・ファンの団体で――フットボールとはサッカーのことだよ、アメリカで見てる人たちの ために言っておく――それで独立とはどういう意味かというと…クラブそのものの周辺で立ち上げられたようなファンの団体ではないということだ。実際、ウル トラ団は組織的スポーツに反対するイデオロギーと価値観を持っていて――クラブは支援するけれども、政府や資本がフットボールに関わることを非常に嫌って いる。

ジュリアン:
FIFA(国際サッカー連盟)のことは嫌いなの?

アラー:
何が嫌いだって?

ジュリアン:
FIFA

アラー:
彼らはFIFAのことを嫌っている、クラブ所有者、クラブの幹部を嫌っている、そして何よりも重要なのは、彼らは警察を嫌っていて、ウルトラ団の存在が強 い国で仕事したことがあるなら、ACAB – A、C、A、B という落書きを見たことがあると思う――それは「All Cops Are Bastards(おまわりは皆ごろつき野郎)」という意味で、これは皆が同意してることだ、ね[笑]…そういうわけで、これがウルトラ団だ。イタリアで 始まったんだと思う、そして南米や東ヨーロッパの一定の国々で特に活動が活発で、チュニジアとエジプトの革命では非常に重要な役割を果たした。アラブ圏で のこの運動はチュニジアで始まり、エジプトにものすごい勢いで流れてきた――結成されてから5年だと思うよ――彼らは最も初期の頃から警察との闘いに関 わってきた。

僕はここで単に象徴的な暴力のことを話しているわけじゃないよ、僕は、実際の警察隊との対決のことを話しているんだ。エジプトのメディアではウルトラ団の ことを悪者扱いにしていて、暴徒だとか、アナーキストだとか、ものすごく暴力的な青少年だとか、そんなふうに報道している。ほとんどの人たちが、彼らは貧 困層の出身で、凶悪犯や、殺し屋みたいな連中だというふうに考えていたけど、ウルトラ団が一体どういう人たちなのか、革命が起こるまでは一般の人たちは気 がつかなかった。それで、エジプトの二大フットボール・クラブのウルトラ団は、フェイスブックのイベントをきっかけにして初日から革命に全力を注いだん だ。チュニジアのウルトラ団から「俺たちは男だ、ベン・アリを打倒した。お前らは弱虫でムバーラクのことを何もしてねーじゃないか」などとあざ笑われた、 という話をするメンバーもいる。そんなわけで、これは全員男の団体なんだよね…

アラー:
…男性ホルモンむんむんだし、とても若い子たちの集団だ、でも彼らがいかに地理的にも広範囲に分布しているか、どれほど宗教や階級の境界線を越えた存在な のか、それは驚くべきことだよ。だから、…ウルトラ団の英雄たちの誰かが犠牲となって倒れると…最も確実な姿が浮かび上がる。貧しい子もいれば、医学校に 通っていた裕福な家族の出身の子もいるし、キリスト教の殉難者のほとんどが、――ごめん、最近の殉難者のことで、一年を通してではないけれども、彼らはウ ルトラ団に所属している。この革命では、ウルトラ団は二つの重要な役割を果たしてきた。彼らは常に…最前線にいた、彼らはいつも命をかけて…警察との対決 で主要な役割を担ってきたんだ、そしてさらに、僕らが警察と対峙するときに態勢を整えるのを手伝ってくれた。彼らは経験があるからね。だからウルトラ団の 連中はね、実践的な面でも助けてくれるけど、勇気を出すためにも助けてくれるんだ…

アラー:
…僕らが…政府の殺し屋たちと対決するために必要な勇気をね。それだけじゃなくて、彼らは…ウルトラ団はとてもよくまとまっていて、それに人数が膨大なん だよ、どんなデモでも数万人はいるからね…多分、わからないなぁ、実際の人数は誰も知らないんだ。連中は…ほとんど秘密結社みたいな感じで、階層的な組織 なんだけど、でも例えばシュプレヒコールなんかも考え出してくるし、そのシュプレヒコールは複雑なリズムの音楽的スローガンだったりするんだ。ドラム隊も 出てくるし、いろんな見世物、例えば花火を打ち上げたりとか、そういうものを考え出してきて、デモや座り込みのときに元気を与えてくれるのさ。うん、ウル トラ団はとても受け入れられていて、これはエジプトのことで、チュニジアではそこまで広く受け入れられなかったんだけど、でもウルトラ団はエジプトの社会 で広く受け入れられた、あらゆる活動家たちからも、革命家たちからも、メディアでさえもね…

アラー:
…ウルトラ団のことは肯定的な報道で、英雄扱いだったんだよ。彼らはさらにもっと政治的に意識の高い運動へと成長していったので、だから彼らはかなり素晴 らしいよ、例えば…ウルトラ団が出した声明なんかもとても感動的だ。連中は正しい時期に正しい判断を下す。僕がさっき話した例の虐殺事件は、実は市民の… 民間人の暴動を煽るための策略だった。ポート・サイードの小さなクラブのウルトラ団に潜入した警察が虐殺を計画的に実行したんだ。ウルトラ団が革命に焦点 を当てるのではなく、内部抗争へと発展していくように。でもウルトラ団は…

ジュリアン:
ウルトラ団は今エジプト社会でどういう役割を果たしているの?

アラー:
うん、革命の強力な勢力のひとつとして活躍しているよ。ウルトラ団は組織的なデモで先頭を率いているし、デモに参加しているし、路上での闘いに参加してい る。彼らはここ3週間ほどそういった対立はなかったようだけどね、よし!でも、徹夜の座り込みのときの衝突がひとつあったと思う…いや、二週間しか経って いないのか…そうだ、3週間前に僕らは徹夜の座り込みで衝突があって、ウルトラ団はこの徹夜の座り込みに加わっていた…

ジュリアン:
彼らは外部との通信はあるのかな、プレス・リリースを出したり、記者会見を開いたりするの?ウルトラ団には政治的方針はあるの?ビジネスを始めたりするの?

アラー:
ううん、彼らはそういう[聞き取り不可]は望んでいない。彼らは…やらない。ウルトラ団の価値観として、メディアに出たりすることは許されないけど、フェ イスブックのページに声明を出すし…それに、なんと革命を国営テレビで放送させたりできちゃうんだからね、なぜかというと、それは…スタジアムから発信す るんだよ、連中はこういうことをやってのけるわけさ…ほんとにね…もともと、彼らがやることは大規模な、とても巧妙に編成された演出――なんと呼ぶのか知 らないけど――チームの応援かな、全員がしっかり訓練を受けた合唱スローガンを飛ばすわけさ…彼らはスタジアム全体をびっしりと埋めていて、シュプレヒ コールをやるのに、ものすごくよく訓練されているからね…どうやったってはっきりと聞こえてくるよね…普段のスポーツ行事で聞こえるような[ホワイトノイ ズの音を真似る]というような音の代わりにね。

ジュリアン:
革命の最中で一番人気が高かったシュプレヒコールはどんなものなの?英語とアラビア語で言ってみてくれる?

アラー:
いいよ、じゃ、一番人気が高かったやつだ…あ、そうそう、ひとつ言っておくとね、かなり下品なんだ。てことは、すごくかっこいいわけさ。で、一番有名 なのは警察のことでこういう具合だ。[アラビア語でスローガンを唱える]本当はもっと長いんだけどね。これは、警察隊に向って言っているわけだけど、彼ら はまずサッカー・クラブの応援から始め、スタジアムに入って、そこから警察に向ってスローガンを唱え始める。で、警察隊にこう言っている。「俺たちはタハ リール広場を忘れちゃいない、革命…よう…お前ら、ごろつき野郎ども」「俺たち、タハリール広場を忘れちゃいない、お前ら、ごろつき野郎ども。革命じゃお 前ら大負け喰らったろ」とかね、挑発的だよ、例えば、「俺たち、も一度、負かしてやろうか、そしたらお前らどうするよ?ここのおまわりは[アラビア語]」 ――これはかなりきつい言葉だ…たとえば「うじ虫野郎」みたいな言葉。とても辛らつな言葉だよ。「中国から新しいおまわり、連れてくるぞ」[笑]

ジュリアン:
彼らにはリーダーシップの仕組みはあるのかな?

アラー:
かなり指揮系統がきっちりしている。

ジュリアン:
なに?かなり…?

アラー:
かなり指揮系統がきっちりしている。

ジュリアン:
そう。

アラー:
そう、カポウルス[団長]…カポウルスと呼ばれている人たちが指揮を執る。彼らがスタジアムでのリーダーなんだ、タイミングを合図したり、体の動きやス カーフを使ったりして、[群衆が]何かの絵を浮かび上がらせる合図をする、そして皆の政治的指導陣でもある。でもスタジアムの外では違う…スタジアムでは 一糸乱れることない、非常に厳格な指揮系統を持つグループとして動くけど、一歩スタジアムを出ると彼らの行動はずっと有機的で、それぞれの派閥グループが リーダー格の人たちが賛成しないような意思決定を行うんだ。だから…ウルトラ団は革命ととても相性がいい。

ジュリアン:
つまり、彼らには前から存在する、なにか軍隊式の肉体的規律があったんだね、それで肉体的な闘争で役に立っていたわけなんだね?

アラー:
ウルトラ団は闘争の場面で頼りになるだけじゃなくて、統制がとれていないとできないような、とても整然としたパフォーマンスが求められるような場面で大活 躍するんだ。ウルトラ団のやることはスタジアムで行われるので、フットボールを中継している国営テレビがそれを放送せざるをえないんだよ。だから、突然、 絞首刑用のロープをつけたタンタウィ[軍最高評議会議長]の顔の絵が浮かび上がって、国営テレビで放送されたりした[笑]。タンタウィは議長…

ジュリアン:
僕はずっとフットボールなんて大衆用阿片みたいなものだと考えてきたんだけど、けっこう役に立つこともあるんだね。バハレーンには似たようなことはあるのかな?何か若者たちのクラブのようなものはあるの?

ナビール:
そうだな、先ず、僕らと違う点はね…

ナビール:
[音声乱れる]バハレーンではフットボールはやらないんだ。

ナビール:
いや、フットボールはやるけど、僕が言いたいのは…

アラー:
[ナビールの声に重ねて話す]それはね…ずっと[音声乱れる]

ナビール:
…群衆が街頭に出て行くきっかけになったのは…。僕らの国では反乱の歴史があるんだ、バハレーンには政府に対する反乱の歴史があるから…特別なグループを 必要としていない。だから2月14日に僕らが始めたとき、皆が街頭に繰り出していた――お医者さん、看護婦、教師、組合員、人権擁護活動家、政治家、みん なが総出で街頭に繰り出していた。僕は子供の頃から反政府のデモに出てた。エジプトの場合は違うのかもしれない、反乱や革命などかなり長い間起きていな かったから、何か違ったことをする必要があったのかもしれないけど、バハレーンでは、そういうものが必要ではなかったのかもしれない…

ジュリアン:
93年に大きな反乱があったよね。

ナビール:
93年から2000年にかけて反乱があったし、80年代にも、70年代にも、60年代にも、50年代にも、――1920年代以降、僕らにはずっと反乱の歴 史が続いてきた。だから、皆そろって、男も女も、街頭に繰り出していたんだよ、それと君たちが知らないかもしれないので言っておくけど、参加している女性 の人数は男性よりずっと多いんだ。アラブ圏の革命の中で唯一の例かもしれない…あらゆる保守的な社会の中で、バハレーンで――特に目を見張るようなこと、 驚くべきこととして、街頭に出ていた女性の数がものすごく多いし、それも男の数よりも数倍も多いんだよ、だから今は女性たちが革命を導いている。そういう わけで、僕らにはすでに組み込まれた革命的原動力があるんだね、だからバハレーンにはウルトラ団みたいなグループがなかったのかもしれない――僕らの国に はこの原動力があって、それが弾圧によって刺激を受け、政府の政策、そして過去数年にわたる人権侵害と犯罪によって火に油を注ぐように煽られた。だから、 人々はいつでも街頭に繰り出していく用意が整っていた。だから、きっとエジプトのような若者たちのグループは必要なかったのかもしれないし、そういうグ ループがいなかった理由かもしれない。

ジュリアン:
シリアについては、何をすべきなのか、――アラー、君に聞いてみようかな――シリアの状況はどうすればいいのか、そしてシリアに対するナスラッラーの姿勢[*]について、君はどんな風に考えているの?
[*訳注:ナスラッラーは、アサド政権がイスラエルと闘っていることを理由にアサド政権を支持している]

アラー:
そうだなぁ、僕は何をなすべきかなんてわからないなぁ…僕にとって、革命というのはとてもローカルな出来事だと思うんだ…すべて地元での力学的動向に大き く依存している…それがたとえ国際的利害に向き合っている場合でさえも、実際には地元での力学が大きい。う~ん、だから僕としては、シリアの問題を誰かが 助けることができるかどうか分らない、連帯感を示すくらいしか出来ないかもしれない…もしかしたら、チュニジアやエジプトが受けたようなものすごく大規模 な連帯が示せたら、バハレーンとシリアの両方を支援することになるかもしれない。特にシリアにとってはかなりの力になるかもしれない、革命が本格的に首都 へ進出していくために、そして革命を支援すべきかどうかという国内での分裂を止めるために、彼らが必要としている正当性を強化することになるかもしれな い。でも、僕は諸国の政府が援助できることは何もないと考えているし、そういった政府が手を貸すようなことはして欲しくない、というか、政権を助けるのを 止める以外はね。ナスラッラーのことだけど、彼の状況は、もちろん酷い状況だ。彼のおかれている立場から世界がどう見えるのか、理解できないわけではない けれど…でも結局のところ、不正は不正だ。アサドが抵抗、イスラエルへの抵抗に決まっているけど、イスラエルへの抵抗を支援する理由は…本格的な支持が存 在する理由は、シリアの人々がこの抵抗運動を支持しているからだ…

アラー:
…あらゆるアラブ人が…アラブ人のほとんどがパレスチナの主張を支持しており、暴力的状況の継続には関心を持っていない、そしてアラブとイスラエルの問題 に対する本当の公正な解決策を望んでいる。これが南アフリカのモデルによる解決策かどうかは、別問題だけどね。だから…ナスラッラーの姿勢は愚かだと思う よ、状況をさらに悪化させているじゃないか。

ジュリアン:
ナビール、君はどう思う?外国の介入?

ナビール:
[ジュリアンの話を遮って]僕も同意せざるをえない、人々の自決権を尊重しなければならないと思う、それがシリアの人であろうと、バハレーンの人であろう と、イエメンの人であろうとね、それぞれの国民が自分たちの望む政府の形態を選ぶ必要があるし、彼らが選挙で選んだ政府を得るための闘い、民主制を実現す るための闘いを僕らは尊重しなければならないと思う。同時に、僕らは国際的なコミュニティに対し、各地の革命に対してダブル・スタンダードを使わないよう に要求しなければならない。シリアに対するあらゆる反動のことを意識するべきだ、こういった対応は人権に基づくものではなくて、シリアとの関係でそれぞれ の政治的な立場に基づくものであることを考慮するべきだ。それは米国であろうが、サウジ・アラビアやその他のアラブ諸国であろうが違いはない。たとえば、 サウジ・アラビアやカタールやその他の非民主制国家がシリアの民主制のために戦っている。これは政治的な立場であって、人権擁護とは一切関係がない。シリ アの人々による自分たちの権利を求める闘い、民主制を求める闘いは彼らに任せるべきで、どんな政府であれ彼らの国内の政治に介入するべきではないと思う。 僕は、国際社会全体に向けてそう要求している…

ナビール:
…シリアの国内の政治に介入するな、とね――ただ、人権の基準維持に関する国際的な義務を尊重するように、シリア政府に圧力をかけてほしい、でも、リビア の場合のような介入はするべきではない――僕はリビアの件では完全に反対したわけだけど――あれと同じことが今シリアで行われている。これはシリアの人々 にまかせるべきだと思う。国連はちゃんと機能しなければならないと思うけど、近隣諸国では、人権以外のこと、シリア国民の権利以外の問題、もっと政治的な ことが起きている。同時に、シリアの人々は独裁者によって弾圧され、民主制のために戦う権利があるはずだし、それは彼らの意思決定として尊重されるべきこ とだと思う。

ジュリアン:
外国による仲裁についてはどう考えているの?その話をしてくれるかな?

ナビール:
僕は、外国の仲裁活動には反対だ。それが軍事的なものなら。

ジュリアン:
じゃあ、もし承認されたとして、非軍事的な手段ならどうかな…資産の凍結、中央銀行の凍結などはどう?

ナビール:
そういうことは、だめだよ。そういう方向には行けない…人権擁護活動家にそんな詳細を聞いても、そんなことは僕の範疇じゃないから。

ジュリアン:
そうか。

ナビール:
僕が言わんとするところはね、…革命であれ、ということさ、この革命を武装抗争にするな、ということ。今のまま行くと、これは武装抗争や内戦になりかねな いところへ向っていると思う、とても危険だ。シリアのことはシリアの国民にまかせるべきだし、シリア政府は国民の正当な要求を尊重するべきだ。国際社会 は、というか、僕が今観察しているようなこと、つまり、他の政府がこの国を内戦に向わせるように圧力をかけるべきではないと思う。僕らはシリアの政治的な 解決策を求めるべきだ。

ジュリアン:
じゃあ…その国境の外側にある国々はどうだろうか。国家という政治的概念について触れておきたいんだ。

ナビール:
皆…

ジュリアン:
…君はシリアは自国の自決権を持つべきだという話をしたけれど、シリアは地図上に引かれた線でしかないわけだから、ではレバノンの人々はどうなるんろうか。彼らもまたシリアでのプロセスに関わりがあるんじゃないのかな。

ナビール:
あのね、レバノンの状況をシリアと比べることはできないよ、それはね…

ジュリアン:
うん、でもね…

ナビール:
少なくとも、議会がある、選挙で選ばれた首相がいる。もちろん、かれらの宗派の問題はある、それが全体を凍結させているということもある、それでもレバノ ンにはシステムがある、でもシリアにはそういうシステムさえない。ほとんどが王室のようなものだ、父親から息子へと継承された…

ジュリアン:
そうだね。

ナビール:
ちゃんとした議会にはなってない…というか、議会には力がないので、事情は異なるんだ。そう、でも、国家全体に、アラブ諸国に自決権がある。サウジ・アラ ビアでも、カタールでも、バハレーンでも、チュニジアでも、レバノンでも、イラクでも、――すべての国でそれが尊重されるべきだ…そういう基準について僕 はこの状況に取り組んでいる。

ジュリアン:
だから…だからね…じゃ、近隣国家はどうするべきなんだろうか?バハレーンの近隣国がバハレーンの抵抗運動についてただ黙ってほうっておくことは正しいことかい?

ナビール:
いいや、僕が言いたいのは、バハレーンに対してやったようなこと[国際社会による無視]はしないで欲しいが、シリアに対してやっているような過剰な介入は するな、ということだ。まずね…すべての革命に対して同一の対応をしてほしいということ、人々を尊重するということ、国際基準に従うこと、人権に対する国 際条約を守ること、そして国連によって設けられた基準に従うこと。それを超えるようなことはしないで欲しい、そういったすべてのことをきちんと尊重して欲 しい――国際法を尊重してほしい、軍隊を送り込むのは止めて欲しい、こういったことすべてを把握せずに武器を送るな――でも、それと同時に、常に人々の側 に立つべきだ、人々は…

ジュリアン:
でも…君はシリアに関するナスラッラーの立場に賛成するの?

ナビール:
繰り返すけどね、政党の政治的立場について詳しいことは僕に訊かないでよ。

ジュリアン:
うん。

ナビール:
あのね、僕は…僕はもちろんあれには反対だよ、だけど彼の意見はひとつの政党の意見だ。ナスラッラーはイスラエルと対立している彼の視点から推し量って、 その立場を有利にするための意見を述べている…でも僕は国際的な人権擁護の条約の立場から、国際的な基準や標準の視点から物事を考えている、それには違い があるんだ、違うんだよ。シリアの人々は国際的コミュニティからの助けを必要としていると思う。

ジュリアン:
でも、それはどういうことなの?どういう種類の助けが必要なの?バハレーンとシリア、両方に対してどういう支援が行われるべきなんだろうか。お金?武器?情報?通商禁止措置?銀行資産の差し押さえ?

ナビール:
国際社会全体がばらばらだと思う…ひとつの方針が必要だ。僕らが直面している問題――ロシアはシリアについて沈黙を守り、米国はバハレーンについて沈黙をまもっている。

ジュリアン:
サウジとバハレーン。

ナビール:
そう、サウジとバハレーン、――米ロとも間違っている。ひとつの立場を取るべきだと思う。[国際社会は]すべての民主化運動を支持するべきだ。公正と自由 と人権擁護のために戦っているすべての運動を支持するべきだし、それが標準でなければならない。詳細にはこだわる必要はない、これをどうやってやるのか、 あれはどうやったらいいのか、それは政治家にまかせればいい、それぞれの国の意志決定の仕組みにまかせておけばいい。僕が言いたいのは、ただ人権を守れと いうこと、国際基準を守れということ、これらの国々が自分たちの目標を達成するために、平和な手段でそれを達成できるように、支援するべきだ。流血は何も 解決しない。危機、戦争、抗争、武器などは何も解決しない…それどころか人々の間に憎しみを生み出す――シリアのことで心配なのはこの点だ。明日急に何か が解決されるわけではない…なぜならばすでに両方の勢力から、…軍隊の側も、人民蜂起の側も、何千人もの人々が殺されたからだ、だから僕らは…

ナビール:
…バハレーンでは平和に活動することを主張してきた。とても、とても多くの人々を失った、たくさんの人たちが殺された。だけど僕らは今でも人々が暴力的手 段に走らない状態を維持しているんだ。なぜかというと、僕らは暴力は殺人を意味し、憎悪を意味するということ、それが将来何十年にも渡って残っていくこと を知っているからだ。僕らはそういったことが起こることを望まない。あのようなことはリビアで起きてほしくなかった、シリアで起きてほしくなかった。だけ ど多くの国々による介入があったから、政治的な理由で、利権のために、武器のことや原油のことが原因で、あのようなことが起きてしまった。これらの国で、 それは容易に癒されることはないだろうし、こういった危険について、僕は心配しているんだ。僕は…僕の個人的な見解として、僕は今すぐシリアでの政治的な 妥協策を望んでいる。毎日のように…政府によって、または反対勢力によっても、人口の10分の1の人々が殺されるのを見るよりはずっとましな対策だ。こう いったことによって断絶がさらに広がり…、人々が死んでいくから、ますます紛争や破局的状況が深まっていくだろう。こういった人々は一族に属し、部族の一 員であり、都市の住民だ――そうやって憎悪に次ぐ憎悪がさらに生まれていく、これはとても危険なことだ。僕はシリアの状況について心配しているし、リビア の状況についても同じくらい心配している、まだ終わっていないんだ。まだ途中で、僕らはそれがどこへ向っていくのかわからない。

ジュリアン:
アラー、僕は疑問に思っていることがある…なんていったらいいんだろうか、汎アラブ政治活動、または汎アラブ活動家とでも言おうか。一方ではカタールがリ ビアやシリアでの政権交代を強く支持している――国の立場としてね――、もう一方では、アラブ圏の活動家たちが情報を共有し合い、国から国へと渡り歩いて いる、――僕らの仲間の何人かはね、衛星放送用アンテナをこっそりバハレーンに持ち込もうとしたことがあったんだけど、橋が閉まっていたんだ。それでエジ プトにアンテナを持ち帰ろうとして、たどり着いたらもうその時には…すでにアンテナは必要ないことが分った。そんな感じで、アラブ諸国の間には実際に正真 正銘の交易が存在し、言語圏での関係が存在する一方で、もう片方では、ひとつの国家と他の国家との間に介入するべきではないという人たちもいるわけだ。そ してさらに、西欧諸国がからんできて、米国、またはオーストラリアのような国々が介入を考えている、――リビアの場合には実際に介入したし、シリアでも可 能性があるわけだ。こういった勢力間の関係の中で適切なバランスというのは何なんだろうか?国民間そして国家の間の関係について、融合政策主義者の勢力 か、孤立主義者の勢力かというバランスだ。

アラー:
あのね、だからだよ…だからこそ僕が夢のことを話したんだ。なぜならば、本当の解決策というものはないからだ、国家の利害と人民の利害を統合しようとする 試みには解決策はない。だから、この状況から抜け出す唯一の道は、夢を掲げること、そしてその夢がチュニスのブアジージーを発端にして広がりつつあるとい う事実から、汎アラブ主義には根本的真実があることを見て取ることができる。それには夢の要素があると同時に、根本的真実がある。でも僕らが必要としてい るのは、根底から湧き出す汎アラブ主義だ。それは指導者とか政治とかに依存しない汎アラブ主義のことだ。例えばナスラッラーが何か役割を果たすような、そ ういったものではないし、選挙で選ばれた大統領が役割を担うようなものでさえもない。人々が自分の手で構築する何か、そういったことだ。そして、僕がこれ までに言ったように…それを明瞭な形で言い表すことができるようになるまでには…何らかの具体的な実体を作り出す必要がある…僕らはこの運動がどういう風 に実現されていくのか、正確に言い表すことができるようになる段階からは、ほど遠い状態なんだ…

アラー:
…そして――ここで僕はある陰謀論に賛成するんだけどね…西欧諸国が介入するやり方、ロシアやイランなど他の勢力が、そしてサウジが介入するやり方という のは――、僕らのこういったアイデアが決して明瞭にならないようにすることそのものなんだ。なぜならば、この夢は、明らかに理解された瞬間に、持つべき力 を発揮するからだ…僕にはこれが実現するかどうかわからない、でも十分にたくさんの人たちがそのために身を捧げている。だから、リビアでの軍事介入はね… 危機はあったよ、ガダーフィが人々に対してものすごい規模の暴力を振るっていたさ。僕は外側からこれがいいアイデアか悪いアイデアかを論じることができる などというふりはできない。

だけどね、リビアでの革命が始まったとき、僕らの革命のときにお互いに助け合っていたチュニジアの友達と会話をしていてね、僕らは高速鉄道のことを話して たんだ――カイロからチュニスをつなぐ鉄道、リビア経由のね――、つまり、こういった人々がお互いを受け入れ、もっと融合するということはどういう意味を もたらすのか、というような想像を働かせていたと言える。うん、リビアで革命が起きたとき、僕らはまだ自分たちの勝利に酔っていたんだね、だってムバーラ クが失墜してからたったの7日しか経っていなかったし、僕らはまだ…

アラー:
…革命の勝利に酔っていたから、僕らは、エジプトのことはかたがついたと考えていた。それで…タハリール広場に作られた野営病院があって、その多くで、医 薬品全部と大勢のボランティアが丸ごとリビアに移ってあそこの人たちを支援することになった。そんなふうに僕らはアラブ圏の革命を望んでいたんだ。これは ね、すごく現実的なことだ、だから僕らの心はシリアにも向いているし、僕らが望むのは…僕はシリアでの政治的な妥協は望んでいない――イエメンで政治的妥 協が革命の息の根を止めているのを見ているからね。僕の見方が間違いであってほしいよ、僕が観察しているのより、もっと力を持っていることを望んでいる ――というわけで、僕は政治的な解決策は望まないけれど…でも同時に、外からなんだかんだ言えないよね…どういう状況なのか把握していないし、あそこで殺 されているのは自分じゃないわけだし。あそこで殺されているのは僕の家族じゃないから。ここに座って、軍事介入で内戦を回避すべきかどうかとか、旧政権を 一掃する唯一の手段なのだから回避すべきでないとか、論じるようなことはできない。僕にはそんなことを言う資格はない。だから僕が汎アラブ主義を望んでい るからといって…

アラー:
…他の人たちの意思決定に口出しするつもりはない。そして、それは僕が「国家」という観念を後押ししているからではないんだ――僕はスエズの人々の意思決 定に口出しするつもりもないし、ウルトラ団の意思決定にさえ口を出さない、彼らが自分たちで決めている。シリアで問題があると思うのは、革命を代表する反 政権勢力が…エリート階級の勢力だからだ。僕はエジプトのエリート階級を見てきた…彼らは自分たちが革命を代表すると考えているけど、実はそうじゃない。 エリートたちは常に一貫して革命を実際に代弁することに失敗してきた。誰かここで…誰かが名乗り出る必要がある。別にエリートだからそれだけで悪いといっ ているわけじゃないよ。いつかはエリートの人間が立ち上がらなければならない――またはエリートじゃない人間かもしれない、誰かがね――誰かが立ち上がっ て…

ジュリアン:
なんらかの権威だね。

アラー:
…人民の意志を言葉にして伝える必要がある。それは権威という形にならなくてもいいけれど、人民の声となる必要がある。人々の意志を言葉にして説明し群衆 の運動がどういう意味を持つのかを雄弁に伝えることができるような人たちが必要だ。…群衆が活性化され動員されると、普通…結集した人々というのは、普段 自分たちが語っているよりずっと先進的になっているから、誰かが立ち上がって…なんというのかなぁ…翻訳のプロセスだね、…ちょっとここで自画自賛して 言ってみようかな…僕がほら、書いた三つの記事がそれに近いかもしれない――特に君が読み上げたエッセイ――あれはエジプトで非常に広く読まれたし、広く 共有された。きっとこういうプロセスをなんらかの形で達成することができたからかもしれないと考えているんだ――もちろんすべてを網羅しているわけじゃな い、その小さな部分だよ――何かを読んだ瞬間、「自分の信じているのはこうことなんだ…」

「…これこそが、自分が感じていることなんだ」という反応がある。それは、誰かに何かを説得できる、というようなことではない…そうじゃなくて、人が感じ ていることや人が信じていること、人が考えていることをどうにか言葉にして、文章に表現することができた、ということだ。僕らはそういうことをする必要が ある…僕はそれをやっている…僕は「物語の話法」のレベルでこういう作業に参加してきたけれど、それは論説活動ではないし、解決策を提供することでもな い、それがどんな風に見えるものかと想像してみせるというようなことでもない。僕らが革命で近づこうとしているもの、その形が一体どんなものなのか…僕ら にはまだそれが見えていないんだよ。

ジュリアン:
ナビール、汎アラブの声というのはあるんだろうか。

ナビール:
どういうことを言っているのかな?

ジュリアン:
うん、2010年12月まで遡ってみると、違った見方があったんだ。ウィキリークスは、アラブ圏で起こるだろうと期待していたものについて、ある見方をし ていた。アラブ圏の国々の間には相互依存があるため、例えばサウジがいろんな人々に肩入れをしてこととか、外部からの依存というものもあり、例えばフラン スや米国、イスラエルでさえもこういった政権のいくつかに肩入れをして裏で支えている。そしてこれらが一緒にくもの巣状につながっている。政権が自国の問 題に対処するために内向的にならざるを得なくなって、くもの巣のどこかの糸が切れたら、こういった政権は、他国の活動家に関する諜報情報を渡したり、傍受 した電話の情報を渡したり、武器を供給したり、バハレーンの場合は、軍隊を送り込んだりすることに時間を割けなくなるだろうと考えた、なぜならば自国の問 題に取り組む必要があるからだ。だから、そういった国家レベルの汎アラブ主義がある。それは事実だ――六カ国の湾岸アラブ諸国が同盟を結んでいる[湾岸ア ラブ諸国協力会議:CCASG]――。 …底辺から形成された別の形の汎アラブ主義というのはあるんだろうか。

ナビール:
わからない、まだ状況は完了していないもの。全世界が、イスラエルであろうと米国であろうと、何も決定的ではないことを確信している――そして僕らはこの 世界が現在のまま続かないということ、変わっていくことを確信している。それがどこへ向っているのか、いつそれが止まるのか、それはまだ分らない。だから 今は誰も予測することはできないんだよ、まだその途中にあるんだから。それでも世界はどこか、止まるべきところへと向って動いている。世界中が待ち構え、 見守っている最中なんだと思う――米国はひとつの方向から、ヨーロッパ諸国の政府もね、注意深く待機しながら、見守っているのさ。

ジュリアン:
でも…米国は待機していたと思うかい?そうは見えないけど…

ナビール:
連中は知らなかったんだよ。

ジュリアン:
知らなかったように見えるよね、でもすぐに何が起きているのか理解したんじゃないかな。エジプトやチュニジアの場合は出来事が起きた後に気がついたので――手遅れになったけど、でもその後「よし、現在権力を握っているこれらの政府を支持しよう」と決めた、――でも…

ナビール:
そうだ、でもその後で…

ジュリアン:
…でも、リビアでは米国は再び主導権を回復した。

ナビール:
うん、そうだね、こういった政府はリビアでの問題があった。軍隊を送り込むことで反撃したけれど、何度も判断し直さなければならなかった。だからバハレーンでは米国は完全に違った立場を示したんだね。そしてこれは同じように…

ジュリアン:
米国はどういう…[スカイプ上でアラビア語の会話]…おや![笑]..アラー!

アラー:
OKだよ、じゃあね…あ、あの、ごめんよ!

ジュリアン:
まったく!

アラー:
妻に連絡しなくちゃならなかったんだよ。僕、遅刻してるんだ。

ジュリアン:
いいよ、許してあげる。[笑]バハレーンの人民蜂起に対する米国の反応はどうだったんだい?

ナビール:
米国はこの政府を支援しているのだということは、今ならはっきりわかるし、彼らの考えとして…

ジュリアン:
でもあの当時はどうだったの?米国はどっち側についたらいいのか分らなかったのかな、それともすぐにはわからなかったのかな?

ナビール:
米国は…ううん、最初の頃は革命を支持していた。エジプトと同じくらい素早く物事が動くと思っていたんだね。米国はバハレーン政府に人民の要求を尊重する ようにと要請したんだ。…ところが、バハレーン政府はサウジを呼んですばやく事態を掌握した。その後、再び、米国政府はバハレーン政府の側についたことが 明らかになった。今、米国政府はバハレーン政府の傍らに立ち、要求を出している。実際、米国政府は反対勢力に対して間接的な圧力をかけて、我々がバハレー ン政府の要求を丸呑みし、すべての抗議行動をやめ、革命を収束させるようにと要求している。でも、究極的には、こういう行動をしているのはアメリカ人では ないし、結局サウジ・アラビア人でもない。これは人民なんだ。決意がある。闘争は続いている。先月僕らが見たのはそういうことだ。こういった人々は…疲弊 していないんだ、人々は抗議行動や蜂起を続けている、僕らが頼りにしているのはこういう人々だ。僕らが革命を始めたとき、僕らはアメリカ人を頼りになんか していなかった。僕らは…

…国際社会に依存していなかった。僕らは自分たちの国民を頼りにしていた。僕らは助けを求めなかった――財政上の救援も、軍事的援助も求めなかった。そう なんだよ…僕らは自分たちの力を頼りにしていた、だからこそ僕らは今日まで続けてくることができた。だから、僕は最終的にはこの闘いに勝つというとても楽 観的な確信がある。どれだけの時間がかかるかはわからないし、エジプトの革命よりも、チュニジアの革命よりもずっと長いことかかるかもしれないし――もう 長くかかっているわけだしね。でも、僕はアラブ圏全体が変わると思うんだ。信じようが信じまいが、必ず変わるはずだ。こういう状況、変化に適応していく か、さもなければ、それが出来ない権力体制はある日突然すっかり置いてけぼりになったことを悟るだろう。米国は、湾岸地域の弾圧的政権の味方になってサウ ジの独裁政権やバハレーンなど湾岸地域の政府を支持していたら、自らの長期的戦略権益を守ることはできないだろう。

ジュリアン:
米国内で革命が必要だと思うかい?

ナビール:
体制内での革命、政治体制の中での革命、現行の体制の中での革命は必然的だと思うよ。

ジュリアン:
米国のことを話すこと自体正しいことなのだろうか?または、もっと大きな現象――米国がフランスと一緒になって…――なんというのかな、これは欧米の相互連携とでも言うのだろうか、そんなことを話していることになるのかな?

ナビール:
あのね、僕が言っているのは…僕は君が話を持っていこうとしているような詳しい、複雑な事態については言及したくないんだ、なぜならば、僕の関与する問題 じゃないからね。でも僕が言っていることは、米国に行ったことのある人なら、米国の国民と政治的体制との間にどれほどの違いがあるか、ということが分ると いうことだ。大きな違いがあるんだよ。人々がいかに人権を尊重しているか、いかに外の世界を尊重しているか、いかに外国の権利を尊重し、他国の自決権、あ らゆる権利を尊重しているか。でも、政府となると――政治、権益、石油、武器取引――そういったことに…外交政策が依存している。だからある日、この政治 体制に革命が起こる日が来ると思うんだ。僕は、イラン革命のような革命のことを話しているんじゃない、そんなことが起きるなんて、とても想像できないから ね。僕が言っているのは、政治体制のことだ。国民は自分たちが政治的体制からあまりにもかけ離れたところにいること、体制が米国の普通の市民を代表するも のではないことに気がつくと思うんだ。米国の外交政策が米国の普通の市民を代表するものではないことに気がつくと思うんだ。政治体制に…

…革命が起こる。それが僕の考えだ。米国の従来の外交政策はものすごくお金がかかっているし、多くの人の命を犠牲にしてきたし、米国政府は自分の国民に本 当の話を明らかにしていない。ただ他の国の人たちに罪をなすりつけてきた、テロリスト呼ばわりしたり、悪人扱いにしたりしてきた――でも米国政府は本当の ことを伝えてこなかった、なぜ世界中で人々が米国に反対しているのか、なぜあちこちの国で米国の駐留に反対があるのかということの真実をね。政府は実際の 話を伝えていないということ、それをある日国民が理解するだろう――政府に騙されてきたんだということをね。世界中の多くの問題は米国の間違った外交政策 が原因なんだ。僕らが抱えている多くの問題、現在、僕らの地域に存在する独裁者たちは、米国の支援が原因なんだ。米国がいなければ、こういった独裁者たち は存在しなかったはずだ。だから…米国の普通の市民はこの現実を知る必要がある。

ジュリアン:
アラー、「ウォールストリートを占拠せよ」の抗議活動がニューヨークからサンフランシスコに広がるの見て、君はエジプト人として…

アラー:
それに、ヨーロッパで一番大きな運動だよね?UK アンカットだったっけ?でも…

ジュリアン:
…うん、スペインでもインディグナドス(怒れる者たち)があったし…君は誇りを感じたかい?

アラー:
うん、とっても嬉しかった。

ジュリアン:
知ってるよね、ここ…ここロンドンでもね…

アラー:
当然の…

ジュリアン:
ここ、ロンドンで…。じゃ、質問し直そう。ここロンドンのセント・ポール大聖堂で行われた「占拠せよ」の抗議運動で、通りの名前がタハリール広場と改名さ れた。それがロンドンで起きているの見て、それからスペインで起きた市民運動を見て、「占拠せよ」運動による抗議運動がニューヨークからサンフランシスコ へと広がっていったのを見て、君はエジプト人として、誇らしく感じた?

アラー:
もちろんさ、タハリール広場がひとつのシンボルになって――占拠という概念、広場の占拠などが――世界中で再現されるのを見て、なんだか覗き見しているよ うな嬉しさがあるとでも言おうか。ミシガン、じゃなかった、ウィスコンシンだったね、ウィスコンシンでの労働運動で大きな動員があったときに、[聞き取り 不可]ウィスコンシンともうひとつの場所で、人々が、これは…エジプトからの思わぬ影響だというようなことを言っていて、そういったすべてのことに愛国的 な喜びを感じた…同時に、僕はこういった運動の動向について楽観的であろうとしていたんだ、これが何かへと発展していくのではないかというようにね、だっ て、僕らは世界規模での革命が必要なんだよ――この惑星上で唯一革命を必要としていないのは多分アイスランドくらいかもしれない、あそこではごく最近革命 があったばかりだからね――そして他の革命よりもずっと深みのある出来事だったかもしれない。この惑星上で、改革という形が上手くいくかもしれない地域、 つまりそれが人々の願望に近い形で達成できるかもしれない地域は、多分ブラジル、そしていくつかの南米の国にも…

アラー:
…民主制がまだ…こうした南米の国々には確かに正義が残っているけれど、彼ら民主制国家は根本的に屈折した性質のものだ…民主制という形をしているけれど 非常に中央集権化された政府だし、かなり軍事武装された国家だ。こういった国々では物事はうまくいっていない――いや、明らかにうまくいっていないね―― 実際のところ、人々はこういった…民主制と言われるものの恩恵の多くを失いつつある。インドでは政治腐敗がものすごくはびこっていることが知られている、 米国での汚職はあまりにも組織的であるため、それは汚職とは呼ばれないまま…金融危機を引き起こし、それが世界全体に広がっている…そして…新しいテクノ ロジーを介して警察国家が生まれつつあるし、英国や米国、フランスなどが行っている「テロとの戦争」も警察国家を生み出している…

まだエジプトと比べたら[音声聞き取り不可]の警察国家は話にならない、でもいかにそれを正当化しているかということが滑稽だ。ロンドンのあらゆる場所に カメラがあるのは犯罪や社会不安を予防するためとされていたけれど、そうしたら暴動で社会不安が起きて、ロンドンが炎上し、それからカメラを使って若者た ちが起訴された。では、こういうカメラは予防手段だったのか、それとも…[音声聞き取り不可]

ジュリアン:
あのね…その頃に僕は英国で自宅監禁になっていたんだけど、英国首相のディビッド・キャメロンがその事件の二、三日後に登場して、すべてのフェイスブッ ク、ツイッター、そしてブラックベリー・メッセンジャーを英国諜報機関に傍受させ、ブラックベリー・メッセージやフェイスブックやツイッターを閉鎖できる ようなシステムを立ち上げると発言したんだ。それについては聞いているかい?これとまったく同じようなことを革命の最中にムバーラク政権下で耐え忍んだば かりのエジプト国民として、君はどう思った?

アラー:
まさしく…それについては…僕は実際にシリコン・バレーで開かれた業界の会議で話をしようと試みたんだけど、まったく論点を理解してもらえなかった。でも ね…通信遮断に関して最悪の事態として二つの犠牲があって、ひとつは救助を提供できなくて、通信ができないことが原因で失われた人命という犠牲がある。そ してもうひとつはもっとずっと…目に見えない犠牲だ、それはね、通信遮断があったがゆえに知ることさえも阻まれてしまったこと――自分の身内が街頭のどこ そこの場所にいたとか、死ぬ間際にあったこととかを知ることができなかったという犠牲だ…フェイスブックやツイッターの存在で役に立ったこと、そしてそれ が広く使われていたことの有益な点は、革命の犠牲となって倒れてしまった多くの人々が最後の言葉を残していったということなんだ。もしかしたら、それが自 分の最後の言葉になることを知らなかったかもしれないし、知っていたかもしれない、でもこういった人々の思い出は皆に共有され、集団の記憶になって残って いる。多くの場合、このような思い出は彼らが逝ってしまう直前のもので、通信遮断があると僕たちには届かない。

アラー:
こんな風にして、僕らはすべてから切り離されてしまうんだ。暴動に加わった人源が自分の体験を語ることができなくなってしまう。もしかしたら意味のある言 い分があるのかもしれない、もしかしたら暴動を起こす理由があるのかもしれない。僕らには犠牲者の声が届かない、それが警察の弾圧の犠牲者であろうと、そ の人自身が暴動の犠牲者であろうと、または事故の犠牲者であろうと、事情が何であろうとも、そいういった人々がその瞬間にそこにいたんだ、ということを僕 らに伝えること、彼らが自分の身内や家族に自分がどうやって死んだのか、なぜ死んだのかとか、そういうことを伝えること、さらに僕らがそれに対して何らか の行動を起こす力さえも妨げられる。もし僕が…もし暴徒がただの愚かな犯罪者で、僕がその仲間でもなんでもなくただその場に巻き込まれて立ち往生しただけ というなら、通信を完全に遮断することに何の意味がある?僕には理解できない…ディビッド・キャメロンの理屈では、どんなに正直で法律に従っていたとして も個々の英国市民の救済など考えていない、キャメロンは国家を救済しようとしているだけだ。

アラー:
キャメロンは建物だとか、シンボルだとか、権威に興味があるのであって、国民、こういう状況に追い込まれている人々には関心がないんだ――キャメロンはこ ういう人々を理解することに関心がない、キャメロンにとって彼らは単に愚かな犯罪者でしかない――そして暴動を起こすところまで追い込まれていない人々、 暴動には参加していないけれども生計や生活を奪われてしまったような人たちにも関心がないわけで、キャメロンは単に…物質的なこと、ね、石だとか建物だと か商品やお金など、そういうことにだけ関心がある。だから、こういうことが原因なんだ、だからこのシステムが破綻しているんだ、だから革命が必要なんだ。 そしてオバマは、革命が必要だということを証明しているね。だって、彼は、これまでとは違った政治活動、完全に違った政治手段、まったく異なる言説、人種 的にも異なる何かを示すはずだったわけだ。本当に根本的な…

アラー:
…とても現実的な民主制の勝利だったはずだ。僕は嬉しかったんだ――僕はオバマに何も期待していなかったけれど――あれは意味のあることだったから嬉し かった。でも、人々の毎日の生活での現実は変わらない、貧困は変わらない、戦争も変わらない、気候変動についても何も変わらない、全然変わっていない―― グアンタナモさえも閉鎖されなかった。何も変わらないんだ。

ナビール:僕、トイレに行ってもいい?あの…

ジュリアン:そう、そう。最後の質問だ、最後の質問。

アラー:[クスクス笑い]そう!

ジュリアン:悪いな、ごめん。じゃ、多分これが最後の質問だ。トイレ行きたいのは置いておいて、今の君の状況はどういう具合なの?今…法律的に…

ナビール:
そうだね、僕は数回ほど尋問されている、そのうち二、三回は僕のツイッターのアカウントのことでね――僕のツイッターのアカウントのことは、支配層エリー トにものすごく嫌がられているんだ――それで昨日はついに僕の家に来たくらいだ。僕を逮捕するつもりなのかどうか、僕はわからない、そういう尋問のことだ けど、僕に対して裁判沙汰にするつもりなのかどうか、わからない。でも、もし僕が投獄されたとしても…驚かないな…僕を投獄したって…僕の闘いや活動を止 めることはできない。明日、もし彼らが僕を牢獄に入れたとしても、僕以外に、この戦いを続けていくとても多くの人たちがいる。

ジュリアン:
アラー、法律的には君はどうなの?今はもう安全なの?

アラー:
ううん、あの、僕はまだ訴追が保留になっているところなんだ。この件は取調べ中で、僕は移動を禁じられている。僕に対して告発された容疑は、殺人、公共財 産、主に兵員輸送装甲車の破壊工作だ、軍隊の武器の窃盗[他の人たち、笑う]、テロリズムを目的にした不法な合意の扇動、えーと、それから、なんだっ け?…英語でその容疑の名前が分らないんだけど…ほら、当局に服従しないこと――名前があるんだけどな…

ジュリアン:
逮捕に抵抗したこと。

アラー:
そうだ、当局に対する抵抗だ、抵抗….あのね、僕は逮捕されてさえいなかったんだよ、だって僕は調べられたりしていなかったし…当局が僕の家に召喚状を 送ってきたのさ。うん、だからね、僕は基本的に、いくつかの小隊をこてんぱんに打ちのめし、そいつらの武器を盗んで、そのうちの一人…一人の兵士を殺し たっていうことで訴えられている…

ジュリアン:
ということは、君はかなり悪い子だと思われているんだね?

アラー:
うん、それにスーパーマンなんだよ。[他の人たち、笑う]僕はとうてい不可能なことができるわけさ…APCを相手に、たった一人で立ち向かうなんてことをやっちまったわけだ。

ジュリアン:
それでいつ…?

アラー:
…それで、僕には何人か目撃者がいてね…検察側の目撃者は、僕が同時に二つの場所に存在したという証言をしたんだ、それにもかかわらず僕は取り調べを受け ているんだよ。だから、僕にはあきらかにもっといろんなことができる超能力がたくさんあるんだよ…そりゃあすごいんだ。僕は牢獄内でも評判だったし睨みも 利かせていたさ。

ジュリアン:君はかなりの…こうしたことでかなり幅がきくような…

アラー:
いやぁ、それほどでもないけどね、でも犯罪地下組織の間でもちょっとしたものだよ、だって、ほら普通は牢獄に入れられる人って車を盗んだから、みたいなことだろ?僕の場合は戦車を何台か盗んだっていうことで訴えられてるもんだから…

ジュリアン:
[笑]それで、次の裁判の日付はいつなの?

アラー:
うん、それはまだ…この件はまだ裁判所に送られていない…判事が扱っていて、調査を待っているところという…

ジュリアン:
なるほど。

アラー:
そうなんだ、判事は…判事はもう僕に尋問する気はないんだよ…そうなんだ、でも作業を続けていて、ものすごくたくさんの人たちに尋問を行っているんだ、判事は国中の有名なすべてのクリスチャンのほとんどの人に尋問していて、例えばね…[音声、途切れる]

ジュリアン:
それで…君はどうなると思う?

アラー:
うん、僕を釈放しなければならなかったということは、つまり、彼らは、なんていうのかな…

ナビール:
たくさん圧力もかかっていたんだよね。

アラー:
…ちゃんと僕を訴えることができないってことだね。でも…彼らは待っているんだと思うんだ、なんとかして時間稼ぎをしている。特に僕に興味があるのか、た だ裁判所を活動家に対して使うツール、しかも合法的ツールとして使おうとしているのか、僕にはわからないけど、ただ単に活動家をこてんぱんにしてしまえば それで十分だというわけにはいかない、ただ人々を殺してしまえばいいというわけにはいかないんだね。実際のところ、彼らが暗殺をするような場合でも――彼 らは暗殺をやっていると僕らは考えている――、現場でとても重要な役割を担っているけれどもあまり知られていないような人物たちを狙っているんだ。だか ら、僕の場合、彼らはこういう状態、有名な活動家が関わるジレンマにひっかかっちゃったわけで、あいつらどうする?ということになっている。それで、彼ら は僕らに対して裁判所を使うことで合法性を構築しようとしているんだと思うんだけど、それがいちいち裏目に出てしまっているんだね。だから、…彼らは時間 稼ぎをしているだと思う、つまり、だからこそ、この件がまだ続いているし、僕が未だに告発されたままであるわけなのさ。多分、そのうち僕のイメージを傷つ けるために十分な何かを見つけるかもしれないね…今、そのことに力を入れているところだ。例えばね、僕はゲイに好意的な見方をしていると非難されているん だ――そのおかげでまたまた巷の評判が良くなるわけさ…うん…

ジュリアン:
どこの評判が上がるのかな?[笑]

アラー:
僕の大好きな人たちの間での評判に決まってるだろ[笑]。いやはや、とにかく、これはとてもおかしな話になる、人権擁護者たちとかを巻き込むからね。僕は 誰でも擁護する。だから、…彼らはね、いつか正当性を勝ち取ることができると考えているんだろうけれど、それはちょっと無理、正当性なんてすっかりお門違 いだってこと、僕はかなり自信を持ってるな。

ジュリアン:
そうか。

アラー:
それはね、なんというのかな…多分、エジプトと、米国みたいな場所との間の大きな違いだと思う――まだ合法だから本当の革命はできない国家、同時に、大多数の国民の頭の中で正当性がまったく認められていない国家だ。

ジュリアン:
OK、本当にありがとう、アラー…すべてに感謝するよ。

ナビール:
君はすでに彼にありがとうって、もう1時間半も前に言ってたよ。[笑]

ジュリアン:
ありがとう。可哀想なこいつ、行かせなくちゃ…でも、うん、とても上手くいった、たくさん学んだよ。

ナビール:
どのくらいの時間、僕らはしゃべっていたの?

ジュリアン:
う~ん、2時間くらいかな、2時間。

ナビール:
多分、3時間近いよ。

アラー:
編集したバージョンの後で実際の録画をリリースしたらどうだろうかと思うんだ、だってこの2時間分全部を編集できないと思うな。

ジュリアン:
これをなんとかして25分に詰め込むつもりだけど、でも無理だろうな、でも、長いバージョンを作ってみるつもりだ…できればね。とにかく、ありがとう。本当にありがとう。

ナビール:
そして、君のお父さんと君の奥さんのお父さん、バヒーさんにもよろしくね。

アラー:
うん[アラビア語]

ナビール:
[アラビア語]

アラー:
[アラビア語]

ナビール:
インシャーアッラー(神の御心のまま)、お大事にしてください。

アラー:
彼は大丈夫。じゃ、さようなら。じゃあね、さようなら。

ナビール:
うん、さようなら。

アラー:
ありがとう、また会おうね。切るよ。

ジュリアン:
トイレ、行ったらどう?

ナビール:
どこかな?

ジュリアン:
案内するよ。近くだ。

参考リンク:

バハレーンの抗議デモの様子

English Report about a huge rally in Bahrain – 20 April 2012
http://www.youtube.com/watch?v=dAK1agSnIAQ&feature=relmfu

Dan Rather Reports: Bahrain Revolution
http://www.youtube.com/watch?v=t6DspYg0tkU&feature=related

エジプトのウルトラ団の画像リンク

http://www.youtube.com/watch?v=6rn0ADLXhqM&feature=endscreen&NR=1

اغنيه شمس الحريه للالتراس
http://www.youtube.com/watch?v=UmHHU4fQ7ps&feature=fvwp&NR=1

Ultras ahlawy
http://www.youtube.com/watch?v=_aBBuM5tP88&feature=related

Ultras ahlawy Pyroshow..”ThE Ring of Fire”..Welcome to hell
http://www.youtube.com/watch?v=w8vPYP9iMMk&feature=related

Egypt’s Ultras chant against regime
http://www.youtube.com/watch?v=-_yz8rJn4rM&feature=related

Ua Media Ultras Ahlawy Ahly Vs Zizi Derby Egyptian League
http://www.youtube.com/watch?v=C39FMBk6kGk&feature=related