TUP BULLETIN

速報705号 ドナより 国家安全保障と呼ばれるもの

投稿日 2007年6月5日

DATE: 2007年6月6日(水) 午前0時32分

秘匿特権ってなによ。国家安全保障ってなによ。それで誰が安全になったの


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験し、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチ ナを旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプ・ケーシー について報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを 見据え、05年12月に米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献 してきたアリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地に向かい民間 査察を強行して逮捕・起訴され、最高7年の刑期を課せられるかもしれませ ん。  小難しい法律議論が展開されていく裁判の続報です。 (翻訳:福永克紀/TUP)


国家安全保障と呼ばれるもの ドナ・マルハーン 2007年5月31日

お友達の皆さんへ

今日(木曜日)の法廷はいろいろ入り混じった1日でした。検察側の最初の証 人、パイン・ギャップのオーストラリア側の最高責任者マイケル・バージェス に対する私たちの反対尋問で始まりました。

ブライアンが一連の質問を始め、パイン・ギャップにはアメリカとオーストラ リアの警備公安機関と諜報機関が存在するというおもしろい事実をいくらか暴 き始めて、本当にうまくいっていたのに、まもなく私たちの予想通りの言葉 が……

「裁判官、異議あり……」

最初の異議は、国側検察官のデンボ検事からで、関連性を根拠とするものでし た。

判事は数回異議を却下し、デンボ検事の異議も1度か2度認めました。

しかしそのあと、出廷していた法廷弁護士および勅撰弁護士の一群のひとり (私は弁護士の集合名詞が何なのか定かではありませんが、「一群(bevy of)」という言葉は礼儀正しく適切だと思います)であるモーリス勅撰弁護 士が申し立てをしました。モーリス弁護士は国防省およびその他の連邦機関の 代理人です。

彼はブライアンの一連の質問に異議を唱え、「国家安全保障」の観点から「公 益を理由とする秘匿特権(public interest immunity)」を主張しました。

この「公益を理由とする秘匿特権」の概念の論議が始まると、陪審員たちは退 廷を命じられました。この特権とは、「国家安全保障」ための利益になると考 えられる場合には特定の情報を法廷に提出しなくてもよいというものですが、 その「国家安全保障」がいったい何を意味するのか……。この議論は、証人尋 問の最初の日に私たちが予想していたとおりで、準備も整え、楽しみにしてい た議論です。

この議論には1時間半かそこらかかるだろうと思っていたのですが、モーリス 弁護士がその日の残り時間全部必要だろうとほのめかした時には私たちはびっ くりしました(少し不安にも!)。

実に飽き飽きするようなこの議論はその日の残り全部を費やし、翌朝も続けら れることになったのです。

この議論の詳細は、不用意に陪審員たちの耳に入らないようにと裁判官から制 限命令を受けているため、皆さんと今分かち合うことができません。陪審員は 証拠を見聞きすることだけを許されており、法律的議論はダメなのです。

大変な午後でした。私は制限命令を尊重しますのでまだお話しすることはでき ませんが、別のときに詳しくお伝えしたいと思います。

明日、モーリス弁護士に反論する機会を楽しみにしています。

私たちは今、経験豊かな勅撰弁護士たちが非常に横柄なやり方で私たちの論議 を退けようと持ち出してきた難しい法律議論に直面しています。

でも私たちは反論する心構えです。どうか皆さんの祈りと暖かい思いをお送り ください。

ありがたいことに、この日は上り調子で終わりました。長年の反核運動家であ るヘレン・コルディコット博士が威勢よく町に現れたのです! なんとすごい 女性なのでしょう! メディアのインタビューをいくつかこなし、それから夜 のアリス市民集会のゲストとして講演しました。

ホールは満杯でいい雰囲気でした、そして誰もがヘレンの言葉のひとつひとつ にたじろいだのです。パイン・ギャップとその役割についての彼女の知識は非 常にためになるもので、核攻撃の影響についての説明は酔いも醒ますようなす ごいものでした。

彼女は会場内の多大なエネルギーを引き出し、なぜこの危険な米軍スパイ基地 に反対してこうしてここに集まっているのかということに、私たち全員の関心 を集中させるすばらしい機会となりました。

法服と鬘の男たちが目も眩むような専門的法律議論を展開しようとも、私たち がパイン・ギャップをそのものズバリで命名する「秘密に覆われた米軍スパイ 基地」だということが事実なのです。その役割はご大層な理由で秘密にされて いるのが実態なのです。パイン・ギャップは米国戦争機構の不可欠な歯車なの です。その目的は中立などではありません。暴力なのです。

事実は、パイン・ギャップがイラクで突き進む無分別な暴力と戦争犯罪の一部 であり続けているということです。

私たちは、大量の判例集やファイルを積み上げた弁護士たちのそばで法廷の席 についているおかしな格好の一団に過ぎませんが、私たちが事実を語ること は、真実を語ることは誰にも止められません。決して誰にも……

明日また新情報を。

巡礼者 ドナより

原文:[The Pilgrim] A thing called national security URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/208

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