TUP BULLETIN

速報533号 ドナより キャンプケーシー第2報 050824

投稿日 2005年8月24日

DATE: 2005年8月24日(水) 午後0時30分

Subject: [TUP-ML][14958] 【確定稿】(第4報)Good Story on Camp Casey Date: Sun, 21 Aug 2005 08:03:00 +0900 息子の命を奪った崇高な使命とは何なのか? 全米を揺るがすシーハン No3


オーストラリア人女性ドナマルハーンは、2003年春イラクでの「人間の盾」に参加 し、2004年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レジスタンスによ る拘束を経験、2004年冬から翌年春にかけてイラク・パレスチナを旅して現地から報 告してくれました。そのドナが、今度はアメリカから、2004年4月にバグダッドのサ ドルシティで戦死した米兵の母親、シンディ・シーハンのことを報告しています。 シーハンはなぜ息子が死んだか答えて欲しいと、今月6日にテキサス州クロフォード のブッシュ大統領私邸に向かい、ブッシュの牧場の外で警察に止められ、ならば大統 領が会うまで帰らないとキャンプを張り続けて面会を要求しています。全米から支援 者が続々とかけつけるなか、日本のマスコミも報道するようになりました。ドナから の報告第3弾です。 (翻訳:福永克紀/TUP)


キャンプケーシーのいい話 ドナ・マルハーン 2005年8月16日

お友達の皆さんへ

下にコピーしたものは、シンディ・シーハンのピースキャンプに関するワシントンポ ストの記事です。なにがそこで起こっているかカラフルな写真で示し、反対派の意見 も含めてデモ参加者の見解を、今や新たに加わった参加者たちの見解を報じていま す。

このすばらしいイベントに参加するため早めにテキサスにいけるように、フロリダで の講演はキャンセルしました。ですから月曜の午後までにはクロフォードに行けるで しょうし、土曜までそこに留まるつもりです。

シンディに渡すべく私にメッセージを送ってくださった皆さん、ありがとう、とても 感動的なものです。

多くのオーストラリア人がシンディを支持することを表せるようなプラカードを掲げ て行きたいと思います。どなたか何か良いスローガンの提案がないでしょうか、あっ たらどうか私に送ってください!

クロフォードのキャンプケーシーから定期的に報告と写真を送るつもりです。

皆さんの巡礼者 ドナより

追伸:

テキサスで、ミニバンを囲む時――反戦活動家の抗議。その彼らに対する抗議までも が

マイケル・A・フレッチャー

ワシントンポスト 2005年8月14日

クロフォード テキサス 8月13日――月曜にバーバラ・カミングズがサンディエゴ の自宅でエアーアメリカのラジオ放送を聞いていたとき、大きくなりつつあるシン ディ・シーハンのイラク戦争に反対する抗議行動に参加するためクロフォードにやっ て来た女性の話が耳に入った。

そのラジオの女性には、失業後に二回目の陸軍派遣部隊への書類にサインした息子が いた。2週間以内にイラクに派遣される予定である。カミングズは電話に飛びつき、 友人のグロリア・ポルクを呼び出した。「彼女に聞いたのです、『あなた、このシン ディ・シーハンの話のようにするつもり?』 彼女はそうだと言ったのです」

翌日、このふたりの年金受給者はレンタルのミニバンに飛び乗り、テキサス中心部に 向けて22時間のドライブに出かけたのだ。

今日、カミングズは抗議者たちの集いの場となっているクロフォードピースハウスの 前に立ち、手書きのサインを掲げている。通常はのどかなこの町につぎつぎとやって 来る車の流れを、近くの高校のアメフト競技場に隣接する未舗装駐車場へと誘導して いるのだ。

一方ポルカは、彼女のダッジ社製の青いキャラバンを運転し、シーハンが一週間以上 も続けている挑戦的な座り込みをしているブッシュ大統領の1600エーカーもある牧場 のそばにある道端のキャンプ場に、抗議者たちをピストン運送している。

「私たちふたりは、自分たちの孫たちのためにここに来ているのです」とカミングズ は説明する。

「口コミの力のようなものを感じます。会う人誰もが、ここに行かなきゃというので す」

反戦活動家たちがピースハウス周辺で予定のデモの準備にガヤガヤと忙しい一方で、 戦争への支持を示そうと150人以上の国旗を振る一団がシーハンのキャンプに向かっ て行進していた。また、小型トラックの荷台に大きな星条旗をたなびかせカントリー ミュージックをがんがん鳴らして走り単独デモをするものもいる。彼の車のドアには こう書かれている――「テキサスはブッシュの国だ」

ジェイムズ・ヴァーゴーウェンと妻のワイネルは、自分たちの意見を主張するには ハーレーの脇でじっとたたずんでいるほうが好みだ。「大統領と軍隊に、現にここに 支持しているものがいるんだと分かってもらおうと思ってやって来たんだ」と言う ジェイムズ・ヴァーゴーウェンのかぶる帽子にはこう記されている――「自由の対価 はただではない」

「すべてについて大統領に賛成するわけではないがね。シンディ・シーハンには、過 酷な決断を迫られる大統領の身になって1時間でも過ごしてもらってほしいもんだ」

今日クロフォードには、数百人もの戦争に反対する抗議者が集まってきた。そして、 その多くは同じような話を抱えているものたちだ。昨年イラクで息子を殺されたこの カリフォルニア・ヴァカヴィルからやって来た48歳の女性シーハンが、穏やかだが不 屈の抗議で悪戦苦闘する平和運動に魔法のように火をつけてくれたと、皆信じてい る。

「ここで起こっていることは、まさに奇跡なんだ」と言うビル・ミッチェルは、息子 のマイケルを2004年4月4日イラクで亡くした――シーハンの息子、ケーシーが殺され た日と同じ日だ。彼は、シーハンと一緒に一年以上も戦争に抗議し、他の軍人家族た ちの主張を支持しその組織化を手助けしてきた。しかし、誰の関心も引かないように 思えていた。「私たちのメッセージをなんとか広げようと長い間一生懸命やってきた んだ」

元諜報部員で現在は反戦活動家のレイ・マクガヴァンは、シーハンを支援するため バージニアからやって来た。「シンディのおかげで、アメリカ人は戦争の人的損害を 自分のこととして感じられるようになったと思うんだ」と、彼は言う。

シーハンの抗議は先の土曜日に始まって以来、ピーアールのプロや政治工作の専門家 の援助を受けテレビでも取り上げられるようになったが、ここに惹かれて来た多くの 人はそれは彼女の単純だが説得力のある話のせいだと言う。シーハンは嘆き悲しむ戦 死兵の母であり、そのわけを大統領が彼女に説明してほしいと言っているのだ。

「私はただこの夫人を支援して、イラクから撤退させることに賛同を表明し、このマ ニアがやっていることをやめさせるためにここに来たんだ」と、近くのテキサス州ベ ントンからやって来たヘリコプター技師のベトナム帰還兵ローレンス・ルーベンは言 う。「どうして大統領はただ立ち寄ってこの女性と話をし、『奥さん、あなたの立場 はよく分かる。この戦争は私が思ってたようにはいかないんだ』と言えないのかね」

ピースハウスは、この町唯一の信号から鉄道線路を超えた所にある小さな木造の小屋 に過ぎないが、その様子は賑やかだ。外では死亡兵士の両親たちが記者の取材を受 け、ボランティアがプラカードを作り、Tシャツやバッジを売り、抗議者たちに水や 食料をふるまっている。

この家は2003年にダラスの平和活動家たちが設立したものだが、シーハンが来る前ま では、銀行の残高は121ドルしかなく電話も料金未納で止められていた。しかしシー ハンの抗議の話が世に飛び交い始めるや、お金が流れ込んできた。イタリアから来た 女性が大きなテントといくつかのアイスボックスと発電機を負担した。また別の人た ちが小切手を送ってきたりグループのペイパル口座に直接お金を振り込んだりした。 一週間のうちにこの家のローン4万ドルを支払えるほどのお金が集まったのである。

「ここ2、3日あいた口がふさがらず頭がボーとしたまま、歩き回っているのです」と ピースハウスのディレクター、ケイ・ルーカスは言う。「それは、神の祝福であり、 奇跡なのです。まるで現世の利益のたとえ話のようです。支持してくれる援助金や電 話や手紙が、まさに驚異的なのです」 [訳者注:現世の利益 the loaves and the fishes 聖書ヨハネ第6章のパン5つと 魚2匹を大勢の人に分け与えた後、余ったパン切れを集めてみると、人々が食べた 上、なお余ったもので12のかごがいっぱいになったという逸話]

ルーカスが言うには、ピースハウスのスタッフは、シーハンがクロフォードに来ると 聞いたので、彼女に一通のイーメールを送っただけだという。彼女が到着して以来、 この家はシーハンと抗議者たちが一寝入りしたり、シャワーを浴びたり、道端のキャ ンプから一休みしたりする避難所になってしまったのだ。

キャンプケーシーと名付けられたシーハンの野営地で車の隊列が彼女のそばを通り過 ぎる時、彼女は立ち上がって燃えるような太陽の下で麦藁帽子を振り、支持者がいる ことを確認し、流れる涙をこらえるのである。彼女の着ているティーシャツには、亡 くした息子の写真が印刷してある。左足首にある小さな刺青には、こう書かれている ――ケーシー、79年〜04年

さきほど、彼女が小型トラックの荷台に乗って、拍手喝さいで迎える支持者に演説し た。謙遜の笑みを浮かべながらも、彼女の言葉は妥協のないものだった。

「先週の土曜日に、このテキサス・クロフォードでイラク占領の終わりが始まろうと していると、誰が思っていたか?」と、彼女は言った。「アメリカがついに立ち上が り、この愚かな戦争にはうんざりで飽き飽きしていると声に出して言うと、誰が思っ ていたか? 兵士たちを帰還させよう」

原文:Good Story on Camp Casey URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/164