TUP BULLETIN

速報182号 03年10月5日 帝国現地レポート(14)

投稿日 2003年10月5日

DATE: 2003年10月5日(日) 午後11時47分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(14)

8月、9月は、コスタリカ、日本、韓国に行ってました。 ボルダーに帰ってきてから、何人かと話したのですが、いままでイラク戦争に賛 成してきたアメリカ人たちも、やっとそのウソに気がつきはじめたという感じが します。

★コスタリカはいま

エコロジーを大切にする国、軍隊を持たない国、中米のスイス・・・などと呼ば れる美しい国・コスタリカに行ったのは、今度で4度目。

元大統領がノーベル平和賞をもらったくらい平和な国だったのに、ニカラグアな どからの不法侵入者が増え、犯罪多発に悩まされている。

首都サンホセの高級住宅地に寿司バーを経営していた友人は、「近所で強盗傷害 事件が5件もつづけて起きたので、ついに店じまいをしたよ」と嘆いていた。

★韓国のDMZ(非武装地帯)にて

ソウルから非武装地帯までは、りっぱな高速道路で約二時間の快適なドライブ。 DMZ近くには、新しいホテルもたくさん建っていて、若者たちのデートコース になっているという。

イムジン川沿いに、北朝鮮に向けて建てられた巨大な電光掲示板も、以前は体制 批判ばかりを流していたが、いまでは友好のラブコールを送っているそうだ。

北朝鮮軍が韓国に向けて、いざ侵攻という時に備えて、軍事秘密トンネルを二十 数本も掘っているそうだ。 そのうちの4本が韓国軍によって、すでに発見され ている。 ぼくは、その中の第三トンネルを訪れた。

地下深くをはっているトンネルは、縦も横も意外に狭く、ヘルメットをかぶった 頭を、岩にごつごつとぶつけながら、国境まで歩いた。

「マジにこんなの掘っているんだ・・・」と、南北対立の現実に、背筋の寒い思 いがした。

★イラクではいま・・・

まるで射撃場の的のように、イラク解放ゲリラから攻撃を受けている米兵たちの 士気は、地に落ちているという。キルクーク駐留のスプリー軍曹はこう言った。

「もう7ヶ月以上もここにいる。酒とセックスなしにあとどのくらい持つという んだ? もしすぐにでもセックスできなかったら、もう爆発しちまうぜ!」

軍隊ルールでは、女性兵士は部隊内でセックスしてはいけないことになっている が、その規則はみだらなまでにも無視されている。

「過去5ヶ月間に、女性兵士10人のうち4人は孕まされている。女性兵士が妊 娠すれば、このクソ地獄から抜け出せる片道切符を手に入れるけど、オレたち男 がここから早く出ようと思ったら、死体袋の中か、担架の上しかないんだ」

http://www.antiwar.com/orig/deliso87.html

★ブッシュ大統領が議会に要求している(870億ドル)のうちわけ

*イラクの町々に、アメリカ風の郵便番号をつける・・・約10億円

*8000人収容の新しい監獄を作る・・・約500億円 (ベッドひとつにつき、600万円)

*上記の監獄を作るためのコンサルタント料・・・12億円

*イラク人に英語を教えこむ・・・約36億円 (チェイニー副大統領のハリバートン社が受注予定)

*100人のイラク人証人家族を、かくまうため・・・約120億円

*石油をイラクに(輸入)するため・・・約1200億円

*イラク人に米国流ビジネスを教えるため・・・約240億円

http://www.thenation.com/outrage/index.mhtml?pid=981  http://www.antiwar.com/paul/paul78.html

★ネオコンに乗っ取られる前のパウエルさんは・・・

「大量破壊兵器については、サダム・フセインは開発してはいないし、たいして その能力もない。サダムは、近隣諸国の脅威にさえ、なりえていないのである。  米国による封じ込め政策はまんまと功を奏し、われわれはイラクの独裁者の武 装解除に成功している。  つまりアメリカは、過去10年間にわたって、サダムを箱の中に閉じこめるの に成功してきたのだ」 2001年2月  パウエル国務長官

http://www.truthout.org/docs_03/092403B.shtml

★ジョン・ピルジャーは、「ウソ」を告発する

ライス補佐官は、2001年4月に、「サダムはイラク北部を制御してはいな い。われわれはサダムの腕っぷしを押さえつけるのに成功している。サダムの軍 隊は、再建できていないからだ」と言った。

それなのに、9・11の同時テロが起こると、「9・11は、われわれにとっ てとてつもないチャンスだ。アメリカはこのチャンスを最大限に利用して行動を 始めるべきである」と語った。 ・・・世界で2番目の石油産出国であるイラク を討ち取ることが、彼女のいう「とてつもないチャンス」だったのだろう。

その9月11日、同時テロの日の午後2時40分、側近が秘密裏に記録したノ ートによると、ラムズフェルド国防長官は、「わたしはイラクに攻め入りたい。 イラクが今日の同時テロと関係があろうとなかろうと、とにかくイラクをめちゃ めちゃにぶちのめすんだ」と言ったという。

ところがブッシュ政権は、イラクには一時的な執行猶予を与えて、まずはアフ ガニスタンを攻撃したというわけだ。

http://www.truthout.org/docs_03/092403B.shtml

★またまた、平気でウソをつく人たち

最近の世論調査では、アメリカ人の7割が「9・11同時テロを起こしたアルカ イダとサダムが関係ある」と信じているという結果が出た。 その証拠は、何ひ とつとしてないのに、なぜなのだろう?

(去年の秋)

「サダムはアルカイダとの関係を持っている。わたしの判断では、サダムはアル カイダを前衛部隊として活用しようとしている」  ブッシュ大統領

「もちろん、イラクとアルカイダは結びついている」 ラムズフェルド国防長官

「イラク高官とアルカイダのメンバーとが、実際、もう長い間にわたって連絡し あっている」 ライス補佐官

(今年の秋)

「サダム・フセインとアルカイダが関係あるなんていうことは、疑問の余地もな くありえない。サダム・フセインが9・11同時テロに関係しているという証拠 は何もない」 ブッシュ大統領 9月17日

「サダム・フセインが9・11同時テロに関係していると信じられる証拠は、ま だ見たことがない」 ラムズフェルド国防長官   9月16日

「われわれは、サダム・フセインが9・11同時テロを企てたり指揮したりした などと言ったことはない。ただ、サダムは、テロリストの訓練を手助けし、援助 してきたと言っただけだ」 ライス補佐官 9月16日

http://www.truthout.org/docs_03/092503D.shtml

★クイズ その(1)

さて、以下の発言は、誰によってなされたでしょう? (答はいちばん下にあります)

「もしわれわれが、サダムを排除したくて、地上部隊を拡大し、イラクを占領し ようとするなら、それは、われわれの方針に反することである。  それは醜い戦いに荷担することであり、計り知れないほどの人的、また政治的 な被害をこうむることだからだ。

サダムを逮捕することは、たぶん不可能なことなので、わが軍はバグダッドを 占領しなくてはいけないし、とどのつまりは、イラク全土を占領・統治せざるを えなくなるだろう。

そうなると連合国の連帯は、あっというまにがたがたにくずれて、援護の兵も 引き上げるだろうし、アラブ諸国はわれわれに怒りを向けるだろう。そんな危険 な状況下では、イラク占領からかんたんに抜け出す作戦もとれない。

このように、単独主義的にイラクに侵攻して占領するのは、国連の方針にも違反 することであり、国際協調を台無しにしてしまう結果を招くだろう。

もしそれでも、アメリカがイラクを侵略したなら、米軍はにがにがしい敵意のま っただ中で、いまだに占領軍として居座り続けなければいけないハメに陥ってい ただろう」

http://www.truthout.org/docs_03/091503A.shtml

★クイズ その(2)

同じく、以下の発言は、誰によってなされたでしょう?

「わたしはバグダッドに派遣された。わが国の軍は、メソポタミアの罠にはまっ てしまったようだ。このイラクの占領から、威厳や名誉を持ったまま抜け出すの は容易なことではないだろう。

わが軍は、実際にイラクで起きている惨劇を隠したまま、ニュースではいいこと ばかりを伝えて、母国民をだましている。

バグダッドでの現実は、知らされていたよりも、よっぽどひどい。わが占領軍は 大衆が知るよりももっと血なまぐさくて、無能なのだ。 今日、われわれは、 破滅的な惨事からそう遠くはない状況にある」

http://www.commondreams.org/views03/0918-04.htm

★クイズ その(3)

ここでいう「この大統領」とは、誰のことでしょう?

この米国大統領は、一党政治に支えられた残忍な独裁者が統治する国に侵略する 決心を固めた。 この独裁者は近隣諸国に戦争を仕掛けたことがあるので、この 大統領はアメリカが危険にさらされていると決めつけたのである。

大統領選挙の運動中、この大統領は、「自分は米軍の拡張に反対しているし、新 たな戦争を始める気はさらさらない」と演説してきた。 ところがその最中にも 国防総省の補佐官たちは、すでに戦争の準備を始めていたのだ。 国防総省にと って必要だったのは、戦争を始める「口実」だけだった。

国防総省の役人たちは、自分たちに都合のいい諜報だけを選び、まちがった諜報 を米国民や米議会に喧伝した。 この大統領は、全国向けテレビ放送を通じて、 「われわれは、戦争を始めなくてはならない」と、米国民を説得した。

この戦争の口実になったのは、実際には起きたこともないウソの情報だった。 しかし、米議会はそのウソにひっかかり、この大統領に「戦争を始められるすべ ての権限」を与えた。

この戦争は、空爆と地上軍の激しい攻撃で始まった。最初のころは、国民も楽観 的だった。 この大統領は、「われわれは勝利している」と宣言した。 自信満 々でずるがしこい国防長官もまた、「われわれは勝利している。米軍はもうすぐ 米国へ帰ることができるだろう」と発表した。

しかしながら、現地での地上軍は、意を決した地元のゲリラ軍から、執拗な攻撃 を受け続けていた。 米兵の戦死者は、日に日に数を増すばかりだった。 世界 中の国々はアメリカに反発して、援軍を送ろうとはしなかった。

戦争を始めたときには、どうしたらその国から抜け出せるかという作戦は練られ ていなかった。 大統領の人気も日に日に落ちていき、米国民も、いつ終わるか も分からないこの戦争について、増え続ける米兵の犠牲と、山のようにかさむ戦 費に、ほとほと嫌気がさしてきた。

http://www.commondreams.org/views03/0918-10.htm

(抄訳・パンタ笛吹/TUP翻訳チーム)

***クイズのお答***

(1)ジョージ・H・ブッシュ元大統領 1998年発行の回顧録「変化した世界」より

(2)T・E・ロレンス (映画で有名なアラビアのロレンス) イギリス兵としての回顧録「七つの知恵の柱」より

(3)リンドン・ジョンソン元大統領とヴェトナム戦争    ずるい国防長官とは、マクナマラ元国防長官