TUP BULLETIN

速報806号 戦時下ガザからの報告9――アブデルワーヘド教授

投稿日 2009年1月17日

◎救急医への攻撃続く。自家発電で命がけで世界に発信される現地の声


これまででもっとも激しい攻撃にさらされて動揺する子どもたちの気持ちを落ち着かせようと、空襲下でトランプ遊びをする父親、その姿に、ロベルト・ベニーニ監督の「ライフ・イズ・ビューティフル」がだぶります。
攻撃15日目(1月10日)、フランスの Urgenca Gaza (緊急ガザ)のウェブページによれば、これまでの死者は854人(うち子ども275人、女性100人)、負傷者3681人、危篤400人。http://www.urgence-gaza.com/index.php?option=com_frontpage&Itemid=1
※1月14日、死者1000人を超えた、と英BBCで報道されました。

ガザのアブデルワーヘド教授からのメールの邦訳です。
〔邦訳: 岡真理/TUP; 凡例: (原注) [訳注]〕


【メール その29】
日時: 2009年1月6日 (火) 18:06
件名: UNRWAの学校に避難したパレスチナ人

何千人かのパレスチナ人がUNRWAの複数の学校に避難した。
そのうち 40人が今日(2009年1月6日)、空からの攻撃で殺された!

【メール その30】
日時: 2009年1月8日 (木) 19:06
件名: ガザ攻撃13日目

30分前、2基のミサイルが自宅近所のアパートを狙い撃ちした!ぞっとする殺傷攻撃だった。私の子どもたちは恐怖で泣きわめく。子どもたちがふつうの生活の雰囲気のなかで過ごせるよう、私はいっしょにトランプ遊びをしていたのだが。この爆発で男性 2人が亡くなったほか 2人が負傷した。初日に、治安警察[*]の一群の建物に対する最初の攻撃で 4人が殺されたのと同じ場所だ。[(*) "the Preventive Security apparatus [または Service]";パレスチナに特有の警察組織]

昨夜のガザ、ほんとうに身も凍る思いだった。60回以上の空襲があり、加えて戦車や大砲による砲撃があたり一帯ところかまわず引っきりなしに続いた! ガザでは一瞬たりとも安全な場所などどこにもない! このところ私たちが経験している身の毛のよだつ恐怖は言葉では言い尽くせない。なかでも昨夜は、もっとも苛烈なもののひとつだった。昼間であろうと夜寝ているときであろうと、静かな瞬間などないのだ!

ラファでは 80軒の家が複数のヘリコプターによって攻撃された! ほかにも、ハーン・ユーニス、アル=マガーズィ難民キャンプ、アル=ブレイジュ難民キャンプ、ジャバリーヤ村、ビーチ難民キャンプにも散発的な攻撃があった。死者の数はうなぎのぼりで今日だけで 30人以上が死んだ。負傷者数は言うまでもない。死者のひとりは UNRWA[国連パレスチナ難民救済事業機関]のトラック運転手で、トラックもろとも攻撃に見舞われたものだ。ほかにも UNRWAの職員一人が負傷した。これまでのところ 10名の救急医が人命救助の奮闘のさなかに命を落としている! 死者の数は一挙に 800人に、負傷者は 3100人以上に達した。貧弱な設備しかないガザの病院では、こんな数の死傷者には対応できない。

【メールその31】
日時: 2009年1月10日 (土) 20:31
件名: ガザ攻撃15日目

どこもかしこも死が覆っている。昨晩の空襲は 70回以上、さらに今日は 30回! これらの空襲で何百人もの子どもたちや女性が死んだ! このすさまじい破壊のさまは、あなたがたには想像できるまい。人々はこの引続く爆撃にとても耐えられない。いくつもの家族が爆撃された建物の瓦礫の下敷きになって一家全滅した!

複数の戦車が[ガザ]市内に向かってゆっくりと移動している。夜はただひたすら恐ろしく、暁の光を目にすると子どもたちは歓喜の声を上げる! 子どもたちは何時間も続けて眠ることがほとんどできないでいる。こっちで空襲、あっちで砲撃、遠くで激しい機関銃の音という状況なのだから。今、F16が私たちの頭上を飛んでいる。

ガザ市全体が食糧難に陥っている。当然のことながら果物や野菜などまったくない。電気と水の状況も依然、ひどい。今日、ガザのいくつかの地域で 2時間、電気が供給された! ガザは人道的・環境的危機の限界にある! 保健衛生状況も、貧弱な病院の数々も、崩壊しつつある! 時折、自分のまわりで起きていることを表現する言葉を失うことがある!

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原文: Prof. Abdelwahed (ガザ・アル=アズハル大学
教養・人文学部英語学科) 発信の一連の電子メール
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