TUP BULLETIN

速報765号 ホワン・コール「ザワヒリ、マケインにイラン爆撃のお墨付きを与える」

投稿日 2008年5月17日

FROM: tup_bulletin
DATE: 2008年5月17日(土) 午後2時42分

マケイン候補を「支持」するアルカイダ首脳


 今年11月の米国大統領選挙に向けて、米史上初の黒人大統領オバマなるか、 あるいは女性大統領クリントンなるかと、報道は民主党候補の行方ばかりに集中、 過熱しています。この喧噪に隠れて、たいへん恐ろしい事態 が迫っていると、 TUPは「速報735号 戦争屋マケインの精神構造–大統領選再登場は凶兆」で お伝えしました。 しかしマケイン大統領の実現を望む勢力は強大です。さらに意外な支持者が 現れました。以下、中東情報の確かさにおいて米国随一といわれるシカゴ大学の ホワン・コールのブログ「インフォームド・コメント」から。(TUP/池田)


ザワヒリ、マケインにイラン爆撃のお墨付きを与える カトリック嫌いの支持をとりつけたいマケイン パキスタン人の8%がマケインを支持

ホワン・コール著

インフォームド・コメント 2008年5月8日木曜日

ジョン・マケイン上院議員は、ハマスがバラク・オバマを「支持」したと言い立て、 これには深い意味があるのだと陰険なほのめかしをやっている。これはカトリック 嫌いたちの支持を取りつけようとするマケイン陣営の策略である[ここで「カトリ ック嫌い」とは、聖書を神の言葉として厳格に守る福音派など原理主義的キリスト 教教派を指す。この人々は、イスラエル建国が預言の実現であり、キリスト再臨の 前段階と信じているため、ハマスを敵視している。伝統的に強固な保守派で、共和 党の票田となってきた]

これは選挙運動の汚い手だ。クー・クラックス・クランが支持を表明するのは誰 だろう? もし、クー・クラックス・クランのボスたちがマケインを支持したと して、顔色が白っぽいという以外にマケインについて何がわかるというのだ。 本人が頼みもしない支持から、何らかの意味を引き出そうとしてはいけない。

そうではあるものの、イスラム教国でマケインを支持するのは誰だろうと、 つい考えてしまった。

そしたらなんと、アルカイダのナンバー2,アイマン・アルザワヒリが、アルカイ ダはイラン滅亡を望んでいると宣言し、マケインと同じ立場であることを明らかに したという。ザワヒリはマケインがハイパー・スンニのアルカイダとシーアの過激 派をしょっちゅう取り違えているので機嫌がわるい。報道によれば、 「アイマン・アルザワヒリは、アルカイダの望みはイランの滅亡だと言った。 イランとはすなわちアルカイダと戦っているシーア派イスラム教国家だよ、と。 (略)『アメリカとイランのもめごとはほんものだ。アメリカがイランを攻撃する 可能性は現実的だ』とザワヒリは述べた」とのこと。ザワヒリはアメリカとイラン が組み討ちして、イランが滅びアメリカが弱体化すればいいと思っている。そこで アルカイダがとどめを刺すわけだ。

つまり、ザワヒリはマケインの「ボム、ボム、ボム、ボム、ボム、イラン」計画を 支持しているということになる。[ボムは爆撃すること。マケインはノースカロラ イナでイラン攻撃の可能性について質問されたとき、ビーチボーイズのヒット曲を 替え歌にして「どかん、どかん、どかん、イランをやっちまえ」と答えた。この時 のビデオはYouTubeで世界中に流された]

ところで、パキスタン人の8%がマケイン支持、30%がヒラリー・クリントン 支持だという結果が出ている。イスラム教国であるパキスタンで、ヒラリーは オバマに勝っている(オバマ支持は13%)。もちろんヒラリーがいいと言って いるのは、ベナジール・ブットーの支持層にみられるようなパキスタンのリベラル だ。

ではマケインを支持しているのは、どんなパキスタン人だろう。たぶん女性 がトップにたつのをよしとしない、保守的なイスラム教徒だ。その中には、 マケインがアメリカに「人知を超えた苦難」をもたらしているとするイスラム 過激派もいるのではないか。[「人知を超えた苦難」はアイオワでの討論会での マケインの発言から]

振り返ってみよう。マケインが支持をとりつけようとしてきたのはいったい どんな連中だろうか。その多くはカトリック信徒やイスラム教徒などに対する ヘイト・スピーチをやっているようだ。

マケインはジョン・ヘイギーのお墨付きを熱望し手に入れた。だがヘイギーは、 カトリック教会をヒットラーにたとえて、歴史を通じてユダヤ人の血をすすって きたと説く。

マケインはロッド・パースリを霊的導き手と讃えている。パースリは、[政府の 助成を受けている家族計画(産児制限)団体が主に黒人を対象として活動している ことから]アフリカ系アメリカ人のジェノサイドに手を貸しているとして、合衆国 政府を非難している。

* 以下のリンクでマケインが真摯な面もちで自分の信仰や霊的導き手を讃え、 その導き手たちがムスリムやカトリック、フェミニスト、同性愛者、政教分離原則 などを過激に攻撃するようすを見ることができます。
原文:http://www.juancole.com/2008/05/zawahiri-endorses-mccain-plan-to-bomb.html
(以上文中で[ ]内は訳注です)

(翻訳:TUP/池田真里)