TUP BULLETIN

速報295号 リバーベンドの日記(4月23日)から 04年4月28日

投稿日 2004年4月28日

FROM: Schu Sugawara
DATE: 2004年4月29日(木) 午前0時13分

◎イラクのアンネ、リバーベンドの日記から 4月23日 ______________________________________________________________

戦火の中のバグダッド、停電の合間をぬって書きつがれる24才の 女性の日記「リバーベンド・ブログ」。イラクのふつうの人の暮らし、 女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、 検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列 と水汲みにあけあけくれる毎日。‘イラクのアンネ’として世界中で 読まれています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため 息が感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、 TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 http://www.geocities.jp/riverbendblog/

日本人人質事件に同情を寄せ、ファルージャの暴虐を報告したあとで、 約10日書き込みがなく、心配していました。この前2週間書き込み がなかったときは、親戚が誘拐されていたので。何事もなかったよう ですが、このところリバーに深い疲れが見られます。

(解説 池田真里/TUP) _______________________________________________________________

◎バグダードバーニング by リバーベンド

友よ、私の心が失われあなたさえ見分けることができなくなったら、ど うか私を偉大な文明をはぐくんだ、チグリス・ユーフラテスの胸元に連れ て行って欲しい。そこで私は心を癒し、魂を再生させるでしょう。

2004年4月23日 (金)

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説明などできない…   この一週間くらい書き込みをしなかった。そんな気になれなかったか らだ。時に宿題のように重荷に感じたり、書かなかったことに後ろめたさ を覚えたりしたことさえある。なぜブロッグしないのか、少なくとも電子 メールをチェックしないのか非難するように見返すので、私はコンピュー ターを見ないようにする。実をいうと、私たちのまわりであまりにも多く のことが起こっているので、ささやかなブロッグに要約し始めることがで きない。南部の状況とファルージャにおける停戦まがいに、私は苦しみつ つ腹を立てていた。現在私の廻りに漂っている感情を的確に表現できるも のは何もない…それはモリッシーの歌に似ている:

今、私の心はいっぱいで 今、私の心はいっぱいで 説明などできない だから、説明しようとさえしない

ファルージャは一種の休戦状態だが、都市部ではまだ爆撃が続き、ど ちらの陣営からも死者が出ていると聞く。難民はいぜんバグダッドおよび 近隣の都市にいる。この2、3日、軍隊が1日当たり約80組の家族の流入を認 めていると聞いたが、今では1日当たり15組の家族に減少したと聞く。難民 は家に戻ることに不安そうで、家族を都市部に残す人も多い。

さらに、南部の状況、特にカルバラは気がかりだ。連合軍とアル・サドル の民兵との衝突の話が流れてくる。さらにバスラとバグダッドで爆発があっ たという。しかし、そんなこともうニュースにもならなくなった。イラク人 は、砂塵嵐、停電および蚊と共にそれらをうまく切り抜ける。それは生活の 一部になり、ちょうどアメリカ軍による道路封鎖をくぐり抜け、ますます高 くなるコンクリート壁の迂回方法を見つけるように、生きるための抜け道を 見つけなければならない。

このところ、一種の蒸し暑い、激しい暑さが続く。私たちが慣れている通 常の乾燥したイラクの暑さではない。ほとんど固体として感じられるほど、 湿気を多く含んでじとじとした暑さだ。電気の状況は、多くの地域で相変わ らず大変悪い。3時間の電気供給の後、3時間の暗闇というスケジュールだ。 それが涼しい冬の数か月なら耐えられるが、地獄のような夏の数か月は拷問 の日々が約束されている。

明日またブロッグ(訳注:ウェブ上に書き込むこと)するだろう…私を心 配するすべての人々に大丈夫だと知らせるために―私は生きていると。それに、 もっと言わなければならないことがある。

(翻訳:リバーベンド・プロジェクト 山口陽子)