TUP BULLETIN

速報599号 チャルマーズ・ジョンソン、アメリカ軍事帝国を語る 060420

投稿日 2006年4月19日

FROM: hagitani ryo
DATE: 2006年4月20日(木) 午前2時29分

☆ジョンソン元教授の軍事ケインズ主義経済学講義★
「私は冷戦の戦士でした」という告白に見るように、チャルマーズ・ジョン
ソンは、みずからの経歴と体験を踏まえ、基地の帝国としてのアメリカの政
治・経済構造を、第二次世界大戦直後の冷戦初期から、ソ連の崩壊を経て、
現在のアフガン・イラク戦争までの歴史の流れのなかで論じます。ブッシュ
のアメリカは、富裕層を利する大型減税の継続、医療などの福祉予算の削減
など、小さな政府を気取っているように見えますが、その実、軍事支出は惜
しまず、軍産複合体への予算のバラ撒きが経済を維持する有効需要になるこ
とをアメリカ社会そのものが期待しているようです。
 ジョンソン氏が、共産主義に対する自衛としての冷戦の意義に疑いの目を
向けるようになったきっかけのひとつが、海兵隊員らによる少女集団レイプ
事件の余波が残っている時期の沖縄訪問であったという告白も、私たちには
感慨深いはずです。井上

凡例: (原注)[訳注]〈ルビ〉《リンク》

トム・ディスパッチ・インタビュー:
チャルマーズ・ジョンソン、アメリカ軍事帝国を語る

(読者の皆さんへ――当サイトのインタビュー・シリーズ第7弾をお送りす
る。前回までの3回分に登場いただいたのは、ホアン・コール《1=二部構
成》、アン・ライト《2》、マーク・ダナー《3》の各氏である。トム)
1 http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=29215
  http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=29333
2 http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=35448
3 http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=2949
[上記リンクは原文。当シリーズTUP速報版は本稿末尾にリンク。ただ
し、アン・ライト編のみ未訳]

「不思議の国の冷戦主義者」
――チャルマーズ・ジョンソンに訊く(パート1)
[取材: トム・エンゲルハート]

彼とその妻・シェイラの車で真昼の陽光に輝くサンディエゴ中心街を抜けて
いると、唐突に彼が「あの建造物をご覧なさい!」と大声をあげる。視線を
回すと、港の青い広がりの向こうに巨大な航空母艦があった。「米艦ロナル
ド・レーガン」と彼は言う。「海軍きっての最新鋭空母です。海上のチェル
ノブイリであり、よく知られているように海底から6インチ[15センチ]
離れて浮かび、2基の大型原子炉[*]を搭載しています。ヘタに動くと、
アメリカ7番目の大都市に累がおよびます」
[推定熱出力50万キロワットX2基。一般的な原発と比較すれば、2基合
わせて、電気出力34万KWの美浜原発1号機(同じ加圧水型軽水炉)に相
当する規模]

ほどなく私たちは、南カリフォルニアのいかなる類の描写であっても欠くわ
けにいかないほどに伝説的なハイウェイ渋滞さなかの沿岸地域から、すぐ上
の彼らの家に向かう。「どうやら北寄りに来すぎたようです」と、同乗者を
不安にさせ、同時にとことん楽しませる愉快な調子で彼は言い添える。「夕
焼けを見て、猫を乗せ、荷物まとめて、アリゾナのクォーツサイトに向かう
ことができたのに」

チャルマーズ・ジョンソンは、海軍勤務の経験があって、今はアメリカ軍国
主義を研究する歴史家であり、かつての勤め先と目と鼻の先に住んでいる。
サンディエゴは第一海軍管区司令部の所在地である。「海岸のすぐ上は、壁
から壁まで軍事基地なのです」と彼は説明する。「ところで、今年の夏、ペ
ンタゴンは第二次世界大戦後最大の海軍艦船集結を太平洋で計画しています
! 4個空母機動艦隊が中国沿岸の沖合で軍事訓練をします――そのうちの
2個艦隊は大西洋から回航するのですが、これはほとんど前代未聞のことで
す」

その午後、私たちは彼の家の食卓に着席する。彼は齢〈よわい〉74歳であ
り、慢性関節リュウマチにより膝を痛め、不自由している。籐製の杖を使っ
ているが、町一番の活発な精神の持ち主だ。窓の外に、育ちすぎた奇妙な多
肉植物のどっさりと大きな茂みが見える。(「あれはアガベ・アッテヌアー
タ[*]です」と彼は言う。「一株よろしければ、どうぞご遠慮なく。どこ
にでもあります。青灰色のテキーラが開花すると、その花は75フィート
[23メートル]の高さに伸びます。すると南カリフォルニア中からハチド
リが集まります」) 遠くのほうで、太平洋が光っている。
[Agave attenuate=リュウゼツラン科アガベ属。流通名はアガヴェ]

ジョンソンは黒いTシャツを着用し、これは元将校である友人がロシアから
持ち帰ったものです、と私に告げる。(「モスクワ空港でヒッピーたちがこ
ういうのを売っていたのですが、それを見て、おもしろかったそうです」)
 そのシャツの胸に誇らしくAK47自動小銃のイラストがプリントされ、
キリル文字で「ミハイル・カラシニコフ」の銘があり、その下に「自由戦士
の友、ソヴィエト連邦製品」と記されている。背中には英語で「湾岸戦争、
アフガニスタン、ヴェトナム、アンゴラ、ラオス、ニカラグア、サルバド
ル、レバノン、ガザ地区、カラバフ、チェチェン……次回に続く」と書かれ
ている。

ジョンソンは、1950年代初期に海軍中尉として軍役に就き、1967年
から73年にかけてはCIA顧問を務め、長年にわたりカリフォルニア大学
バークリー校の中国研究センターを運営していた。彼は(「疑うべくもな
く、私は時代の子でした」と言うように)ヴェトナム戦争を支持していた
が、その何年か後の著書“Blowback, The Costs and Consequences of
American Empire”《『アメリカ帝国への報復』鈴木主税訳、集英社200
0年刊》のプロローグに、「問題は、国際共産主義の運動については知りす
ぎるほど知っていながら、アメリカ政府と国防省についてはよく知らないこ
とだった……いま振り返ると、私も反戦運動を支持すればよかったと思う。
愚かしくて無茶な運動ではあったが、やはり正しかった。アメリカの政策の
ほうが間違っていたのだ」[鈴木氏訳]と書いた。彼の世代の人間で、この
ような文を綴るのは、たぶん彼ただひとりだけだろう。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087733289

彼は日本に関する専門家として長く刺激的な経歴を積んだのちに引退する
と、2000年に予言的な著書“Blowback”[『アメリカ帝国への報復』]
を世に出したが、当初はあまり注目を集めなかった。9・11事件のあと、
この本はベストセラーになり、米国の秘密行動に対する報復を意味するCI
A用語“ブローバック”を日常用語に変えてしまった。その後、彼は“The
Sorrows of Empire, Militarism, Secrecy, and the End of the
Republic”《*『アメリカ帝国の悲劇』村上和久訳、文藝春秋、2004
年刊》を上梓した。(「学問のテーマとして、『アメリカ帝国』はたいがい
タブーなのです」と彼は私に言う。「私は気楽な隠居の身ですが、幸運な学
問経歴を残しました。今日の若い学者諸君は、隠れ蓑をまとうことさえかな
えば、このテーマに着目し、わが国の帝国の諸側面の研究をはじめると私は
見ています。彼らには先駆けが必要なのです。私は、大学院のかつての教え
子たちの何人かに次のように言わせたのです――『ねえ、先生は弱みをもっ
ていません。先生が先頭に立たないで、どうしてぼくたちにトルコの米軍専
用娼館の影響に関する研究プロジェクトを実現しにおもむくと期待するので
すか? ねえ、やりましょうよ。これはいいテーマです!』)
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0104835088

たった今、彼は報復シリーズ3部作の最終巻を完成させようとしている。新
刊書のタイトルは“Nemesis”[*]の予定である。
[ネメシス=ギリシャ神話の復讐の女神。思いあがった人間を罰する]

画鋲のように鋭く、活気に満ち、気概にあふれ、代わる代わる心底から危惧
したり徹底的に嘲〈あざけ〉ったり、彼は生まれながらの話し上手である。
私たちの出遭いは、インタビューと言っても名ばかり。彼ほどに質問者を必
要としない人は他にいない。私の念頭に浮かんでいた質問から始めるつもり
だが、これも不必要同然である。

【トム・ディスパッチ】あなたの人生の証しとなる瞬間、冷戦終結の瞬間か
らはじめましょう。あなたにとって、冷戦終結はなにを意味したのですか?

【チャルマーズ・ジョンソン】私は冷戦の戦士でした。これには疑う余地が
ありません。ソヴィエト連邦はほんものの脅威であると私は信じていまし
た。今でも、そう思っています。

いろいろな点で、ソ連が一定の理想主義を鼓舞していたのは確かです。NK
VD[1]やグラーグ[2]のせいで、何年も前に共産主義と袂〈たもと〉
を分かっていても、インターナショナル[革命歌]を聞けば、起立するしか
ない大人たちがいますが、そういう人たちはすごいと思います。ソヴィエト
に対して自衛しなければならないと私は考えていました。
[1. Narodny Komissariat Vnutrennikh Del=内務人民委員部]
[2.gulag=矯正労働収容所管理本部]

私の目から見て、わが国の怪物じみた軍事機構、その規模や経費、それに
(大統領、ドワイト)アイゼンハワーが私たちのために正体を説き明かして
くれた軍産複合体の膨張を正当化する唯一の大義名分は、ソ連の存在であ
り、ソ連のわが国と対抗するという決意でした。ソ連が世界的な勢力であ
り、きわめて強大であるという事実が問題視されていましたが、私たちのだ
れひとりとして、その弱点が露見すると確かな眼で見抜いていませんでし
た。(ソ連最高幹部会議長、レオニード)ブレジネフの権力が絶頂期にあっ
た1978年のことですが、私は同地に滞在していました。当時、消費経済
は存在しないという感じが確かにありました。米国・カナダ研究所の私の同
僚たちには私有物がどっさりありました。おお、すごい、私はジョージア白
ワインの上物を一瓶見つけました。キューバの人たちもなにかしら良いもの
を持ちこんでいました。ところが現地のバーに繰り出してごらんなさい。買
えるのは、ウォッカだけです。

まったく不便な世界でしたが、あることについては、とても上手にこなして
いました。わが国のミサイル防衛にかかわる話です。わが国が構築するいか
なるミサイル防衛も突破する兵器を備えた唯一の国が存在しますが――それ
はロシアなのです。わが国は、あの国が持っている大陸間弾道ミサイル、
トーポリM(Topol-M)、別名[米国名]SS27に対抗できるものを、い
まだに持っていません。(大統領、ロナルド)レーガンが、スター・ウォー
ズ[Strategic Defense Initiative=戦略防衛機構]を構築するつもりだと
言ったとき、とても賢いソヴィエトの兵器製造部門の人たちは、われわれは
これを阻止すると言いました。そして、そのとおりにやってのけました。

ダニエル・モイニハン(上院議員)が言ったように――1980年代のソ連
崩壊を予告できなかったCIAを、だれが必要としているのでしょう? ソ
連がアフガニスタンではじめた戦争やら、その他のいくつかのできごとが重
なって、経済が凄まじいありさまになり、分解してしまうことを、320億
ドルの予算を食う諜報機関が見抜けなかったのです。

1989年にミハイル・ゴルバチョフ(ソ連大統領)がひとつの決断をしま
す。ソ連はドイツ人がベルリンの壁を取り壊すのを食い止めることもできた
のですが、彼はロシアの未来を考え、スターリンが東ヨーロッパで育てた、
みじめな衛星諸国を諦め、ドイツやフランスに対する友好関係を選択すると
決意しました。だから、彼は壁の崩壊を静観したのであり、その瞬間、ソ
ヴィエト帝国全体の解体が始まりました。沖縄の人びとがわが国を島から追
い出そうとするとき、手をこまねいて傍観するようなら、同じことがわが国
にも起こりえます。ひとたび、わが帝国が分解しはじめれば、なんの手も打
てないまま、それは崩壊すると私は思います。

ソ連は破綻しました。米国にとって、なんというすばらしい名誉の証しだろ
う、と私は考えました。すべては終わり、ほんものの勝利の配当、偽りのな
い平和の配当を受けるときがきた。問題はこうでした――大掛かりな戦争が
終息するとき、米国は過去にやっていたのと同じように振る舞うのだろうか
? 第二次世界大戦のあと、わが国はあれほど速やかに軍備を縮小しまし
た。周知のように、1947年には、わが国は非常に速やかにふたたび軍備
拡大に走りましたが、その時すでに、わが国の軍隊は茶番めいたものになっ
ていました。1989年に、ベルリンの壁の崩壊以上にと言っていいほど、
私を驚かせたのは、軍産複合体やペンタゴンの組織、世界に展開する艦隊
群、それに役割の終わったわが国のすべての基地といったものを全面的に正
当化するために、米国が即座に――純然たる膝蓋反射反応[*]として――
代わりになる敵を探しはじめたことです。わが国の指導者たちにしてみれ
ば、冷戦装置の解体を検討することだけは、どうしてもできなかったので
す。
[脚気の診断に用いられる、膝をコンとたたくと、足がピョコンと跳ねあが
る反応]

これはひどい、と私は考えました。それに劣らず、アメリカ国民が無頓着で
あるように思われ、私は呆れました。そして、彼らがあえてやったことは、
ひどいものでした。父のほうのジョージ・ブッシュが大統領でした。彼は、
アフガニスタンにもはや関心がないと即座に断言しました。もう終わったこ
となのです。そのため、なんという大きな代償を私たちは支払うことになっ
たのでしょう――わが国史上最大の隠密作戦をはじめておいて、無造作に離
脱したせいで、ソ連に対する闘争に資するためとして、1980年代にわが
国がスカウトしたアフガン人のだれもが、ただちにわが国を敵視するように
なりました――そして、わが国に報復しはじめました。数あるなかで最大の
報復は、もちろんのこと、9・11事件でしたが、それ以前にも多くのしっ
ぺ返しがありました。

私は面食らってしまって、なにが起こったのか理解する必要があると感じま
した。冷戦におけるわが国の本分――同じ構造、同じ軍事ケインズ主義
[*]、兵器製造に大きく依存する経済――が永続化すると明確に分かるや
いなや、ほぼ瞬時に念頭にあがった一番大事な問いかけはこうでした。冷戦
は、ほんとうはなにか別のものを隠すためのものだったのではないか? そ
の別のなにかとは、第二次世界大戦のあいだに、大英帝国の後継者として意
図的に創出されたアメリカ帝国であることを、これは意味しているのではな
いだろうか?
[全体の福利のための公共投資を重視する経済理論。この場合は、軍需中心
の経済運営、つまり富国強兵政策]

そこで、私はこう言わざるをえなくなりました――そうか、冷戦は、わが国
が主張していたような全体主義価値と民主主義価値との歴然とした衝突では
なかった。1950年代のさまざまな時点で西ヨーロッパにいた場合、そう
いう弁明らしきものも可能でしょうが、それを地球規模の状況にあてはめ、
中国を念頭に置き、そしてわが国の2度にわたる東アジアにおける戦争、つ
まり朝鮮とヴェトナムの両戦争を視野に入れますと、この全体像がガタガタ
に崩れ、私には再考すべきことが残っていると理解するようになったので
す。何度もあったことですが――大学二年あたりの秀才タイプが、私に「先
生はおっしゃることに辻褄〈つじつま〉が合っていないのではありませんか
?」と言ったものです。英国の経済学者、ジョン・メイナード・ケインズ
は、ある時、矛盾していると詰問され、「そうだね、新しい情報を入手する
と、私は自分の立場を再考するのだよ。あなた、新しい情報をどうするので
すか?」と返していましたが、たいてい私もこの言葉で応えています。

ソ連が崩壊してから5年後の個人的な体験もまた、もっと根本的に国際関係
を再考するきっかけになりました。沖縄で非常に重大な事件の余波が残って
いるころ、私は沖縄県知事の招待を受けました。1995年9月4日のこと
ですが、海兵隊員2名と水兵1名が12歳の少女をレイプしました。この事
件は、(1960年の)安保条約締結からこのかた最大の反米感情の噴出を
招きました。
[参考文献――TUPアンソロジー『世界は変えられる・II』(七つ森書
館、04年10月刊)所収、チャルマーズ・ジョンソン「帝国の治外法権
――三つのレイプ事件が語る日米地位協定と沖縄」
http://www.pen.co.jp/syoseki/syakai/0375.html]

私は生涯の大半を日本を研究して過ごしたにもかかわらず、その時まで沖縄
に行ったことはありません。ハワイのカウアイ島よりも小さな島にアメリカ
の軍事基地が32か所あり、島の住民たちに過大な重圧を押しつけていると
知って、私は仰天しました。熱心な冷戦の戦士たる私の最初の反応は、沖縄
は例外に違いない、というものでした。これは世界の常識をはずれていま
す。アメリカの報道機関はこれを伝えていません。これは軍事植民地です。
わが国の軍隊は、1945年の沖縄戦いらい、そこに駐留しているのです。
そこにはありとあらゆる支配の臭いがたちこめていました。だが、これは目
立つにしても、わが国の巨大な組織の一側面にできた不幸な吹き出物にすぎ
ないと私は思いこみました。ところが、私が研究をはじめてみると、沖縄が
例外ではないことを知りました。これが標準でした。世界中のアメリカの軍
事的な海外領地のどこでも目にする光景だったのです。

【TD】わが国の軍隊が地球全体に駐留している様相は、あなたが世界にお
けるアメリカの位置づけを再考なさるさいの基本的な要因でした。あなたの
最近の著書『アメリカ帝国の悲劇』[前出]のなかで、ペンタゴンの基地設
置政策に関する章は核心部になっています。この本を好むにしろ好まないに
しろ、書評者たちのだれひとりとして、わが国の現実の基地に関するあなた
の解釈に踏み込まなかったのは、奇妙ではありませんか? このことをどの
ようにお考えですか?

【ジョンソン】どうしてなのか、私は知りません。アメリカ国民は、例え
ば、アメリカ国内の広大な米軍用地はものごとを整えておくために欠かせな
い自然な存在であると、自明の理のようにして認めていますが、どうしてそ
う思うのか、私には分かりません。軍用地に自然なところなどこれっぽちも
ありません。軍用地は人工的であり、金も食います。近年で最も興味深い儀
式のひとつは、基地閉鎖の発表にともなう大騒ぎです。なんと言っても、国
防総省が無用の施設を閉鎖するのは、完全に理にかなったことですが、大騒
ぎの渦中にいては、そうは考えません。

わが国の社会における軍産複合体の影響について、私たちが甘い幻想を抱く
ありさまに、私はいつも呆れています。私たちは、供給サイド経済学とか、
ラッファー曲線[*]とかいった婉曲表現を用います。われわれは人工的に
雇用を創出している、などとは決して言いません。WPA(Works Progress
Administration=大恐慌期の雇用対策局)がしばしば穴掘り・埋め戻し反復
事業と揶揄〈やゆ〉されていたとすれば、今、私たちは爆破物を作ってい
て、それを人びとに売っています。世界の兵器製造大手のものに比べるまで
もなく、わが国の兵器が特に上等というわけではありません。大量の兵器を
非常にすばやく製造できるのが、わが国の取り得というだけの話にすぎませ
ん。
[税率と税収の相関を表し、税率0パーセントで税収0、税率100パーセ
ントでも(経済活動の停止により)税収0になり、中間の最適税率で税収の
極値を示す山型の曲線]

【TD】プロの編集者として言わせてもらいますが、私たちが世界を見渡す
さい、卓越した世界編集能力を発揮しています。

【ジョンソン】まったくそのとおりです。私たちは世界の構成部品を削除し
ています。つまり、サンディエゴ市の住民は、当地とロサンジェルスの間
に、第一海兵師団の司令部、キャンプ・ペンドルトンと呼ばれる広大な軍用
地が存在することに、いささかも驚いていないようです。かつての朝鮮戦争
のころ、私自身がそこにいました。私は自分が乗務していたLST[兵員・
戦車などの陸揚げ用の揚陸艦]883号の艦長に運悪くも行き遭いました。
私たちはひとりの仕官をキャンプ・ペンドルトンに移送する命令を受けてい
ましたが、彼は「私が移送することになっている人物を知っている」と言い
ました。それは私でした。(笑う) 決して忘れられません。海兵隊の教練
軍曹の世界は別の宇宙です。

自然環境の熱烈な愛好者としては、多くの意味で、あそこにキャンプ・ペン
ドルトンがあってよかったと思います。あれは緩衝地帯なのです。たぶん1
0年ほど前のことですが、私はあそこの司令官としばらく過ごしました。た
またま話題が鳥類保護のことになり、彼は「私はこれらの鳥類を保護するよ
うにとの命令を受けている。配下の者が、鳥の巣の上に戦車を走らせるよう
なことをすれば、私はその部下を軍法会議に付するだろう。ところで、いま
いましい鳥がサンクレメントのほうへ飛んでいってくれれば、その男にも浮
かぶ瀬があるというものだ」と言いました。その時ですら、私はこう考えて
いました――この基地でやっていることは、どれを取っても、かくべつお国
の役に立っているわけではないが、それこそ、あんたたちが役立っている数
少ないもののひとつだ。現在では、言うまでもなく、軍が環境規制の履行義
務の免除を熱心に求めていますので、あのささやかな利点もなくなってしま
いました。

【TD】さて、振り出しに戻りますと、あなたは帝国を目撃なさって、さら
に……

【ジョンソン】……帝国の概念から定義しなければなりませんでした。たい
ていの場合、帝国は植民地宗主国と定義されますが、分析的に言って、私た
ちが帝国を語るとき、外国の人びとの利益がいかに損なわれようとも、私た
ちの利益に奉仕させる支配権の外部投射をもっぱら意味しています。

では、私たちの帝国はどのような種類のものでしょうか? その構成単位は
植民地ではなく、軍事基地なのです。これは、帝国概念を擁護する人たちが
たいてい決めつけるほどには常識はずれなものではありません。と言うの
も、中東におけるローマ帝国の主要な軍事基地を数えあげることが容易にで
きるのですが、その数は、現代において、この地域に守備隊を置くのに必要
な基地の数とほぼ一致することが判明しています。約38か所の主要基地が
必要なのです。ローマ時代の軍事基地の配置を地図上に記すことができます
し、現代の基地を記すこともできます。

基地の帝国――これが、世界に700か所、またはそれ以上あると国防総省
が認めている軍事基地の理屈を説明するのに最適な概念です。ところで、こ
れはアメリカ国民の安全保障のためだと、私たちは自己正当化しています。
ほとんどの場合、わが国による戦争のどれかで、なんらかの戦略上の目的を
念頭に置いて、これらの基地を占領したのが始まりだったというのは、ほん
とうのことです。それから戦争が終わっても、私たちは基地をぜんぜん手放
しません。これはゲームの一環である、戦い抜いた人間たちが手に入れる戦
利品なのだ、と私たちは気づきました。海兵隊は、第二次世界大戦中の最も
悲惨な最後の激戦で、損失をこうむったのだから、自分たちは沖縄に駐留し
て当然であると、今日にいたるまで信じています。

それにしても、若いほうのブッシュの時代のネオコン、その他に――基地の
帝国では必ずしもないのですが――帝国の概念が、これほど速やかに受け入
れられるようになるとは、ビックリさせられました。つべこべ言っても、あ
の人たちの多くが言ってたように、この用語を誇らしげに口にするのは、合
州国の起源そのものに唾を吐きかけるのと同じことです。私たちは、あれほ
ど専制的な態度で支配権を振るっていた国王を攻撃し、他のだれにも増して
反・帝国主義者であると自慢していたではありませんか。私が思うに、それ
もアメリカ=スペイン戦争[*]までのことでした。わが国が帝国になって
いたのは、それよりずっと以前からであるのは、言うまでもないことです
ね。
[スペインによるキューバ支配をめぐる紛争を端緒に、1898年、フィリ
ピン領有をめぐる戦争に発展。当時の米国の帝国主義的な振る舞いについて
の参考文献――前出『世界は変えられる・II』所収、レナト・レデントール
・コンスタンティノ「歴史の痛ましい傷――フィリピン侵略、ヴェトナム戦
争、そしてイラクへ」]

【TD】あなたがお書きになっているように、おおよそすべてのものごとが
軍事化してしまったという意味で、わが国はなんだか一本足の帝国になって
しまったのではありませんか?

【ジョンソン】それこそが、アメリカ帝国のほんとうに不気味な点です。た
いていの帝国には、軍事が付きものですが、わが国では、軍事優先政策が
――国防のためでなく、さらには政治目的を追求するための力ですらもな
く、ひとつの生き方、豊かさや快適さを達成するための手段になるまでに
――中心になっています。請け合っておきますが、第一海兵師団の将兵たち
は、カリフォルニア州のオーシャンサイドに駐屯しているよりも、沖縄に駐
留しているほうが、そうとういい暮らしができるのです。壁が崩壊したあ
と、5年間もソヴィエト軍は東ドイツから撤退しませんでした。彼らは国に
帰りたくなかったのですね。貧しいロシアに帰った場合に予想される暮らし
ぶりよりも、ずいぶんいい生活をしていたのです。

たいていの帝国は、軍事のそういう側面を隠そうとしています。私たちの問
題はこうです――どういう訳か、私たちはわが国の軍が大好きなのです。軍
隊を私たちの社会の縮図、役に立つ制度であると考えています。「われわれ
のボーイズ[兵たち]を応援しよう」というのほど、偽善的だったり、政治
家たちが連発したりするものは他に類を見ません。言ってみれば、兵士に
なった男子や女子が、あらゆる出自のなかで最も賞賛に値する人間では必ず
しもありませんし、よその国の社会に入りこんで、その意味からして、君た
ちは善行を施しているのだと諭されているならば、なおさらのことです。こ
の場合――なにがどうなっているのか理解できなかったり、かわいそうなイ
ラク人たちに英語でどなりつけたりする集団に組みこまれた、そのとたんに
――私たちの社会の重要な一側面である人種差別が表面化します。

【TD】わが国の帝国維持費は国防予算であると、あなたもお考えであると
思います。これについて、私たちに分かりやすく説明していただけますか?

【ジョンソン】帝国の侮れない力は、帝国が私たちの社会に浸透している様
相、私たちが帝国に依存するようになっている様相に見ることができます。
過去の帝国――ローマ帝国、大英帝国、大日本帝国――は、英国民やローマ
市民や日本臣民を豊かにするのに役立ちました。私たちの社会においては、
武器の製造と販売が、いかに深い根っこのところで私たちの生活手段になっ
ているか、つまり、わが国が4大兵器製造企業――ボーイング、ロッキード
・マーティン、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミックス――を
有しているという話にとどまらず、これらの企業が、可能なかぎり多くの
州、可能なかぎり多くの選挙区に巨額の請負契約をばらまいていることを私
たちは認めたくないのです。

軍事予算が国家を破産に追いこもうとしています。軍事費の規模は過大に膨
れあがり、合理的な軍事目的の範囲を超えています。わが国のそれは、世界
の軍事支出総額の半分にちょっとだけ届かないだけです。それでいて、わが
国は、世界で最も小さく、最も貧しい、ふたつの国にてこずっています。わ
が国が侵略する前のイラクのGDP[国内総生産]の規模はルイジアナ州の
それと同じでしたし、アフガニスタンは確かに地球上で最も貧しい地域のひ
とつでした。それなのに、これらふたつの場所がわが国を身動き取れなくさ
せています。

わが国は、軍事的に見て、つじつまの合わない、あまり利口とは言えない予
算を組んでいます。これがわが国の産業界に資金を供給するために使われて
いる仕組みや、わが国が今でもかなり効率的に製造している品物のひとつが
兵器であるという事実を理解するときのみ、この無茶苦茶ぶりも割り引いて
考えることができます。これは、民間企業ではなく、ペンタゴンの対外有償
軍事援助部門が仕切っている、巨大な輸出ビジネスなのです。

これは、もちろん、自由主義的な経済活動ではありません。巨大メーカー4
社、それに単一の大口顧客がかかわっているだけです。国家社会主義型の事
業が、アメリカのどこの大学のどの経済学課程でも教えていない仕組みで、
経済を動かしています。むしろ、大恐慌から抜け出るためにジョン・メイ
ナード・ケインズが提言した政策――雇用維持のための景気循環対策型の政
府支出――に近いものです。

基地閉鎖の話が出るたびに、国民は集団的な不安神経症に陥ってしまいます
が、これは政治とはなんの関係もありません。ポーツマス海軍工廠〈こう
しょう〉[原潜建造基地]が廃業となれば、ニューイングランドの人たち
は、ここ、サンディエゴの住民に海兵隊飛行場の閉鎖を通告した場合と同
様、頭にくることでしょう。ご当地の基地となれば、いつも同じ光景です。
よくもわれわれの基地を奪えるものだ! われわれの議員は基地をもとに戻
すべきだ!

これが、わが国の軍事優先主義と軍事帝国の最も陰険な側面であると思える
ものを浮き彫りにしています。私たちはこれから今さら離れられないので
す。薬物依存の意味で、嗜癖〈しへき〉しているというわけではありませ
ん。それを手放せば、わが国が経済システムとして破綻するというだけの話
であり、そうなることが分かっているのです。恐ろしいことです。

歴史上の先例を見れば、心底から怯〈おび〉えるはずです。軍事ケインズ主
義――つまり、不景気や恐慌のために混乱した経済や、危機に瀕している国
民につけこんで、転回させること――の最も大掛かりでユニークな先例は、
ドイツです。アドルフ・ヒットラーが1933年にドイツの首相になってか
らの5年間、現代の天才のひとりとして賞賛されていたことをお忘れなく。
そして、国民は職場に復帰しました。これは、もっぱらナチス党[国家社会
主義ドイツ労働者党]とドイツ産業界との連携による軍事ケインズ主義を通
してなされたのです。

工場を再開するために人工的な政府需要に頼るのを、労働組合と労働者階級
を強化する方策と見て、当時の多くの人びとが、これこそは真にケインズ主
義的な問題解決法であると主張しました。資本家たちは、労働者階級を強化
するきらいのある政府方針を恐れました。彼らは革命にかぶれるかもしれま
せん。あの世紀には、革命はもうじゅうぶんでした。この国では、いぜんと
して国民はボルシェヴィキ思想[ソ連共産主義]に対する恐怖症にかかって
いました。ある程度までは、私たちはいまだにそうですね。

私たちが採りいれた経済政策は、アドルフ・ヒットラーのやったことと非常
によく似ています。私たちは飛行機やその他の兵器システムを大量に生産し
ています。このことを考えると、ソ連がついに崩壊した1991年の状況が
ただちに思い起こされます。私たちは冷戦の終焉を迎えることができません
でした。瞬時に、私たちはそう気づいたのです。国家安全保障会議の戦略大
綱であるNSC68号文書[1950年作成の対ソ核戦略マニュアル]を読
めば、特によく分かりますが、実を言えば、冷戦が始まったころでさえ、そ
の真因は、大恐慌時代を生き抜いてきた中年後期のアメリカ国民が抱いた、
アメリカ経済は資本主義自由企業体制を踏まえただけでは自立できないとい
う明確な思いに宿っていたと信じている人は大勢います。そして、これが
――おお、なんとしたこと――私たちがこの道に踏みこんで、たかだか20
年のうちに、約3万2000発の核弾頭を積みあげる結果を招いたことの、
きっかけになったのです。あれは核兵器備蓄量のピークを記録した年であ
り、まったく理不尽なことです。現時点でも、私たちは9960発保有して
います。

ところで、2007年度ペンタゴン予算もまた理にかなっていません。43
93億ドルです……

【TD】……戦費は含まずに……

【ジョンソン】戦費は別です! こういう人たちは、私たちを説き伏せて奇
想天外な軍備を構築させようとしましたが、これについて、マデライン・オ
ルブライト(クリントン政権の国務長官)がコリン・パウエル将軍に一矢報
いた有名な皮肉はこうです――「あなたがいつもお話になっている、とびき
り上等の軍隊が、私たちの使い物にならないとしたら、それを保有すること
の眼目はなんですの?」。さて、今、それを使いたいなら、さらに1200
億ドルの請求書がまわってきます! (笑う)

でも、公式の予算ですら合点がいきません。ロッキード・マーティン社のF
22[次期主力戦闘機]――史上最大の単一契約の対象機種――のような兵
器だらけです。これはステルス機であり、まったくもって無用の長物です。
彼らはバージニア級原潜をもう一隻造りたがっています。こういうのは提督
たちの玩具〈おもちゃ〉にすぎません。

【TD】私たちがもっと若かったころは、ペンタゴンの役立たず仕事とか、
100万ドルの軍用モンキーレンチとかを書き立てる記事がいつもたくさん
ありました。今では、だれもそういう記事を書く手間をかけようとはしない
のではありませんか?

【ジョンソン】そうなったのは、まともで正常な会計報告をペンタゴンに期
待するのは無理だと完全に諦めたからです。ノーベル賞[2001年受賞]
経済学者のジョセフ・スティグリッツとハーバード大学の同僚とが、ペンタ
ゴンの実質予算を集計し、わが国が遂行している目下の戦争の経費が約2兆
ドルであることを突きとめました。彼らがそれに算入したのは、これまでに
兵器を購入するために支出された分の国債の利払いなどの類です。これが数
十億ドルというかなりの額になります。彼らは、なにはさておき、退役軍人
給付金の支払い額について、ある程度は信頼できる数値を把握しようと努め
ました。これが今年度分として公的には680億ドルになっていて、第一次
湾岸戦争後に申請し、給付金を受け取った退役軍人の膨大な数だけを考えて
も、あまりにも小額であることはほぼ確実です。

大筋で言って、ハムヴィー戦闘車の下で155ミリ砲弾3発が破裂するよう
な爆発に巻きこまれ、思いきった救命処置によって一命を取り留めるといっ
たような医療の奇跡について、夜のニュースで聞いたりします。すんでのと
ころです。ABCニュースのアンカー、ボブ・ウッドラフ[*]みたい。彼
の命を救った人物は、抱えあげたとき、この男は死んでいると思ったと言い
ました。だけど、こういう戦傷兵たちの多くは永久に国の庇護のもとで生き
ることになります。私たちは彼らを見捨てるつもりでしょうか? これで
は、有名になった反戦小話が生まれた1930年代に逆戻りです。連邦議会
議員たちが、わが国がわれわれの兵士たちのためにしてあげないことはなに
もない、とよく言っていました――そして、わが国がしてあげていること
は、そのとおり、なにもありません。
[今年1月29日、イラク軍に同行して取材中、即製爆破装置による攻撃に
遭遇、ABCのカメラマン、イラク兵数名とともに重傷を負うが、一命を取
り留める]

わが国の約束のいくつかを反故〈ほご〉にしなければならないのは、ほぼ確
実でしょう。例えば、トライケア(Tricare)は、退役軍人とその家族を対
象とした政府所管の医療制度です。予算は、2007年度分でたったの39
0億ドル。だが、対象者の数はうなぎのぼりに増えようとしています。とて
も追いつきません。

あの尊大なイデオロギー煽動家、ドナルド・ラムズフェルドでさえ、最近の
予算にはお手上げのようです。なにひとつ削られていません。すべての兵器
が認められました。彼は「米軍の変革」を唱導していますが、考えうるかぎ
りの状況に対応可能な核装備をわが国はすでにじゅうぶん保有しているの
に、いったいどうしてこれ以上の金をかけるのでしょうか? それなのに、
今は国防情報センター研究員を務めている元・上席国防省予算分析官、ウィ
ンスロー・ホイーラーによれば、エネルギー省は2006年度の核兵器予算
として185億ドルを支出しています。

【TD】ペンタゴン予算とは別枠ですね。

【ジョンソン】もちろん、別です。これはエネルギー省の予算です。

【TD】言い換えれば、丸ごと隠された予算があると……

【ジョンソン】おお、巨額にのぼります! 1兆ドルの4分の3というの
が、私が採用する一切合財含めた金額です。4400億ドルが、公認の予算
額です。国防総省監査官、ティナ・ジョーンズが月68億ドルとして計算し
た戦費分の補正予算は、少なくとも1200億ドルになります。さらに他の
項目もすべて加算するわけですが、とりわけ多額になるのが、退役兵の医療
費です。それほど前のことではありませんが、ヴェトナム戦争期の犠牲者数
を上回るまでに人数が増えた重傷者たちの医療手当てのことです。ヴェトナ
ム戦当時では、犠牲者は遺体になっていました。ここで言う人たちは、生き
ている人間なのです。政府にとって、彼らはとても都合の悪い存在なので、
日が暮れてから空輸され、国民の目が届かないなかで、飛行機から降ろされ
ています。ジョン・マーサ(下院議員)は――どれほどクレイジーなミサイ
ル防衛の仕掛けであっても、宇宙空間配備のどのような代物であっても、購
入するさいに頼りになる――かつてなかったほど大物の防衛産業の友人です
が、古参の退役海兵隊員として、しばらく病院通いをしただけで、少しばか
り目を覚ましたようであり、これは私にとってはうれしい驚きです。

このメッセージを一般社会に届けてくれるかもしれないもうひとりの人は、
漫画“ドゥーンズベリー”《*》の何本かに実態を描いたギャリー・トル
デューです。トム、あなたの母上が漫画家であられたことは存じています
し、私たちはふたりとも、漫画シリーズ“Pogo”の作者、ウォルト・ケリー
の熱烈なファンです。ポゴの最も有名なセリフが、今日の話題になんとふさ
わしいことでしょう。それはこうです――「今日、敵に遭遇したが、それは
ぼくたちだった」
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/05/post_6.html
[日本語。暗いニュースリンク「米国内で名物風刺漫画『Doonesbury』に議
論沸騰」]

(パート2「議会はどうなったのか?」に続く)

[原文]
Tomdispatch Interview: Chalmers Johnson on Our Military Empire
posted March 21, 2006 at 7:29 am
http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/index.mhtml?emx=x&pid=70243
Copyright 2006 Tomdispatch

[トム・ディスパッチ・インタビューTUP版バックナンバー]
速報549号 ハワード・ジン「帝国の拡大限界」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/595
速報556号 ジェームズ・キャロル「蚊とハンマー」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/602
速報558号 シンディ・シーハン「ブッシュ大統領の自滅」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/604
速報563号 ホアン・コール(パート1)「ブッシュの戦争」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/609
速報566号 ホアン・コール(パート2)「米軍のイラク撤退」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/612
速報598号 マーク・ダナー「ブッシュの戦争の虚実」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/647

[翻訳] 井上利男 /TUP