TUP BULLETIN

速報614号 リバーベンドの日記6月10日 ザルカウィー・・・ 060611

投稿日 2006年6月11日

DATE: 2006年6月11日(日) 午後3時44分

「ザルカウィーが死んでイラクに『新しい日』が来た」


 戦火の中のバグダッド、停電の合間をぬって書きつがれる若い女性の日記 『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、女性としての思 い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、検問が日常、女性は外 へ出ることもできず、職はなくガソリンの行列と水汲みにあけあけくれる毎 日。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が感じられるよう なこの日記、ぜひ読んでください。 (この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)  http://www.geocities.jp/riverbendblog/


2006年6月10日土曜日

ザルカウィー・・・

さて「ザルカウィー」はやっと死んだってわけなのね。昨日の朝のそのニュー スは面白かったわ(おとといだったかしら?はっきり思い出せないけど…)。 彼の写真や映像を見せられて動揺するようなことはなかったわ、だってわたしは、 めちゃめちゃにされたり、血だらけの死体の画像にはどっぷり浸けられてきてい るもの。

受け止めかたはそれぞれだった。彼が誰であろうとも惜しまれるような人では ないというのが、わたしたちの家族や友人たちとの間での一般的な意見。彼はい ったい何者だったのかという疑問がある。そもそも実在していたのか? 彼はほん とうにアメリカ人が言い立てたような大きな脅威だったのか? 彼が実際に死んだ のはいつ? みんなはもっと前の2003年に死んだって断言しているけど… このタイミングは絶妙ね、ちょうど人々が役立たずのイラク政府にほとほと嫌気 がさしてきたときに、ザルカウィーが殺されて、占領世界の勝ち誇った指導者と してマリキが歓呼をもって迎えられるってわけ!(イラク人は誰も街でお祝いな んかしていないのに。電気や水、殺し屋軍団、鑑識、死骸、そしてどんどん勢力 を伸ばしつつある過激主義者のことを考えるので精一杯)

いろんな反応を聞いてみると―大部分は戦争賛成の政治屋たちのものだけど、 彼らのおめでたさにはまったくあきれかえる。マリキ(イラクの今の首相)は、 そのニュースを発表するとき、ほとんど舞い上がっているみたいだった(彼はが んばって何とかここまでこぎつけたのだ!)。本当に彼らはこれで占領に対する 抵抗運動が終わるって信じているのかしら?外国の軍隊がイラクに居るかぎり、 抵抗運動や「反乱」は続くに決まってるじゃない―なぜこんな簡単なことが理解 できないのかしら? 他にどう考えられるっていうの?

「イラク人にとっての新しい日」がイラク操り人形政府やアメリカ人たちのも っぱらの話題だ。たとえば2003年4月9日[訳注:バグダード陥落]の「イ ラク人にとっての新しい日」のように。そして彼らがウダイやクサイ[訳注:サ ッダーム・フセインの息子たち]を殺したときの「イラク人にとっての新しい日 」。もうひとつの「イラク人にとっての新しい日」は、サッダームを捕まえた時。 それから憲法草案を作った時の「新しい日」…なんだか知能テストの中にあ る質問みたいに思えてきたわ。もし「新しい」が「さらなる」という意味で、そ れから、「日」が「苦しみ」と同じに置き換えられるとしたら、「イラク人にと っての新しい日」ってどういう意味になる?

わたしはどう思っているかって? ザルカウィーのくそったれだわ(ブッシュ の呼び方だとザイルカウィね)。彼はアメリカが作ったもので、彼らと一緒に来 たのよ。そしてあきらかにもう利用価値がなくなったってわけ。彼の力は大きく 誇張されて、軍隊や警官隊によって家族が殺されるのには、どれもこれもことご とく彼が言い訳に使われたわ。最初は大量破壊兵器、次はサッダーム、そして次 はザルカウィーだった。今度は誰? イラク人拘束や殺害のために、誰が新しい 言い訳に使われることになるの? それとも、もう言い訳なんか必要なくて、彼ら はどんなことでもし放題ってことかしら。数か月前のハディッサでの虐殺がその ことを証明しているわ。「やつらにはもうザルカウィーは要らんのだ。」近所の お年寄りは手でハエを追い払うようにそのニュースを一蹴した。「ザルカウィー なんて政府はいくらでも持ってるさ。」

さてザルカウィーは死んだ。ブッシュとわれらがイラク操り人形たちのいうと ころによれば、イラクのひどい惨状は背後に彼がいたことが原因だったんだから、 ものごとは良くなっていくはず、そうよね? 自動車爆弾は少なくなるはずだし、 民族浄化は終わり、軍隊に攻撃されたり包囲されたりすることはなくなっていく… それが私たちに約束されたことなのよね? いいことだわ。じゃあ、内 務省の殺し屋軍団と銃をぶっぱなすのが大好きな外国軍隊をなくすには、一体誰 が殺されればいいのかしらね?

午前0時47分 リバー

(翻訳:リバーベンド・プロジェクト:ヤスミン植月千春)