TUP BULLETIN

速報794号 空襲下ガザからの続報――アブデルワーヘド教授

投稿日 2008年12月30日

◎続く空襲、自家発電で命がけで世界に発信された現地の声
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ガザのアブデルワーヘド教授からのメールの邦訳です。

イスラエルの攻撃目標がこうして列挙されると、社会が社会として成り立つためのソフトウェアの部分を狙い撃ちしていることが分かります。イスラエルの総選挙をにらんでの、内政の延長線上にある戦争、という専門家の指摘はそのとおりなのかもしれませんが、その戦争にかこつけて、イスラエルが何をなぜ破壊しようとしているのか、まで深く考えるべきだと思います。以下のレポートはその示唆を与えてくれるように思います。
同教授宅にイスラエルから脅迫電話がかかった旨、すでにお伝えしましたが、事実を外の世界に報道しようとするジャーナリストや記者たちも攻撃の標的になっています。

<邦訳: 岡真理; 凡例: (原注) [訳注]>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【メール その8】
日時: 2008/12/28 (日) 18:45
件名: 今のところ無事だが……

大切なレイチェルへ

私も家族も無事だが、緊張が続き神経がすり減っている。依然、電気は止まったままで、おまけに自家用発電機にもトラブルがあった。 2時間前、隣の建物がヘリから小ロケット弾を食らった。標的はアパートの 7階。私の自宅は 4階にある。それから、通りの向かいにあるアパートの 5階も攻撃された。耐え難い状況だ。住民は正真正銘のパニックになっている! 昨晩、F16型戦闘機がアル=アクサ衛星放送局を攻撃し、粉々にした。周囲のビルも多くが居住不可能になってしまった! ビルの持ち主も住人たちもビルを見捨てて、どこかよそへ移る羽目になった! シファー病院の向かいにある小さなモスクも粉々になり、その攻撃のせいで周りの住宅も深刻な被害を受けた。私の友人の家もその一つだ。自分が目にしたことはほとんど言葉では言い表せない、とにかく家はひどい被害に見舞われた、と彼は言う。また、彼の 56歳になる姉[または妹]は重傷を負った! さらに政府の主要庁舎(アル=サライヤ)もやられた。英軍が委任統治時代に建設した建物だ。なかでも標的になったのは刑務所だった! 収容されているのは一般の囚人や政治犯だというのに。マスコミは死者280人、負傷者1000人以上と報道しているが、シファー病院の医師として働く私の友人の一人は、死者は約500人にのぼる、と教えてくれた!今、ラファの国境地帯で攻撃はエスカレートしていて、イスラエル空軍はラファの[地下]トンネルを破壊するための作戦を展開している。何百人ものパレスチナ人がブルドーザーであるいは徒歩でエジプト国境に怒涛のように押しよせているが、エジプト側の容赦ない発砲に遭って、誰も国境を越えられないでいる。

─────────────────
【メール その9】
日時: 2008/12/28 (日) 20:08
件名: 今のところ無事だが……

数分前、複数の地点を狙ってまた空襲があった。死傷者多数。私の自宅の窓ガラスも砕け散った。税関事務所と入国管理事務所も先刻、破壊された。軍用機やヘリがいまだ上空で作戦を継続中。

─────────────────
【メール その10】
日時: 2008/12/28 (日) 22:12
件名: 破壊

F16型戦闘機がガザの公安関係で最大のビルを破壊した。その一帯はアラファトの身辺警護のために欧州連合[EU]が建設したものだ。4発のミサイルを受けてビルは粉々にされた。各地の警察署も攻撃され、今日、すべて破壊された。230の地点がイスラエル軍用機の標的になっているという話だ。今日の攻撃で、子どもを含む大勢の民間人が死傷した。ラファの国境地帯ではパレスチナ人が一人射殺された。さらに発砲があり、エジプト人官憲が一人撃ち殺された。国境の状況も最悪だ。イスラエルによる地上攻撃もありうる!

─────────────────
【メール その11】
日時: 2008/12/29 (月) 13:09
件名: ガザへの攻撃、引続く!

昨晩、ガザ市内だけで20カ所が空襲された。爆撃について私が知るかぎりのことをお伝えする。

1) 自宅近所に 3回目の攻撃。元公安局。うちミサイル 1基が不発のまま、自宅アパートのあるビルの正面、救急ステーションから数メートルのところに落ちる。

2) ガザのイスラーム大学の主要校舎二つが粉々に。建物の一つは実験室棟、もう一つは講義棟。いずれも地上4階、地下1階建て。

3) ビーチ難民キャンプ、イスマーイール・ハニーエ氏の住まいの隣家が空と海から同時攻撃され崩壊。

4) モスク 2つが空襲され粉々に。中にいた10人が死亡、うち5人はアンワル・バルーシャ氏の娘たち。自宅が危険なのでモスクに避難していたのだろうか。これで、破壊されたモスクは計6つに。

5) 内務省のパスポート局の建物が今朝、破壊された。

6) 文化省のビルが今朝、こなごなに。

7) 首相執務室のビルが空襲され完全に破壊された。

8) 民事行政の主要ビルは完全に破壊されている。

9) 地元メディアが報道していなくて私も把握できていない複数箇所に何度かの攻撃が実行されている。夜間、ヘリコプターが複数回にわたり攻撃するのを目撃。

10) ジャバリーヤ青年スポーツセンター(UNRWAの施設)が、上空
から直撃された。

11) サライヤ政府センター近くの空き家が空襲され破壊。

12) ゼイトゥーン地区で移動中の車体が攻撃され破壊、男性 2人、子ども 1人が死亡。

13) 下校途中の高校生の姉妹 2人が、空爆を受けともに死亡。

14) いくつかの警察署が再度、攻撃される。

15) イスラエルはジャーナリストおよび記者に対し自宅もしくはオフィスにとどまること、従わない場合は攻撃目標にすると公式に伝達。ガザで起きていることをメディアに報道させないためだ。

16) 病院二つが標的に。ファタ病院はまだできたばかりで操業していなかったが、空から攻撃された。もう一つはテル・エル=ハワーのアル=ウィアム病院。この小さな個人経営の病院も標的に
された。

17) ベイト・ハヌーンの庁舎が昨晩、破壊された。

18) ラファの自治体のビルが昨晩、破壊された。

19) ラファの庁舎が昨晩、標的にされた。

20) ラファのハシャシュ地区が昨晩、二度にわたり攻撃された。いずれもミサイル 2基によるもの。2度目の着弾では周囲15軒の家が破壊された。同攻撃により多数の死者が出た。

21) ゼイトゥーン地区の遊び場にミサイル一基、着弾。

22) ラファ国境地帯にある40個の[地下]トンネルに対しイスラエルは空から攻撃、そのすべてを破壊した。

23) ビーチ難民キャンプの警察署が完全に破壊された。

24) エジプトのガザ元総督の邸宅も空と海からミサイル攻撃を受け完全に破壊された。

─────────────────
【続報】

ガザにある負傷者のための民間協会が破壊された。アル=ファラフ慈善協会が使っていたガザとハーン・ユーニスの二つの建物も破壊された!

─────────────────
【続報2 (日時: 2008/12/29 (月) 13:56)】

数分前、ウンマ大学の新しくとても小さな校舎が攻撃を受け、破壊された。


原文: Prof. Abdelwahed (ガザ・アル=アズハル大学教養・人文学部) 発信の一連の電子メール